⑤骨格や関節
歩いている姿を見たとき、しっかりと足が地面に付いて歩けているか、ふらつき、片足を上げて異常な歩き方をしていないか確認してみてください。
要注意!膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝を曲げ伸ばししたときに膝のお皿(膝蓋骨)がずれてしまう症状を膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)、別名:パテラと言います。小型犬やトイプードルに多いとされています。
パテラには、症状の重さによって4つのグレードがあります。
【グレード1】
膝蓋骨を手で押すと脱臼するが、手を離せば正常値に戻る
【グレード2】
膝を曲げると脱臼し、膝を伸ばすか手で押せば整復する
【グレード3】
膝蓋骨は常に脱臼したままで、手で押せば戻るが手を離せば容易に再脱臼する
【グレード4】
膝蓋骨は常に脱臼したままで、手で押しても戻せない
重度(グレード3~グレード4)の場合は手術が必要になることもあります。ただし、子犬のときはまだ足に筋肉がきちんとついておらず不安定なためパテラになりやすく、大きくなるにつれて筋肉がついてくると自然と治る子もいれば、症状が緩和されグレードが下がる子もいます。
できるだけ症状を悪化させないためにも、滑りやすいフローリングの床には絨毯を敷いたり、高いところから飛び降りないよう対策したりと事前の予防が大事です。
頭蓋骨の頭頂部「ペコ」を確認
頭の骨の形成が不完全な状態や、頭蓋骨(ずがいこつ)の頭頂部の凹んでいる部分を「泉門(せんもん)」と言います。
通称「ペコ」という名称で、チワワを筆頭に小型犬に特に多く見られます。ペットショップで「小ペコ」というような表現で聞いたことある方もいらっしゃるかもしれません。
泉門が開いている子になりやすい病気が、水頭症(すいとうしょう)です。脳の髄液(ずいえき)が異常に増え、脳室(のうしつ)に髄液が広がってしまい神経を圧迫しさまざまな症状が出ます。
泉門が開いているからと言って必ず水頭症になるわけではありませんが、頭がドーム状に広がる、普段より明らかに興奮しているなど、様子が明らかにおかしいと感じたらすぐ動物病院に連れて行きましょう。
また、泉門は成長とともに自然にふさがっていくことが多いです。
臍ヘルニア・鼠径ヘルニア
●臍ヘルニア
腹部あたりが膨らむ、いわゆる「でべそ」を臍(さい)ヘルニアと言います。腹部の壁が十分に閉じきっておらず、そこから脂肪や内臓が飛び出している状態です。
先天性のものと、肥満や外傷などによって起こる後天性のものがあり、メスに多く発症すると言われています。
子犬の頃に発症した場合は、成長と共に小さくなるなど、自然と治る子もいますが、ヘルニアが大き過ぎる場合は手術が必要になることもあります。小さい場合は無治療で経過観察のワンちゃんがほとんどです。小さいヘルニアでも気になる方は避妊去勢手術のときに一緒に治療するワンちゃんもいます。
●鼠径ヘルニア
後足の付け根にあたる鼠径(そけい)部から腸管が飛び出している状態を「鼠径ヘルニア」と言い、「脱腸」とも呼ばれます。小さいようであれば指で押して引っ込めることができ、経過観察で様子を見ます。ヘルニアが大きく重度の場合は腸が突出し、食欲不振、嘔吐などの症状が見られます。
また、膀胱(ぼうこう)が突出するとおしっこが難しくなり手術が必要になります。鼠径ヘルニアも先天性、後天性があり特にオスに多いと言われています。
毛ぶき・毛づやのチェック
「毛ぶき」や「毛づや」は健康状態を確認できるポイントです。触れ合った際によくチェックしてみてください。
●毛ぶき
毛ぶきとは、毛並みや毛量のことです。
毛並みは皮膚の状態に左右されます。たんぱく質が足りていないドッグフードで毛並みが悪くなることもあります。
また、ストレスや病気にかかっている子は不自然に毛量が少ない子もいます。ただし、ちょうど毛の生え変わりの時期で毛量が少ない場合もあります。その場合は毛ぶきが悪いわけではないので間違わないでくださいね。
●毛づや
毛ぶきを見るときに合わせて毛づやも確認しましょう。
人間の髪と同じでワンちゃんの毛にもつやがあります。栄養がきちんと行き渡っていなかったり、皮膚に異常があったりすると、パサパサな毛質になる場合があります。飼育環境や成長過程で一時的に毛づやが悪くなることもあるようです。
毛の長さや構造によっても違う
長毛や短毛など、ワンちゃんの被毛にはさまざまな種類があります。それぞれでお手入れの方法が違ったり、被毛の構造によって抜け毛が多かったりするので飼い方に大きく関わってきます。被毛の特徴をよく理解した上で、迎え入れる犬種を決めましょう。
●長さ
長毛の場合、毛が長いのでふわふわと柔らかい手触りをしています。ただし、毛が長く絡まりやすいので、こまめなブラッシングやトリミングが必要です。トリミングでさまざまなカットを楽しめるのは魅力的ですが、その分費用がかかります。
一方、短毛の場合は毛が短いため毛が絡まらず、お手入れがとても簡単です。とは言え、短毛でも定期的にシャンプーをして清潔にしてあげないといけません。
●構造
ワンちゃんの被毛には「ダブルコート」と「シングルコート」の2種類あります。
【ダブルコート】
ダブルコートは表面にある硬い毛で皮膚を保護する「オーバーコート」と、皮膚近くにある柔らかな毛で保温する「アンダーコート」の二層構造になっています。アンダーコートは換毛期(春・秋)になると生え変わるので大量に抜け毛が発生します。そのため、室内で飼育する場合、抜け毛対策が必要です。
ダブルコートの犬種
・ミニチュアダックスフンド
・柴犬
・コーギー
など
【シングルコート】
シングルコートはオーバーコートのみの構造になっています。厳密に言うと、アンダーコートはありますが、極端に少ないため抜け毛にはあまり悩まされません。ただし、アンダーコートがない分、保温ができないので寒い時期には服の着用や室内温度など体温管理に気を付けましょう。
シングルコートの犬種
・トイプードル
・ヨークシャーテリア
・マルチーズ
など
著者/ブリーダーナビ編集部