椎間板ヘルニアはダックスフンドがかかりやすい病気であり、年齢問わず発症する可能性があります。まずは椎間板ヘルニアがどういったものなのか確認していきましょう。
椎間板ヘルニアとは?
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骨と骨の間に挟まっている椎間板という柔らかいクッションのような役割を果たす軟骨が、なんらかの衝撃で本来の場所から飛び出してしまっている、もしくは完全に抜けてしまっている状態を「椎間板ヘルニア」といいます。
飛び出た椎間板は脊髄を圧迫するため、背骨に痛みや麻痺が生じ、歩行が困難になることもあります。
椎間板ヘルニアのグレード
椎間板ヘルニアは症状によりグレードが分けられています。
グレード1…痛みにより背中を丸める、触れると嫌がる
グレード2…足の甲を地面につける(ナックリング)、自分で歩行できる、後肢不全麻痺
グレード3…後肢が脱力して動かすのが難しい、自力で歩けない、後肢不全麻痺
グレード4…後肢がほとんど動かない、自分で排泄が困難になる、後肢完全麻痺
グレード5…痛みを感じなくなるほどの麻痺、後肢完全麻痺
椎間板ヘルニアの症状
・触れたときや抱っこしたときに鳴く、嫌がる
・散歩や階段の昇り降りを嫌がる
・背中をかばうように丸めている
・足を引きずる
・動きがゆっくり
頚椎、胸椎、腰椎と発症箇所によっても痛み方は異なり、突然激痛がはしることもあれば、徐々に痛みが出る場合もあります。
椎間板ヘルニアはいきなり症状が悪化することがあります。昨日まで歩けていたのに、いきなり歩けなくなっているという状態もありえるのです。
何か症状が見られたらすぐさま病院へ行き、早期治療をはじめることで重症化を防げる場合がありますので、軽症でも放置しないことが大切です。
急性発症の多い「ハンセン1型」
ハンセン1型椎間板ヘルニアは、髄核という椎間板の中にあるものが完全に飛び出てしまい脊髄を圧迫します。ダックスフンドはこのハンセン1型が多く、急性発症型です。
高齢犬に多い「ハンセン2型」
ハンセン2型椎間板ヘルニアは、髄核はとどまっているものの、髄核の周りにある線維輪が突出し、脊髄を圧迫している状態です。
線維輪が加齢により肥厚することで発症するため、慢性的で悪化しやすいのがハンセン2型の特長です。
原因①:「軟骨異栄養症」という遺伝的なもの
椎間板ヘルニアを発症する原因のひとつは「軟骨異栄養症」という遺伝子が関係していること。軟骨の形成や発達がうまくいかなくなる遺伝子のため、椎間板ヘルニアを発症しやすくなります。
カニンヘンダックスフンドを含むダックスフンドやコーギーなどの短足な体型を生み出すには、この遺伝子が必要だったとされています。
また、ダックスフンドやコーギーなどは「軟骨異栄養性犬種」とも呼ばれ、椎間板ヘルニアを遺伝的に発症しやすい犬種とされているため、若い子でも発症するリスクが高いのです。
原因②:加齢
高齢犬になると加齢により背中の骨が変形してくることがあります。これにより椎間板ヘルニアを引き起こしやすくなるため、高齢犬になってからも注意が必要です。
椎間板の中心部は水分が多く弾力がありますが、加齢にともないこの部分が硬くなってしまうことも発症のリスクを高めます。
原因③:肥満
肥満は骨や関節に大きな負担をかけます。日常生活での負担はもちろんのこと、肥満により運動もしづらくなり、より体を動かす量が減って筋力も落ちるなどの悪循環が生まれてしまうため、幼い頃から肥満には特に注意が必要です。
原因④:事故や生活環境の負担
ほかにも、交通事故や高いところから落ちるなどの衝撃を受けることで、椎間板ヘルニアを発症してしまうこともあります。
特徴的な体型をしているダックスフンドなどは足腰に負担がかかりやすく、他犬種と比べて衝撃に弱いです。外を散歩する際や階段などの昇り降り、体重のコントロールに関しては、日ごろから意識するようにしましょう。
著者/ブリーダーナビ編集部