ブリーダーという職業について、どのくらい知っていますか?
ブリーダーは、ペットなどの動物を交配・繁殖させる職業で、特定の動物のみ――例えば、ワンちゃんならワンちゃんのみを扱う専門性の高い仕事です。
今回は、そんなワンちゃんのエキスパートといえる、犬のブリーダーについて詳しく解説していきます。
「犬のブリーダー」ってどんな職業?
ペットブームを経て、少しずつ認知度が上がってきたブリーダーですが、「そもそもブリーダーって何?」と聞かれると、回答に困る方も多いのではないでしょうか?
ブリーダーとは、簡単にいえば「ワンちゃんを繁殖させ販売する職業」です。
同じくペットを販売しているペットショップとは違い、自らの手で繁殖させるため、扱っている犬種に詳しく、分からないことは質問すればすぐに答えてくれます。その豊富な知識と培われた経験は、扱っている犬種の「専門家」といえるでしょう。
では、具体的にブリーダーはどのような活動をしているのでしょうか?
ここからは、ワンちゃんという命を扱う、ブリーダーという仕事について見ていきたいと思います。
どんな仕事をしているの?
「ブリーダー(Breeder)」とは、動物や植物を繁殖(栽培)する人のことです。
ワンちゃんのブリーダーは、言葉の意味通り、親犬となる母犬や父犬を所有し、交配させることで生まれた子犬の販売を生業としています。
言葉で説明すると簡単に聞こえますが、そのために必要な知識や経験、伴う労力は相当なレベルを要求される職業です。
市場に出回るワンちゃんは、原則ブリーダーの手によって繁殖されており、ペットショップで販売されいているワンちゃんも例外ではありません。近年、ネットの普及によりブリーダーから直接ワンちゃんを迎えるためのハードルが下がったことで、一般的になりました。
組織として経営しているブリーダーは全体の10%以下で、その多くは個人経営です。
中でも専門的にブリーダーの仕事をしている方は、全体のおよそ3割ほど。ほとんどが、副業や趣味でブリーダーとして活動している「バックヤードブリーダー」といわれています。
どちらもブリーダーとしての活動に大きな差はありませんが、やはり専門的に活動されているブリーダーの方が、知識や経験が豊富です。
ブリーダーになるために必要なことは?
ペット先進国といわれる欧州では、ブリーダーは専門性の高い職業で仕事をするためには専門の資格を取得する必要があります。また、国によって開業するためのハードルの高さも異なり、事業者の違法行為には重い罰則が課されます。
一方、日本でブリーダーとして活動する場合、特別な資格は必要ありません。行政に届け出れば開業も可能で、違法行為に対する罰則も、罰金程度と軽微なものとなっています。
「資格がいらないなら、簡単になれるのでは?」と考える方もいるでしょう。
確かにブリーダーになるために資格は必要ありませんが、動物を販売するためには「第一種動物取扱業」を取得する必要があります。
こちらの取得のためには関連施設での半年以上の就労経験や、動物関連の専門学校の卒業認定が求められます。そのうえで、開業する地域の動物愛護センターに申請を行い、受理されると「第一種動物取扱業」としての登録が完了します。
また、ブリーダーとして活動を続けていくのなら、後々のことを考えて動物に関わる資格を取得しておいた方がいいかもしれません。「愛玩動物飼養管理士」「ペット繁殖インストラクター」は、ブリーダーの知識・経験を活かして取得できる民間の資格です。
こうした資格を取得することは、ブリーダーとしての活動の幅を広げることができるだけでなく、お客様から信用を得ることにも繋がります。
※非営利でも飼養施設があって10頭以上を飼養する場合は『第二種動物取扱業』取得が必要になります
血統書の発行に関して
血統証明書(血統書)を発行するためには、発行団体に加入する必要があります。
主な発行団体は下記です。
- ジャパンケネルクラブ(JKC)
- 日本警察犬協会(PD)
- 日本コリークラブ(J.C.C)
- 日本ケネルクラブ(NKC)
- 日本愛犬協議会(JCA)
- 日本社会福祉愛犬協会(KC)
ほとんどのブリーダーがJKCに加入し、JKCの血統書は日本では唯一の国際公認血統証明書となっています。発行団体が異なる犬の交配で生まれた子犬は、血統書が発行されない場合があります。
優良ブリーダーと悪質ブリーダーの違い
ブリーダーに対して、「優良」「悪質」という表現を用いられることがあります。
しかしながら、優良かどうかを見極めるのは非常に難しくもあります。
ここからは「専門知識」「飼育管理」の2点からブリーダーの質を見極めるポイントを解説していきます。
必要とされる専門知識
- 遺伝に関する知識(毛色、遺伝性疾患、成犬時のサイズ予想)
- 医学に関する知識(ワクチン、投薬、衛生管理、駆虫、消毒)
- 健康に関する知識(健康管理、食事管理、体調チェック)
- 性格形成に関する知識(親犬との接触時間、社会化を育む環境、引き渡しの月例の管理)
など
上記の知識が不足している場合、遺伝的に問題のある子が生まれてくる可能性や、子犬を迎えた後に問題行動や病気の可能性が高まります。
飼育管理を徹底しているか
犬舎内が下記のような状況の場合は注意が必要です。飼育環境はブリーダーのワンちゃんに対する飼育の姿勢や考え方を知るうえでは1つの判断基準になります。
- 飼育スペースが狭い(ストレスがたまる環境)
- 飼育スペースが臭い、不衛生(管理が行き届いていない)
- 親犬が汚れていたり、十分なケアがされていない(親犬を見せてくれない)
など
衛生面の管理が行き届いていないということは、人手が足りていないと判断すこともできます。その場合は日常的な世話に手一杯となり、子犬の社会性を育むしつけや適切な血統管理まで手が回っていない可能性が高いです。
まとめ
日本では資格がなくてもブリーダーを始められますが、開業するためには「第一種動物取扱業」を取得する必要があります。
また、血統書の発行に関しては、発行団体が異なる犬から生まれた子犬の場合、血統書が発行されないことがあるので注意しましょう。
お迎えの際、優良ブリーダーなのか悪質ブリーダーなのかを判断する基準として、専門知識の有無、飼育管理が徹底されているかは重要なポイントです。
ブリーダーから子犬を迎えるメリットについては下記リンク先で解説しています。
こちらも参考になれば幸いです。
ブリーダーから愛犬を迎えるメリットって?買う費用など
著者/ブリーダーナビ編集部