現在、ワンちゃんを飼うのなら家の中で飼うことが一般的です。しかし、何らかの理由で外飼いする方もいらっしゃるでしょう。
では、現在の日本でワンちゃんを外飼いする場合、どんなことに気を付ければよいのでしょうか。
外飼いのデメリットとは?
photo by Chiemsee2016
一昔前は外飼いが普通でしたが、現在は家の中で飼うこと方が一般的になりました。
この変化は、時代の流れとともに室内飼いと比較して、ワンちゃん外で飼うことにデメリットがあることが分かってきたからです。
では、ワンちゃんの外飼いにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
感染症や寄生虫のリスクが高い
屋外でワンちゃんを飼う場合、室内に比べてノミやダニ、蚊といった寄生虫に晒されることが多くなり、それに伴う感染症のリスクも高くなってしまいます。加えて、飼い主の目が届きにくいので、体調の変化に気づきにくいことも大きなリスクです。
蚊の活動が活発になる夏場は特にリスクが高まるので、愛犬の様子に注意してあげましょう。
天気の影響を受ける
屋根がない屋外で飼う場合、当然ですが風雨から守ってくれるものがないので、天気が悪くなればその影響を直接受けることになります。
例え犬小屋を用意したとしても、屋内に比べれば受ける影響はどうしても大きくなってしまうので、場合によっては家の中に避難させる必要が出て来るかもしれません。
また、晴れた日であっても、土や砂、黄砂などの影響でどうしても汚れやすい環境といえます。そのため体を清潔に保つために、小まめに体を洗ってあげるようにしてください。
脱走の可能性
外飼いするということは、屋内で暮らす飼い主の目が届かないということ。そのため、ワンちゃんが敷地内から脱走してしまう恐れがあります。厳重にフェンスで囲い、リードをしっかり付けるなど脱走できないような工夫をしていても、完全に防ぐことは難しいでしょう。
登録やマイクロチップがあるので、脱走しても戻ってくる可能性もありますが、行方不明になっている間に道路へ飛び出し、事故に遭うかもしれません。
ご近所トラブルに発展することも
外で飼っていると、ワンちゃんの鳴き声を遮る壁がなく、飼い主がすぐ止めることもできないでしょう。外飼いしているワンちゃんの鳴き声は、飼い主が想像している以上に広い範囲に響き渡ります。昼間だけならまだしも、深夜に吠え続けるとご近所トラブルに発展しかねません。
また、外飼いするとなれば、必然的にトイレも外ですることになります。糞尿の臭いを遮るものもないため、風に乗って漂うことになり近隣に迷惑をかけることになってしまいます。
悪質ないたずらに注意
外飼いしていると、必然的に通行人との距離が近くなります。
人間が好きなワンちゃんであれば興奮して暴れることもあり、逆に人見知りなワンちゃんであれば警戒して吠えたり、場合によっては噛み付くこともあるかもしれません。
中には、明確な悪意を持っていたずらをする人もおり、最悪連れ去られてしまう可能性もあります。
「他人の愛犬を連れ去るなんて!」と思うかもしれませんが、連れ去ったワンちゃんを売却してお金に換えること目的であったり、「飼い主への嫌がらせのため」「自分が飼うため」などの理由で連れ去るケースがあるようです。
外飼いはいつから始めればいい?
真夏や真冬といった時期に飼い始めると、慣れる間もなくいきなり過酷な環境に放り出されることになってしまいます。そのため、ワンちゃんを外飼いすることが決まったら、「いつから飼うか」を考えましょう。
理想は、1年を通して最もすごしやすい春先です。
外飼いをするなら気候も考慮しよう
お住まいの地域によっては、屋外でワンちゃんを飼育するのは厳しいかもしれません。
高温多湿の夏は、寒さに強く暑さに弱い傾向にあるワンちゃんにとっては熱中症のリスクが高く、場合によっては命が危険に晒されることも。冬になれば、地域によっては雪が積もったりするので、外飼いする際は気候事情まで配慮するといいかもしれません。
特に、まだ幼い子犬や体力が低下した老犬にとっては、とても厳しい環境といえます
トイレはどうする?リードのつなぎ方は?
