共働きで犬は飼えるのか?
「夫婦共働きだけど犬が飼いたい…」そう悩んでいる方は、少なくないと思います。
まず飼えるのかどうかですが、実際共働きでワンちゃんを飼っている人は世の中たくさんいるので、「不可能ではない」と言えるでしょう。
ですが様々な条件をクリアし、またワンちゃんにストレスが掛からないよう最大限の配慮をして飼っているはず。
ここでは共働きで犬を飼うときに心得ておきたい条件やデメリットについてご説明します。
共働きで犬を飼うとき【飼い主】に求められる条件
- 留守番できる空間(大きなケージやサークルを置くスペース)がある
- 在宅時に犬と過ごす時間を長く取れる
- 帰宅前後に散歩に行く時間的、体力的な余裕がある
共働き、つまりワンちゃんにひとりで過ごしてもらう時間が長い場合、飼い主にはこれらの条件が求められます。
留守番できる空間(大きなケージやサークルを置くスペース)がある
留守番中はワンちゃんをケージやサークルの中に入れるのがおすすめですが、「かわいそう…」と感じる方もいらっしゃると思います。
もちろん、狭すぎる場所に長時間入れておくのはNGです。
とはいえ留守番中に行動できる範囲があまりに広すぎると、物を壊す、誤飲・誤食などが心配ですし、玄関ドアまで来れてしまったら、帰宅してドアを開けた途端に脱走…ということも考えられます。
ワンちゃんにとって安全でストレスのかかりにくい留守番環境を作れることが、必要な条件となります。
在宅時に犬と過ごす時間を長く取れる
長時間ひとりにさせてしまう分、帰宅後は愛犬と向き合う時間を長く取れる方でないと、共働きで飼うのは難しいかもしれません。
夜や休日など家にいる時間は、できる限り愛犬とコミュニケーションを取るようにしましょう。
帰宅前後に散歩に行く時間的、体力的な余裕がある
散歩はワンちゃんにとってとても大事な時間です。
大型犬であれば1回1~2時間の散歩が適正なこともあります。大型でなくても、犬種によっては非常に多くの運動量が必要です。
帰宅が遅くなってもクタクタに疲れていても、愛犬と一緒に散歩に行ける時間的・体力的な余裕はありますでしょうか。
共働きで犬を飼うとき【犬】に求められる条件
- 留守番できる
- 吠えない
- 室内で排泄できる
以上が、ワンちゃんもクリアしておきたい条件になります。それぞれの項目で詳しく解説します。
留守番できる
ここで言う「留守番できる」というのは、家の中でひとりにされても吠えたり暴れたりせず、いつもと同じように落ち着いて過ごせるということです。
共働きに出る場合、何時間の留守番になるでしょうか。
例えば通勤に片道1時間、就業時間が1日8時間の場合、10時間の不在ということになります。
長い留守番になりますが、愛犬は平常に過ごせますか?
急に長時間の留守番をさせるのは、ワンちゃんにとって大きなストレスになります。短時間から始めて少しずつ慣らしておくことが大切です。
吠えない
飼い主が不在の間、家の前を走る車の音や鳥の声などに反応していちいち吠えていたら、近所トラブルに繋がる恐れがありますよね。
このような吠え癖は治してから共働きをするようにしましょう。
室内で排泄できる
犬のトイレは室内派と外派に分かれますが、共働きで留守番が多くなる家庭の場合、トイレは室内で覚えさせるのが望ましいでしょう。
働いていると、急遽遅くまで帰れなくなるということもあり得ると思います。
ワンちゃんも長時間トイレを我慢するのは病気の原因になりますし、我慢できずに漏らしてしまった場合、その付近には近寄らなくなったりもします。
それがベッドの上だったら、すぐに替えなくてはいけなくなることも。
そうならないよう、室内で排泄できるかどうかも重要なポイントです。
共働きで犬を飼うときに考えられるデメリット
共働き世帯で犬を飼うとなると、ひとりでお留守番させる時間が長く、コミュニケーション不足になってしまうことが考えられます。
愛犬とのコミュニケーションが十分に取れないと、吠え癖・噛み癖がつきやすくなる、「分離不安」のような不安障害など、問題が起こるリスクが高まるといわれています。
また、ワンちゃんの留守番中に起きたトラブルにすぐに対応できないというデメリットも。
もし高いところから飛び降りてケガをしていたら…?
空調が合わず熱中症になっていたら…?
どんな危険が起こり得るかを予測して、事前に対策をすることが重要になります。
共働きで犬を飼うときに心得ておいてほしいこと
犬は「飼いたい」という気持ちだけでは残念ながら飼えません。
「共働きだけど犬を飼いたい」と思っている人は、以下のことを心得ておく必要があります。
- 犬種特性を理解して選ぶ
- 疲れていてもコミュニケーションはさぼれない
- 急な残業などのときに世話を頼める人が必要
- 犬優先の生活が20年続く可能性
「飼いたい犬」と「飼える犬」は異なります。
共働きで留守番させる時間が長いという家庭に、甘えん坊で人と一緒にいることが一番大好き!というワンちゃんは、当然不向きということに。
犬種には個体差こそあるもののそれぞれ性格傾向があるので、どのワンちゃんなら飼えるのか、犬種特性を理解した上で選ぶようにしましょう。
そして留守番が得意な犬種であれ、ワンちゃんにとって飼い主とのコミュニケーションタイムは至福の時間です。
どんなに疲れていても、愛犬と向き合うことを怠らないようにしてくださいね。
また急な残業などでふたりとも帰れない場合は、すぐにワンちゃんのお世話を頼める人がいると気持ちが楽になります。
両親や友人、ペットシッターなど、信頼できる人が近くにいると安心です。
ワンちゃんをお迎えしたら、犬優先の生活が20年続く可能性があるということを肝に命じておきましょう。
その間、犬の夜泣きでゆっくり眠れない日が続いたり、ずっとそばについて介護が必要になったりなど、飼い主の思うように生活できないときも起きるかもしれません。
何があっても最後まで大切に飼養する覚悟を持って、ワンちゃんをお迎えしましょうね。
共働き世帯におすすめの犬種と条件は?
