犬用アロマの正しい使い方は?ワンちゃんに有害?大丈夫?

アロマテラピーは、アロマオイルを使用した健康や美容に役立つ自然療法です。人間だけでなく、ワンちゃんにも多くの効果があることが認められています。
では、ワンちゃん用に行うアロマテラピーは、どのような効果があり、何に気を付ければいいのでしょうか?

愛犬にもアロマ?どんな効果があるの?

犬用アロマの正しい使い方は?ワンちゃんに有害?大丈夫?

健康や美容、リラックスや集中など、使用するオイルの香りによって多種多様な効果をもたらすアロマオイル。正しい使い方をすれば、素晴らしいものですが、一度扱い方を間違えるとワンちゃんの健康に重大な害を及ぼす可能性があるのも事実です。ここからは、ご家庭で愛犬にアロマテラピーを行う際の、やり方や注意点などをご紹介していきます。

どんな効果が期待できる?

問題行動の軽減
鎮静作用の高い精油を使うことで、「挙動不審」「無駄吠え」「失禁」などの行動の改善が期待できます。対称となる覚醒作用の高い精油と合わせて使用することで、心のバランスが整いストレスが軽減され、問題行動が軽減されるでしょう。
苦手なことに良いイメージを結び付ける
嗅覚と記憶は密接に関係しているといわれています。そこで、良いことがあった時に特定の香りを嗅がせることで、その香りにプラスのイメージを結び付ければ、しつけや訓練で良い結果を出しやすくなります。

例えば、車酔いしやすいワンちゃんにその香りを嗅がせてから乗車させれば、普段よりも車酔いしにくくなり、落ち着いて車に乗れるでしょう。
本番で実力を発揮する
競技に出場する犬や救助などの専門の仕事をしている犬は、本番に実力を発揮するための高い集中力が求められます。そこで、リラックスさせたり集中力を増したりする効果が期待できる精油を使うことで、より実力を発揮しやすくなります。
気になる臭い対策
ワンちゃんとの生活では、汚れや臭いへの対策は無視できない問題です。
抗菌作用のある精油が配合されたスプレーやアロマで使用する自然由来の香りを利用すれば、菌の繁殖による汚れの抑制や気になる臭いの低減ができます。
日頃の生活で役立つことはもちろん、清掃などにも便利です。
防虫
ノミやダニ、蚊などの害虫対策としても、アロマは利用できます。
虫が苦手な成分を含んだ精油を使うことで、防虫スプレーや蚊取り線香の代わりに利用できます。室内で焚いたり外出時にスプレーしたり、室内のダニが繁殖しやすい場所にスプレーするなど、様々な方法で使用可能です。

おすすめできる・できないアロマオイル・精油

トイプードル
photo by Yasuhiko Ito

多くの種類があり、選択肢が多いアロマオイルですが、効果は実に様々。優れた効能を期待できるものが多い一方で、人間に使えるオイルの中にはワンちゃんに使ってはいけない物や、扱いに気を付けなければならない物も少なくありません。

おすすめのアロマとその効果!

ラベンダー
ラベンダーには優れた鎮静効果があるので、ワンちゃんの興奮を鎮めたいときや、無駄吠えを抑えるのに有効です。殺菌や虫除け効果も期待できます。
オレンジ・スイート
気持ちを明るくしてくれるリフレッシュ効果や、たかぶった気持ちを鎮めてくれるリラックス効果があるオレンジの果皮から採取されるアロマです。他の精油と併せることで、消臭用やノミ予防として高い効果が期待できます。
ローズ
不安や緊張を和らげて、ストレスから解放しリラックスさせる効果に優れたアロマです。中枢神経系を安定させる作用があるので、不安定で落ち着きがないワンちゃんに使ってみてはいかがでしょうか。また、皮膚への強壮作用も認められているので、乾燥する冬場におすすめです。
ジンジャー
昔から薬草やスパイスとして馴染のある生姜の精油です。刺激のある香りは、集中力や記憶力アップの効果が期待でき、体を温める効果に優れています。また、乗り物酔いにも有効なので、乗り物に弱いワンちゃんにおすすめです。
ベルガモット
ラベンダーに含まれる鎮静作用をもつ成分を多く含んだ、柑橘系の香りのオイルです。抗真菌や痛み止めに効果があり、ストレス軽減やうつ状態の緩和が期待できます。また、安眠作用もあるので、お風呂に2、3滴たらし入浴すれば、ぐっすりと眠れるでしょう。