「外飼いだから好きにさせて大丈夫」と考えている方がいるかもしれません。
しかし、例え家の外であってもワンちゃんを飼育する以上、清潔さや安全などを考慮して、生活環境を用意してあげる必要があります。
外飼いでもトイレトレーニングは必要
外飼いだからといって、トイレトレーニングをしなくても良いわけではありません。
排泄物をそのまま放置することは不衛生ですし、ワンちゃんのストレスの原因にもなってしまいます。屋内で飼う場合と同様、トイレの場所を決めてあげ、排泄のタイミングでそこへ連れていくようにしましょう。
また老犬になった場合を考えて、トイレシーツにも慣れさせておくことをおすすめします。
屋内でのトイレにも慣れさせておくことで、将来外に連れ出すのが難しくなってからでも、ひとりでトイレができるでしょう。
リード(係留道具)について
外飼いで気を付けたいものの1つがリードです。
屋内であれば必要とはいえないリードですが、外の場合は脱走の恐れがあるので、家であっても必ずリードはつけておきましょう。
家でつないでおくリードの目安は、サークルのなかを無理なく動き回れる、短すぎず長すぎない長さです。短すぎると動きにくくストレスになり、長すぎると首などに絡まってしまい、思わぬトラブルが起きてしまうかもしれません。
暮らしやすい環境を整える
屋外であれ屋内であれ、愛犬のために可能な限り生活しやすい環境を整えてあげましょう。
まずは室内同様、危険な物は置かないようにして、安全を確保してください。
誤飲してしまうような小さな物や、ケガの原因となるような物は置かないようにしてください。また、人間には問題なくても、ワンちゃんには毒となる物もあるので、家庭菜園や花壇は完全に撤去するか、届かないように工夫しましょう。
このほか、季節によって快適に過ごせる環境は異なるので、犬小屋の設置場所は季節に合わせて調整してあげてください
ワンちゃんがいることを知らせる
ワンちゃんを外飼いする場合、近隣の住民や家の外に対して犬がいることを知らせる必要があります。宅配業者やお客さんへ配慮として、ステッカーや注意書きを貼り、外飼いのワンちゃんがいることを告知しておきましょう。
噛み付くまではいかないまでも、「突然吠えられた」といったトラブルを防ぐことができます。
夏や冬に気を付けるべきことは?
ワンちゃんを飼ううえで、季節の問題は無視できません。特に、気候の影響をもろに受ける外飼いとなれば、室内で飼う以上に気を配る必要があります。
では、ワンちゃんを外で飼うのなら、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
暑さと寒さへの対策
外で暮らす過酷さはワンちゃんでも変わりません。
そのため、少しでも暮らしやすい環境にするために、暑さや寒さへの対策として犬小屋を用意してあげましょう。季節の変化に合わせて、犬小屋の中に毛布を置いてあげたり冷却シートを用意してあげてください。
犬小屋を置く場所は季節によって変えてあげると安心です。
基本的にはコンクリートの上は避け、夏場は少しでも涼しい軒下や縁の下に設置しましょう。冬場は逆に、少しでも温かい日の光が当たる場所に置いてください。
しかし、どれだけ環境を整えたとしても、猛暑日や大雪の日などの悪天候下では、外に出していること自体が危険です。普段は外飼いをしていても、場合によっては家の中に入れるようにしましょう
外飼いに向く犬種、向かない犬種
ワンちゃんの中にも、外飼いに向いた犬種と向かない犬種がいます。
ここでは、どのような犬種が外飼いに向いているのか、その特徴と理由を解説します。
外飼いに向いた犬種
・ダブルコートの犬種
ダブルコートの被毛を持つワンちゃんは寒さに強いので、比較的外飼いに向いているといえるでしょう。反面、暑さには弱いので、夏の間の熱中症対策は必要です。
また、ひとりでいることにストレスを感じる犬種の場合、性格的に外飼いは難しいので、注意しましょう。
・日本犬
日本原産の日本犬は、やはりほかの犬種にくらべて日本の気候に合っているといえます。
日本では、10数年前まで外で飼われることが当たり前だったので、そうした意味でも外飼いに向いているといえるでしょう。
外飼いに向かない犬種
・シングルコートの犬種
シングルコートは室内飼い用として品種改良されているので、ダブルコートの犬種と比べて寒さに弱く、外飼いには向きません。
ただし、これまで解説してきたように、お住まいの地域の気候や個体差もあるので、一概には断言できないでしょう。
・小型犬
一般的に、大型犬ほど寒さに強く、体が小さくなるにつれ寒さに弱くなるといわれています。そのため、小型犬はダブルコートの犬種でも寒さに弱い子が多いです。
また体が小さい分、地面との距離が近いため熱を感じやすいので、注意しましょう。
・短頭種
フレンチブルドッグやパグをはじめとする、いわゆる「鼻ぺちゃ」の犬種は、体温調整が苦手です。そのため暑さに弱く、熱中症のリスクも他の犬種に比べ高い傾向にあります。
また、洋犬は飼い主への依存心が高い犬種が多いため、屋内で飼育した方が体調やメンタルが安定しやすいでしょう。
まとめ
現在は屋内で飼うことが一般的になりましたが、事情があって外飼いする場合は、今回の記事を参考にしてみてください。掲載している情報を基本に、メリットやデメリットを十分に理解し安全を確保したうえで、状況に合わせて生活環境を整えてあげましょう。
ワンちゃんの飼育に関しては、その道のプロであるブリーダーからお話を聞いてみるのもいいかもしれません。外飼いをする際の注意点や問題など、実際に多くのワンちゃんを飼育しているブリーダーならではのアドバイスを貰うことができると思います。
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著者/ブリーダーナビ編集部