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犬アレルギーは治せる?治療法は?
犬アレルギーの治療は、ほかのアレルギーの治療と同様に、投薬によりアレルギー反応を抑えることが目的です。根本的な治療方法は見つかっていないので、あくまでアレルギー症状を抑える対処療法になります。
アレルギーの治療は、症状を軽減させる対処療法
現在の医療では、治療による完治が見込めません。そのため、アレルギーの治療は「完治ではなく症状の軽減」を目的に行われます。
内科、耳鼻科、皮膚科、アレルギー科など、症状が現れている部位の診療科で診察してもらい、体質にあった薬剤を処方してもらうことになります。
また、アレルギーの内容によっては、病院での治療以外にも生活環境を見直すことで、大きく改善が見込める場合もあります。
部屋の掃除をマメに行い、アレルゲンを可能な限り除去するとともに、シャンプーやブラッシングなどのお手入れで愛犬を清潔に保つといいでしょう。また、場合によっては生活する部屋を別にすることで、アレルゲンから遠ざけるのも有効です。
アレルギーが疑われるようなら検査を受けよう
アレルギー症状が現れたとして、その原因がワンちゃんにあるのかどうかは、実際に検査してみなくては断定できません。
愛犬との生活のためにも、ワンちゃんを迎える前にアレルギー検査を受けることをおすすめします。
アレルギー検査①:RAST(radioallergosorbent test)
血液中にある「IgE抗体(免疫グロブリンE)」というたんぱく質を調べることで、どんな物質にアレルギーがあるのかを調べる血液検査です。個々のアレルゲンに対する反応の強さを6段階に分けて数値化します。
数値の高さはアレルギー症状を起こす可能性の高さであり、アレルギー症状の強さを示すわけではありません。
<IgE抗体とは>
アレルゲンが体内に入ったときにつくられる抗体のこと。
アレルゲンと出会うことで、結合している肥満細胞からヒスタミンが放出され、アレルギー反応が起こります。
アレルギー検査②:プリックテスト
【ブリックテスト】とは、「IgE抗体の有無」「皮膚の敏感さ」「体全体のアレルギーの強さ」を推測する検査方法です。即時型アレルギーに対する検査として、その安全性や有用性、簡便さから日本や欧米で推奨されています。
プリック針という針で少量のアレルゲンを皮膚に入れ、15分後に出現した膨疹径を測定します。血液検査と違い、乳幼児に行うこともできる検査方法です。
犬を飼っていてアレルギー症状が出てしまった場合
ワンちゃんを飼う前は大丈夫だったのに、飼ってから犬アレルギーになることもあるでしょう。しかし、犬アレルギーになったからといって、「愛犬と別れるわけにはいかない…」。そんな場合は、どうすればいいのでしょうか?
空気中のアレルゲンを除去する
犬アレルギーの原因は、ワンちゃんの「皮脂腺・フケ・被毛・唾液中」に含まれるアレルゲンです。そのため、空気中に漂っているアレルゲンを除去することで、アレルギー症状の発生を抑えることができます。
そこで有効なのが、部屋の換気や空気清浄機。特に空気清浄機は、アレルゲンを除去することに特化した商品も販売されているので、おすすめです。
念入りな掃除でいつも清潔に
布団やソファー、クッション、カーテンといった布製品には、どうしてもアレルゲンが留まってしまいます。私たちは、そこから空気中に舞ったアレルゲンを吸い込んで、アレルギーになってしまうのです。
そのため、アレルゲンが宙を舞わないように部屋をこまめに掃除して、室内を可能な限り清潔に保つよう心がけましょう。
特に、ワンちゃんの行動範囲には抜け毛が多いので、念入りな掃除を心掛けてください。
また、エアコンは、自然と抜け毛や汚れを吸い込むので、フィルターの掃除も忘れずに。
シャンプーやブラッシングで愛犬を清潔に保つ
シャンプーやブラッシングは、アレルゲンであるフケなどを落とすためにとても有効です。
しかし、犬種によっては1週間に2回程度の頻度でシャンプーをしなければ効果が期待できないので、シャンプー嫌いな犬には負担でしょう。また、過度なシャンプーは皮膚炎のリスクになるので、ワンちゃんの健康にも配慮する必要があります。
定期的なブラッシングは、抜け毛やフケの飛沫を防げるのでおすすめです。
ただし、こうしたお手入れは直接アレルゲンに触れることになるため、犬アレルギーではない人が行うようにしましょう。
居住スペースを分けて接触を減らす
アレルギーへの最も有効な対処方は、アレルゲンから遠ざかること。つまり、犬アレルギーへの対策として、ワンちゃんと接触する時間を減らすことが最も有効なのです。
例えば、ワンちゃんの「寝床やトイレ」を人間の生活スペースから離すことができれば、アレルゲンに触れる機会を極力減らすことができます。
また、眠っている間にアレルゲンの吸収を防ぐために、寝室にはワンちゃんが入らないように、ワンちゃんと飼い主の生活スペーを完全に分けるのもいいでしょう。
生活の見直し
・手洗い
ワンちゃんを触った後、入念に手を洗うのも、アレルギー対策としては大切です。
ワンちゃん自身だけでなく、ワンちゃんが頻繁に触れるフードボウルやオモチャなどにもアレルゲンが付着しているので、これらに触れた後もしっかり手を洗いましょう。
・環境
家の中を、できるだけワンちゃんの抜け毛が付着しにくくするのも有効です
例えば、床にはカーペットなどの敷物を置かない方がいいでしょう。ただし、フローリングではワンちゃんが足を滑らせるので、ビニールシートの床材などがおすすめです。
また、ほこりや毛がつきやすいカーテンではなくブラインドタイプにして、毎日ほこりや毛を拭き取るといいでしょう。
このほか、座布団やクッションにも気を付けてください。
・洗濯
洗濯をする際は、飼い主の物とワンちゃんの物を一度に洗おうとせず、別々に洗うようにしましょう。
飼い主用とワンちゃん用、それぞれ専用の洗濯機を使うのが理想的ですが、一般家庭ではそうもいきません。そのため、まずは飼い主の物を洗い、その後ワンちゃんの物を洗ってさらに洗濯機を掃除するといいでしょう。
また、洗濯物が乾くと付着していた毛が落ちることがあるので、可能な限り外で干すようにしてください。
まとめ
犬アレルギーだからといって、「犬と一緒に暮らせない」と考えるべきではありません。
もちろん、アレルギーがない人と比べていくつかの制限はありますが、ワンちゃんと暮らすことは決して無理なことではないのです。
しかし嘔吐や呼吸障害などの重い症状が表れた場合は、一緒に生活することが困難なのも事実。また、幼いお子さんが犬アレルギーになってしまった場合、発育に伴い症状が悪化する可能性があるので、我慢させるというのも無理があります。
犬アレルギーは、時間とともに慣れるというものではありません。
発症した場合、必要なのは正確な情報と的確な対応です。
可能であれば、犬を飼う前に家族の「犬アレルギーの有無」を検査し、「発症したらどうするか」を考えておくべきでしょう。
犬にとっても人間にとっても、お互いが幸せな生活が送れるように、アレルギーのことを理解していただきたいと思います。
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著者/ブリーダーナビ編集部