犬に使ってはいけないアロマオイル一覧

  • アニス
  • オレガノ
  • ウィンターグリーン
  • ウォームシード
  • カラマス
  • カンファー
  • カシア
  • クローブ
  • サッサフラス
  • サンタリナ
  • ジュニパー
  • セイボリー
  • タイム
  • タンジー
  • バーチ
  • ビター・アーモンド
  • ヒソップ
  • マグワート
  • マスタード
  • ラベンダーストエカス
  • ルー
  • ヤロー
  • ワームウッド…etc.
人間には無害でも、ワンちゃんには有害なエッセンシャルオイルがいくつか存在します。
代表的なものを一部上記にまとめました。
ここに記載した精油に関しては、ワンちゃんへの使用を推奨しません。

使用に注意が必要なアロマオイル

ティーツリー
ティーツリーは、間違った使い方をすると中毒を起こし、副作用により最悪死に至ることもあるため、扱いには細心の注意が必要です。

ワンちゃんに使用したことで中毒を引き起こしてしまったという症例が多く、そのほとんどが、精油を薄めずにそのまま飲ませたり、皮膚に直接塗りつけることで発生しています。
口から摂取した場合は口臭、嘔吐物、尿、糞便からティーツリーオイルの強い臭いが発散され、皮膚についたときは炎症、紅斑、かゆみ、発赤、脱毛、やけどが症状として現れます。
ユーカリ
刺激が強く神経毒を含んだオイルで、使用料を間違えると中毒を引き起こします。
副作用として、嘔吐、腹痛、呼吸困難、痙攣などの症状が現れ、最悪死亡するか可能性もあるので、扱いには注意が必要です。
ローズマリー
古くから親しまれているハーブで、強い抗酸化作用があります。
使い方を守る分には安全に使えるものの、原液のまま使用したり知らずに舐めてしまったりさせるのは非常に危険です。

てんかん発作を誘発する可能性があるといわれており、てんかんや妊娠初期、高血圧のあるワンちゃんへ日常的に与えるのは避けましょう。

アロマディフューザー・アロママッサージについて

秋田犬
photo by violetta

アロマテラピーをもっと楽しむための方法として、『アロマディフューザー』と『アロママッサージ』があります。ここでは、どんな点に注意して行えばいいのか、それぞれ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

アロマディフューザーを利用する

アロマディフューザーとは、空間にアロマオイルを拡散させるための道具で、通常よりも素早く室内に香りを充満させることが可能です。気化式や噴霧式、加熱式、超音波式といった種類があり、それぞれメリットデメリットがあるので、ワンちゃんに合わせて選ぶようにしてください。

ディフューザーの使用時間は、1回およそ30~40分。これを日に2回繰り返せば、5日後には効果が現れはじめるでしょう。

アロマディフューザーを使用する際の注意点

アロマディフューザーは、アロマオイルを室内に拡散する機器ですが、飼い主さんの中には「ワンちゃんに安全なの?」と心配される方もいるようです。

結論から言えば、基本的に問題はありません。

しかし、ワンちゃんによっては特定の匂いが苦手な子もいるので、選ぶオイルの好みは考えてあげる必要があるでしょう。

また、ワンちゃんに使用するうえで、ディフューザー本体を倒してしまわないように注意してください。場合によっては、機器の故障やケガの原因になってしまいます。そのため、ワンちゃんが届かない場所に置くか、安定して倒れにくい物を選ぶといいでしょう。

アロママッサージのやり方

  1. 手のひらで少量のオイルを馴染ませ、愛犬に香りをかがせます
  2. オイルの匂いに慣れたら、両手で適量のオイルを温めます
  3. 片手でワンちゃんを支えながら、ゆっくり力をいれずに頭から尻尾にかけて、毛並みに沿って全身を撫でてマッサージしてください
  4. 前足は付け根から足先に向け、胸や肩を意識してマッサージして最後に肉球を揉み解します
  5. 耳のマッサージを喜ぶ子は多いです。付け根から先端に向かい撫でてください
  6. 顔は、口の端を引っ張るように顔から口蓋にかけて。顔を嫌がる子の場合、無理せずできる部位を行うといいでしょう
  7. マッサージの時間は、1回10~20分を目安に、定期的にマッサージをしてあげましょう

アロママッサージの注意点

  • 皮膚に痒みや赤みが出たら、水で洗い流してその精油の使用を止めてください。
  • アレルギー反応出たら、動物病院で診察してもらいましょう。
  • ワンちゃんの空腹時、食後1時間はマッサージしないようにしてください。
  • 病気治療中、妊娠中、持病持ちのワンちゃんには避けた方がよい精油もあるので、事前に獣医師・医師に相談することをおすすめします。
  • 初めて使用する精油は、ワンちゃんだけでなく飼い主さんもパッチテストをしてください。

