正しく乗せないと罰則の対象になる
犬や猫といったペットを飼われている人の中には、車に乗せて一緒にドライブをされる方も多いかと思います。
しかし、一歩乗車方法を間違えると道路交通法違反で処罰される恐れがあります。
道路交通法には、このような決まりごとがあるってご存知でしたか。
乗車又は積載の方法 第五十五条 2
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。引用元:e-Gov法令検索)
要約すると、犬などのペットが運転手のハンドルやその他の操作に妨げになってはいけないということ。もちろん、人間の子どもに対しても該当します。
もしも愛犬が自由に車内を動き回っていたり、運転者の膝の上に抱っこするように乗せていた場合は道路交通法違反で罰せられてしまいます。違反した場合、普通車で約6,000円、中・大型車で約7,000円の反則金と、違反点数1点が加算されます。
また、正しくない乗せ方は愛犬を危険に晒すリスクも考えられます。時々車の窓から顔を出す犬を見かけますが、急ブレーキを掛けた際落下してしまう恐れがありますし、フロントガラスに激突してケガをしてしまう場合もあります。
愛犬を安全に乗せるには?
愛犬を車に乗せる時、どのように乗せるのが正しいのでしょうか。
基本的な乗せ方としては、ペットケージやクレートに愛犬を入れ、シートベルトで固定します。またサークルなどに入れれば犬が車内を自由に行き来することができませんので、シートベルトで固定するよりも安全といえるでしょう、
それ以外にも、ペット用のドライブボックスというものがあります。クレートとは違い、飼い主さんの顔を見ながら車に乗れるため、お互い安心してドライブを楽しむことができます。
ドライブボックスにはリードフックが付いているので、愛犬が突然ボックスから飛び出してしまうのも防げますので、ペットケージやクレートが苦手であればドライブボックスを使用するとよいでしょう。
ペットケージやクレート、ドライブボックスに入らない大型犬の場合は、車のシートベルトに繋げて使用できる犬用シートベルトがあるので、こちらを使用するのがおすすめです。
愛犬を車に乗せる時のNG行為
犬が運転を妨げる状態は道路交通法違反になるとお伝えしましたが、それ以外に犬を車に乗せる際のNG行為はあるのでしょうか。
①車内を自由に行き来させる
前述でもお伝えしましたが、犬が車内を行き来できる状態は道路交通法違反に該当します。
また急ブレーキを掛けた時や事故を起こしてしまった際に、フロントガラスまで犬が吹っ飛んでしまう恐れもあります。
なかには「ちょっとそこまでだし」「事故にならないように気を付けていれば大丈夫」と思われる方もいるかもしれませんが、どんなに運転に気を付けていても思わぬ事故やトラブルに巻き込まれる可能性は誰にもあります。
お互いを守るためにも正しい乗車を心掛けましょう。
②助手席や運転席に座らせる
愛犬がちょこんと助手席に座っていたり、運転手の膝の上に座っていたりすると可愛いという気持ちはわかります。
しかしこの行為は大変危険です。万が一事故でエアバッグが作動した際、エアバッグに挟まれて愛犬が窒息死する可能性があるからです。
愛犬のことを大事に思っているのであれば、絶対に助手席や運転席に座らせる行為は止めてくださいね。
③家族や友人などの膝の上で抱く
運転手の膝の上に犬を乗せて運転する行為は道路交通法違反に該当しますが、家族や友人の膝の上で抱くのも大変危険です。
しっかり抱っこしているからといっても、事故が起きた時に100%安全を確保できるかといったらそうではありません。
お互いの身の安全を確保するためにも、誰かの膝の上で抱くのも止めましょう。
④リードを車内に結びつける
犬の行動範囲をコントロールするためにリードを車内に結ぶ方法は一見安全に見えますが、実はさまざまなリスクがあります。
例えばリードが長いと体に絡まる恐れがりますし、逆に短いと座席から落ちた際、宙づりになってしまう恐れがあります。
⑤窓から顔を出させる
小さい子どもが窓から顔を出すのを「危険だからダメよ」と注意するのと同じように、犬も窓から顔を出す行為は大変危険です。
外の様子が気になるものを見つけた時や、車内で嫌な思いや怖いことが起きた時、パニックになって窓から外に飛び出してしまうリスクが考えられるからです。
また車の窓から顔を出す行為は、道路交通法に違反する可能性もあります。
(安全運転の義務)第七十条
車両等の運転手は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない引用元:e-Gov法令検索)
犬が窓から顔を出した状態での運転は、他の人に迷惑や危害を及ぼす可能性があるのです。
「愛犬が車酔いしやすいから窓を開けたい」と思ったとしても、犬が窓から顔を出せる状態は大変危険ですので気を付けましょう。
⑥小まめな休憩を取らない
愛犬と長距離移動する場合は、愛犬の状態を確認するためにも必ず1~2時間に1回くらいのペースで休憩を挟みましょう。
後部座席やラゲッジスペースに愛犬を乗せていると、愛犬の健康状態や様子を把握することが難しいからです。
また犬にとって動きを制御される時間は大変ストレスになります。小まめな休憩を挟み、車の外でリフレッシュさせてあげてくださいね。
⑦車内に放置する
小さな子どもやペットを車内に残していたら、熱中症で死んでいたという痛ましい事故をニュースなどで目にすることがあります。
夏場の車内温度は例え短時間であってもどんどん上がっていき、70℃を超えることもあるそうです。
「少しの時間なら大丈夫でしょ」という油断が、大きな事故に繋がる恐れがあります。例え短時間であっても車内に子どもやペットを残していくのは絶対に止めてください。
まとめ
愛犬が車に乗って楽しそうな顔をしていると、こちらまでも楽しくなりますよね。しかし、正しく愛犬を車に乗せないと命の危険もあるということを忘れてはいけません。
膝の上に乗せたい気持ちもわかりますが、お互いのためにもペットケージやクレートなどに犬を入れて乗車するようにしましょう。
また愛犬を車に乗せる際は、後部座席かラゲッジスペース(乗用車で荷物を収納するスペース)がおすすめです。
助手席に乗せると様子を伺うことはできますが、落ち着かない犬の場合運転に支障をきたす恐れがあります。
また万が一、エアバックが作動する事故に合った場合、助手席に犬がいるとケガをしてしまう場合がありますので避けるようにしましょう。
著者/ブリーダーナビ編集部