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ペットとして、私たちの最も身近な存在でもあるワンちゃん。中には、目の不自由な方をサポートする盲導犬をはじめ、私たちのために働いてくれるワンちゃんは数多く存在しています。
今回は、頭の良さと鋭い嗅覚を活かして活動する「職業犬(使役犬)」を紹介します。
有名な職業からあまり知られていない意外な職業まで、どんな場所でどんな役割を与えられ働いているのでしょうか?
目次
働く犬の一覧
名称 | 仕事内容 | 代表的な犬種 |
---|---|---|
盲導犬 | 視覚障碍者と行動を共にして生活をサポート | ゴールデンレトリーバー |
聴導犬 | 目覚まし時計など、さまざまな音を報告する | シェットランド・シープドッグ |
介助犬 | ドアを開けるなど手足に障害がある方をサポート | ラブラドールレトリーバー |
警察犬 | 犯人や犯人の遺留品、行方不明者を捜索する | ジャーマンシェパード |
災害救助犬 | 行方不明になった被災者を捜索する | セントバーナード |
牧羊犬 | 家畜の群れの誘導や見張り、保護など | ボーダーコリー |
セラピードッグ | リハビリ補助や機能回復サポートなど | ダックスフンド |
猟犬 | 獲物の捜索や追跡、回収など | イングリッシュポインター |
闘犬 | 犬同士を戦わせるスポーツ | ピットブル |
競争犬 | 賭けの対象として競争する | ウィペット |
害獣駆除犬 | 人間の害となる野生動物を駆除する | グレートデン |
上記以外にも、ワンちゃんは鋭い嗅覚を活かしてさまざまなお仕事をしています。
利用される分野・業界も幅広く、医療から考古学、果ては戦地・紛争地跡まで、地球上のあらゆる場所でワンちゃんは活躍しているのです。
その一部を下記にご紹介します。
・ガン探知犬
・考古学犬
・シロアリ探知犬
・検疫探知犬
・遺体探知犬
・爆発物探知犬
・地雷探知犬
…etc.
①盲導犬と代表的な犬種
盲導犬は、視覚障碍者の外出をサポートし、安全に目的地へ誘導するための特別な訓練を受けた「目が見えない方の目になる」職業犬です。
例えば、赤信号を判断して立ち止まったり障害物の場所を教えたり、目の不自由な人と行動を共にして、生活をサポートしてくれます。
盲導犬は、「身体障害者補助犬法」により、公共施設や交通機関、デパート、ホテルなどの民間施設に入ることが認められています。
<代表的な犬種>
ラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバー
②聴導犬と代表的な犬種
聴導犬とは音を知らせる職業犬で、盲導犬が視覚をサポートするのに対し、聴導犬は聴覚をポートします。
例えば、目覚まし時計などタイマーの音を知らせて誘導したり、メールの着信を知らせたりするなど、さまざまな音をパートナーに知らせる職業犬です。
複数の音を聞き分けることができ、警報音が鳴れば避難を促すなど、緊急事態には命を守る働きをすることもあります。
体の大きさや力の強さを問題としないので、犬種を問わず適性があれば保護施設から引き取られて聴導犬になることも。また、盲導犬になれなかった子のキャリアチェンジ先として、聴導犬になることもあるそうです。
<代表的な犬種>
シェットランド・シープドッグ、柴犬
③介助犬と代表的な犬種
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盲導犬が視覚をサポートするのに対し、介助犬は手や足に障害がある方をサポートする特別な訓練を積んだ職業犬です。立ち上がる手助けをしたり物を取ってきたりするほか、ドアを開ける、スイッチを押すなど、日常生活のさまざまな場面で活躍してくれます。
介助という物理的なサポートはもちろん、精神的な支えにもなってくれる存在です。介助犬と生活するようになり、「外出の不安が軽減された」「家族が安心して外出できるようになった」「近所の人との会話が増えた」といったも報告されています。
パートナーのサポートという役割から混同されがちですが、盲導犬や聴導犬とは明確に異なる職業犬です。
<代表的な犬種>
ラブラドールレトリーバー
④警察犬と代表的な犬種
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働く犬の代表ともいえる警察犬ですが、仕事の内容によって4つの仕事に分かれていることをご存知でしょうか?どれも、ワンちゃんの高い能力を活かした、専門性の高い仕事になっています。
<代表的な犬種>
シェパード、ドーベルマン、コリー、エアデールテリア、ラブラドールレトリーバー、ボクサー、ゴールデンレトリーバー
・麻薬探知犬
テレビ番組などでも紹介されているため、多くの方が目にしたことがあると思われる、おそらく最も有名な警察犬の仕事でしょう。
その名の通り、麻薬を探知するよう訓練された使役犬で、空港の税関などに常駐して、国内に麻薬を持ち込ませないように見張る役割を担っています。
貨物の中の麻薬を探知し係員に知らせる「アグレッシブドッグ」と、旅行者が身につけている麻薬を探知し座って知らせる「パッシブドッグ」の2種類に分けられます。
・跡追及犬