では、どんな犬が共働き世帯におすすめなのでしょうか?
共働きに向いている犬の条件は?
以下の性格を持った犬種は、お留守番が比較的得意であることが多いです。
- おとなしい
- 独立心が強い
- 我慢強い
不在の間にワンワン吠えてはしゃぎ回るワンちゃんだと、ご近所と思わぬトラブルが発生してしまうなどのリスクがありますよね。
またワンちゃんの中には甘えん坊で飼い主から離れられないという子もいますが、それとは逆に独立心が強く、ひとりで過ごすのが好きな子もいます。
後者がお留守番の得意なタイプといえるでしょう。
そして、我慢強く飼い主の帰りを待てるワンちゃんも、共働きの方に向いています。
共働き世帯におすすめの犬種
以上の条件を踏まえた上で、共働き世帯におすすめなのは以下の犬種が挙げられます。
チワワ
守ってあげたくなるような容姿のチワワですが、実は独立心は比較的強いほうです。
チワワは賢くしつけも入りやすいので、訓練すれば留守番に順応することができるでしょう。
パグ
パグはおっとりとマイペースな性格をしています。
独立心が強くひとり遊びも好きなことが多いので、留守番も得意なほうだといえるでしょう。
吠えにくい犬種であることもおすすめのポイントです。
柴犬
日本犬は独立心が強い傾向があり、柴犬もそのひとつ。逆に構われすぎるのが苦手だという子もいるほどです。
警戒心も強いので、少しの物音に過度に反応し吠えないよう、しつけをしっかり行いましょう。
シーズー
シーズーは落ち着いた性格で吠え癖もつきにくいといわれています。
好奇心旺盛でさまざまなものに興味を示す傾向があり、おもちゃを与えればひとりで遊んで過ごせるワンちゃんです。
ラブラドールレトリーバー
おおらかな性格で知られるラブラドールレトリーバーも、留守番は得意なほうです。
大型で活動的なワンちゃんなので、留守番中の環境は広めに用意するようにしましょう。
ゴールデンレトリーバー
ゴールデンレトリーバーは人と過ごすのが大好きな犬種ですが、順応性が高いので、子犬のうちから慣れさせることで留守番もこなせるようになるはずです。
飼い主の在宅時は、たくさん遊んであげるようにしてくださいね。
ミニチュアシュナウザー
ミニチュアシュナウザーは賢い犬種なので、正しいトレーニングを行うと上手に留守番ができるようになります。
留守番中は退屈しないように、複数のおもちゃを用意するようにしましょう。
何ヶ月目から共働きにしてもよい?
子犬をお迎えした場合、どれくらい経ったら共働き、つまり数時間に及ぶ留守番ができるのでしょうか。
理想は生後6ヶ月以降
ワンちゃんの性格や留守番トレーニングの進み具合にも寄りますが、一般的には生後6ヶ月以上経ってからが望ましいといわれています。
子犬のうちはまだ消化器官が十分に発達していないので、食事は1日3~4回の小分けにして与えることになります。
そのため、子犬期のうちは5時間以上のお留守番は難しいといえます。
留守番トレーニングは生後3ヶ月頃から
ただし、子犬期を過ぎたらすぐに留守番ができるわけではありません。
生後3ヶ月を過ぎたあたりから少しずつ留守番に向けたトレーニングを始め、慣れさせておく必要があります。
トレーニングの方法については、以下の記事をご覧ください。
留守番させるときに注意すること
クレートやケージ内での留守番トレーニングとトイレトレーニング、留守番中に無駄吠えをさせないためのしつけが済んでから、共働きに出るようにしましょう。
留守番中にワンちゃんが退屈しないよう、おもちゃやコングなどを用意し、いつでも新鮮なお水が飲めるように給水器も設置してくださいね。
また留守番中の環境づくりには、エアコンなどでの室温調整も含まれます。
夏場はワンちゃんも熱中症になるおそれがありますが、留守中だと発見が遅くなってしまうので非常に危険です。
気温22度前後、湿度60%前後に保てるようにしましょう。
冬場も、暑すぎず寒すぎない気温に調整してください。
冬は乾燥しやすいので、湿度にも気を配るようにしましょう。50~60%程度が理想です。
留守番のために必要なしつけと安全に過ごせる環境つくりができたら、いよいよ留守番デビューです。
ひとりでお利口に過ごせるか不安な場合は、外出先から留守番中の愛犬を見守ることができるペットカメラを設置してみましょう。
種類によって給餌やエアコンの調節ができるものまで、さまざまな商品が販売されています。
まとめ
ここまで読んで、「やっぱり難しいかも…」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、決して「共働き世帯では犬を飼えない」ということではなく、多くの方が働きながらワンちゃんとの楽しい生活をおくっています。
家にいる時間は愛犬をたくさん褒めて、愛情を注いであげるようにしてくださいね。
飼い主も愛犬も安心して安全に暮らせるような暮らしが見つかるよう、祈っております。
著者/ブリーダーナビ編集部