フレンチブルドッグなどに多く見られる先天性の病気
photo by Carlos Varela
愛嬌があって、歩く後ろ姿がなんとも愛おしいフレンチブルドッグ。一度魅了されたら、ずっとフレンチブルドッグをお迎えするファンも少なくありません。そんなフレンチブルドッグには、先天的な病気が多いともいわれています。今回その中でピックアップした病気の1つが“口蓋裂(こうがいれつ)”。この病気は一体どんな病気で、治療法や予防策はあるのでしょうか。
口蓋裂ってどんな病気?
呼吸障害を引き起こす恐ろしい病気
口蓋裂(こうがいれつ)は、ミックス犬や雑種と呼ばれる犬種よりも純血種の犬種において発生率が高いといわれています。好発犬種としてフレンチブルドッグを始め、ブルドッグやボストンテリア、ミニチュアシュナウザーやペキニーズなどが挙げられます。また、人間の赤ちゃんでも口蓋裂を発症することがあり、日本人の500人に1人の割合で発生している病気といわれています。
口蓋とは、口腔と鼻腔を分解している隔壁部分を指すのですが、口腔と鼻腔が繋がり左右に分かれたままになって穴が開いている状態のことを“口蓋裂”といいます。わかりやすくいうと、口と鼻が繋がってしまう病気のことです。
唇、軟口蓋、硬口蓋などの癒合不全として見られることが多く、この病気の症状はどの部位に障害があるかで変わってくるといわれています。口蓋裂がある場合外見からの判断では難しいですが、子犬の頃にミルクを鼻から逆流することで発見されるケースが多いそうです。
口蓋裂は、食べる・飲むなどの基本的な動作に障害が出ると同時に呼吸障害も引き起こすため、そのままの状態にしてしまうと命の危険にも及ぶ恐ろしい病気なのです。
どんな原因が考えられるの?
口蓋裂の原因としては、先天的なものと後天的なものの2つが考えられます。
●先天的
母犬のお腹にいた時に栄養障害を始め、ウイルス感染や遺伝性の要因、または胎児の成長を脅かす有害な薬物の投与などによって発症するといわれています。
●後天的
歯周病が悪化して発症することもあります。また、犬同士のケンカや交通事故、落下事故や感電などが影響して発症するケースも見受けられます。
フレンチブルドッグの場合は、先天的に口蓋の傷害が見られるケースが多いとされています。
口蓋裂の具体的な症状を教えて!
口蓋裂を患うと下記のような症状が見られます。
・くしゃみが多い
・慢性的な鼻水
・いびきをかく
・食べる動作がぎごちない、うまく食べられない
・飲水時に咳き込んでしまう
・軽度な運動でも息が荒い
早期に発見をしないと、肺炎や誤嚥(ごえん、唾液や食物・胃液などが気管に入ってしまうこと)などの二次障害を引き起こしてしまうこともあるので、普段から口の中や動作、食事中の様子をよく観察してください。
子犬の口蓋裂は死に至ることも…
生後まもない子犬の場合は、授乳やミルクを与えると鼻から出てきてしまい上手く飲むことができない場合があります。そしてお乳やミルクが気管から肺に流れ込んでしまい、誤嚥を引き起こし咳や呼吸困難、肺炎などの症状が見られて死に至るケースもあります。
著者/ブリーダーナビ編集部