犬の鋭い嗅覚を使い、現場に残された犯人の遺留品の臭いから犯人の足跡を追ったり、行方不明になった人を探し当てたりする仕事です。刑事ドラマや映画などにも登場するので、警察犬と聞いて、まずこちらを連想する方も多いでしょう。
行方不明になった被害者をいち早く見つけ出す役割も担っており、雪国では遭難した人を探し出す救助犬としての役割を課される場合もあります。
・気選別犬
気選別犬は、逮捕された容疑者と遺留品の匂いが一致するか、確認する役割を担う警察犬です。一致した(しない)という情報は、裁判でも物証として認められるほど高い重要性を持っています。
・威警犬
犯罪者の威嚇や犯罪抑止を目的に、警察官とともにパトロールする役割を担う警察犬です。
いざという時は不審者に対して逮捕のための行動を起こすこともできるので、警察官の心強い味方になってくれます。
⑤災害救助犬と代表的な犬種
地震などの災害時に、倒壊した家屋や土砂等に生き埋めになった要救護者を発見・救助するために訓練された職業犬です。人間では探索が難しい状況でも、嗅覚をはじめとした犬の鋭い感覚で探し出すことができます。
人命救助という命に関わる仕事なので、勇敢さや知性、忍耐強さなど極めて高い能力が求められます。
・山岳救助犬
山岳救助犬とは、雪山の遭難者の捜索や山林での捜索など、文字通り山岳地帯で遭難した人を救助する犬のことです。過酷な大自然で活動するため、優れた嗅覚と深い雪の中を進む体力、勇気が必要になります。
最も有名な山岳救助犬「バリー」は、セントバーナードの祖先である「アルペン・マスティフ」という犬種で、スイスの広大な雪山でたくさんの遭難者を救助しました。
<代表的な犬種>
セントバーナード、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ラブラドール・レトリーバー、ボーダー・コリー、ゴールデン・レトリーバー、ウェルシュ・コーギー、ミニチュア・シュナウザー
・水難救助犬
水難救助犬は、海や川で溺れている人を助ける役割を担う災害救助犬です。四方を海に囲まれた日本では、年間およそ1,000件の水難事故があるので、活躍の機会が多い職業犬といえるでしょう。他の職業犬と異なり、人間の指示がなくても独自の判断で救出活動を行うことができます。
<代表的な犬種>
ニューファンドランド、ラブラドールレトリーバー、レオンベルガー
⑥牧羊犬と代表的な犬種
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牧羊犬とは、家畜の群れの誘導や見張りを仕事とする職業犬です。
元々は見張り役として、外的から家畜を守るために大型犬が担っていた役割でした。しかし、時代の変遷とともに誘導が中心になり、機敏な中型・小型犬種が選ばれるようになったのです。
見張りや外敵を防ぐ「ガーディングドッグ」と、群を誘導する「ハーディングドッグ」と
いう2つの役割があります。
<代表的な犬種>
ボーダーコリー、シェットランドシープドック
⑦セラピードッグと代表的な犬種
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セラピードッグは、ワンちゃんと触れ合うことで心や体を癒す「ドッグセラピー」というお仕事をする職業犬です。
コミュニケーションを通じて、病気やケガ、精神的に病んだ人の癒やしとなるよう訓練を受けており、特に高齢者や認知症、自閉症の方への効果が期待されています。
セラピードッグは人間の癒しになるだけでなく、虐待を受けたり遺棄されたワンちゃんが立ち直るきっかけにもなる、人間とワンちゃんの双方向のリハビリという側面もあるのです。
<代表的な犬種>
ゴールデンレトリーバー、ダックスフンド
⑧猟犬と代表的な犬種
漁師とともに活動し、獲物を捜索したり回収したりする役割を担う職業犬です。大きく「鳥猟犬(ガンドッグ)タイプ」と「獣猟犬(ハウンド)タイプ」の2種類に分かれ、それぞれ専門とする獲物で分けられます。
獲物となる動物によっては、地上だけでなく岩穴や水中まで、その活動範囲は広範に亘ります。
<代表的な犬種>
イングリッシュポインター、イングリッシュセッター
⑨闘犬と代表的な犬種
闘犬は、犬と犬を戦わせるブラッド・スポーツの一種で、同時に「闘犬競技」で用いられる犬種の意味でもあります。古くから世界各地で娯楽として親しまれてきましたが、近年になり動物愛護の観点から、廃止または縮小の傾向に。
<代表的な犬種>
ピットブル、ブルドッグ、土佐犬
⑩競争犬と代表的な犬種
競争犬は、犬たちに競争をさせて楽しむドッグレースに出場する職業犬で、分かりやすく説明すれば競走馬の犬バージョンです。海外ではギャンブルとして人気ですが、結果を出せない犬は処分されることもあり、動物愛護の観点から禁止する国がある一方、公営ギャンブルとして扱う国も少なくありません。
<代表的な犬種>
ウィペット、グレイハウンド
⑪害獣駆除犬代表的な犬種
社会活動の上で何らかの害をもたらす野性動物を駆除するのが、害獣駆除犬の役割です。猿を駆除する「モンキードッグ」や、熊を駆除する「ベアドッグ」が群馬や長野で活躍しています。
野性動物を相手にする危険が伴う仕事なので、小型犬よりも大型犬の方が向いているといえるでしょう。
<代表的な犬種>
グレートデン
著者/ブリーダーナビ編集部