1.体温が上がった時
犬が「ハアハア」と荒い呼吸を繰り返すところを見たことがある方も多いでしょう。これは『パンティング』という呼吸の方法です。
犬がパンティングをする大きな理由の1つが、「体温を下げるため」です。
犬は汗腺が少ないため、人間のように汗をかいて体温を調整することがあまりできません。そのため、浅く速い呼吸を繰り返すことで唾液を蒸発させ、その気化熱で体に籠った熱を冷まそうとします。
つまり「犬が暑がっている状態」なので、愛犬がパンティングをしていたらエアコンの設定温度を下げたり涼しい場所に連れて行ったりしてあげましょう。
日本の夏は気温だけでなく湿度も高いので、パンティングをしている状態で長時間放置すると熱中症になってしまう恐れがあります。
ダブルコートの被毛を持つ犬種は基本的に暑さに弱いので、特に気を付けてあげてください。
2.ストレス
犬は物理的な理由だけでなく、「ストレスを感じる」といった精神的な理由でもパンティングをすることがあります。
人間が緊張すると呼吸が浅く速くなるように、犬も心配や恐怖、不安などが原因でストレスを感じてパンティングをすることも。パンティング以外に、以下のような症状がある場合はこのケースが多いです。
・よだれを垂らす
・頻繁に口周りをなめる
・落ち着きがない
・尻尾を追い回す
・鳴き叫ぶ
過剰なストレスは心身に悪い影響を与え、酷い場合はパニック状態になってしまうこともあります。飼い主さん自身での対処が難しいようなら、一度動物病院で診てもらうと良いでしょう。
3.短頭種、肥満
体の構造や体型の影響で、頻繁にパンティングを行う場合もあります。
いわゆる「鼻ぺちゃ」と呼ばれる、パグやフレンチブルドッグのような短頭犬種は他の犬種に比べて呼吸が苦手なので、ちょっとした暑さを感じただけでパンティングをします。
また、肥満になると、首周りについた脂肪が原因で気道が細くなり、呼吸がしにくくなるので、パンティングの機会が増えることも。
こうした呼吸の影響は、睡眠時のイビキとしても表れます。イビキやパンティングが激しい場合、呼吸がしづらく息苦しさを感じている恐れがあるので、早めに動物病院で診てもらってください。
症状が重篤な場合、手術が必要になることもあります。
4.病気
運動をしたわけでも暑いわけでもないのにパンティングをするようなら、呼吸器系や循環器系に何らかの疾患があるかもしれません。
「呼吸器系は分かるけど循環器系も?」と疑問に思うかもしれませんが、心臓病の症状として咳など呼吸に異常が表れることがあります。心臓の動きに問題があると血液の流れが滞り、全身に行き渡る酸素の量が不足してしまい、呼吸がとても荒くなるのです。
呼吸器系や循環器系の病気は生命に関わることがあるので、異常を感じたら速やかに動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
運動後や暑い日など、犬の呼吸が荒くパンティングをするのは珍しいことではありません。体に籠った熱を放散させようとしているのですから、自然な行動といえます。
しかし、何もしていないのに呼吸が速すぎたり、普段見られないような異常な行動をするようなら、過剰なストレスを感じているか何かしらの病気を患っている恐れがあります。
今回の記事をご覧になり犬の呼吸に理解を深めて、常日頃から愛犬の様子を観察してみることをおすすめします。
また、犬種特有の体型や肥満が原因でも呼吸が乱れることがあるので、飼い主がしっかり管理してあげましょう。
著者/ブリーダーナビ編集部