アロマオイルを使う前の確認事項

カニンヘンダックスフンド

冒頭でも言及しましたが、アロマオイルは健康や美容に効果が期待できる一方、扱い方を間違えると健康に害を及ぼす恐れがあります。
安全に使うためには、いくつかの守るべきポイントを抑えておく必要があります。

使用時の注意点

純度100%のオイルを使う
ワンちゃんの皮膚は人間の皮膚より薄く敏感なので、化学物質や合成物質が含まれていない、100%純粋なエッセンシャルオイルを使いましょう。
原液のまま使用しない
100%のエッセンシャルオイルは成分が濃縮されているので、原液のまま使用すると、良い効果を得るどころか害になりかねません。そのため、使用する時は上質なオリーブオイルやホホバオイル、スイートアーモンドオイルなどで0.2~0.3%程度に薄めましょう。

また、目や耳の中、肛門、性器、鼻など、粘膜やその近くは避けて使ってください。
状況に応じて使用を避ける
ワンちゃんにとって月齢3ヶ月未満は、ほかのワンちゃんと交流しながら犬同士のルールを学び、身に着ける社会化期という時期です。そうした時期の子犬にアロマの匂いをつけてしまうと、周囲とのコミュニケーションに支障が出るので、絶対に行ってはいけません。

また、エッセンシャルオイルの中には子宮に刺激を与えるものもあるので、妊娠中や授乳中も避けるようにしましょう。

こうした時期以外でも、事前にパッチテストをして、何か異常が見られたら使用しないようにしましょう。
絶対に無理強いしない
人間と同様に、ワンちゃんにも香りの好き嫌いがあります。そのため、いくら飼い主さんが大好きな香りでも、愛犬の好みに合うとは限りません。敏感なワンちゃんの場合、吐いてしまうこともあるようです。

アロマは、無理に行うものではないので、最初に愛犬にエッセンシャルオイルを使用する時は、愛犬の様子を見ながら、少しづつ量を増やすようにしましょう。
マッサージの後は日光を避ける
エッセンシャルオイルの中には、光毒性といって紫外線にあたると変質して毒性をもつようになるものがあります。そのため、アロマオイルを使ったマッサージの後は、お散歩を控えるようにしましょう。
誤飲に注意
アロマ用のエッセンシャルオイルは、肌に塗るほか、揮発させ吸引することで効果が出るように調整されています。

万が一飲んでしまうと、内臓の粘膜には刺激が強すぎて、成分がダイレクトに体に吸収されてしまい、肝臓に悪影響を及ぼすこともあります。
飲料用には作られていないため、絶対に飲んではいけません。
連続使用は避ける
エッセンシャルオイルは、同じ場所に毎日塗り続けたり、同じものをずっと部屋の中で焚いたりしていると、アレルギーを発症することもあります。

こうなってしまうと、どれだけ気に入った香りであっても使うことができなくなるので、長時間の使用や長期の連続使用は避けましょう。

ワンちゃんの反応によっては即刻中止を

アロマオイルを誤って利用してしまうと、場合によっては重篤な症状をもたらす可能性も否定できません。そのため、もしもワンちゃんが以下のような行動をするようなら、直ちに使用を中止して、場合によっては動物病院に連れて行きましょう。

  • 過度によだれを垂らす
  • 悲しげな声で鳴く
  • ウロウロ歩き回る
  • 激しく転がる
  • 床に体を擦りつける
  • くしゃみを繰り返す
  • 鼻息が荒い

アロマオイルの保管方法

アロマオイルは、子どもやワンちゃんが誤って手に取らないような場所で、安全に保管してください。香りが漏れたりオイルをこぼしたりしないよう、瓶の蓋をしっかり閉め冷暗所に保管しましょう。

肌につける場合の精油の使用期限は、柑橘系で開封後6ヶ月、それ以外で1年が目安となります。

保存の仕方が悪いと品質の劣化が早まり、使用期限が短くなる恐れがあります。使用期限をすぎたオイルを使用すると、トラブルに発展する恐れもあるので、アロマオイルの保管には注意しましょう

まとめ

ワンちゃんへのアロマテラピーは、リラックスさせることができるというメリットがあります。
しかし、人間とワンちゃんとは違う生き物なので、ワンちゃんに使用する場合は、人間に使用する時よりも慎重になる必要があります。

今回の記事を参考にするほか、事前に獣医さんや専門家から意見を聞いて、安全に使用できる環境を整えてから行ってください。

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