子犬を迎えたら、さまざまなしつけを施さなければなりません。
その中でも、トイレトレーニングは特に優先度が高く、かつしつけるのが大変なものの1つです。
一人暮らしや共働きのご家庭の場合、お留守番をしてもらうためにも、絶対に外せないしつけなので、今回の内容をぜひ参考にしてください。
トイレトレーニングを始める時期
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動物であれば、食事と排泄は毎日しなければなりません。
そのため、子犬を迎えてまずやるべきしつけの1つが、「トイレトレーニング」になります。
いつから始める?
ワンちゃんにはさまざまなしつけが必要ですが、その中でも最も優先度が高いものの
1つがトイレトレーニングです。人間と同様、ワンちゃんも毎日排泄するので、1日でも早くトイレをひとりでできるようにする必要があります。
そのため、トイレトレーニングは、子犬を家に迎えたその日からスタートさせましょう。
初日からトレーニングをはじめるためには、事前にワンちゃん用のトイレを用意して環境を整えておきましょう。
しつけが終わるまでは、トイレの場所まで誘導してあげて、排泄が終わったら自由にさせてあげるように、飼い主が付きっきりで面倒を見てあげてください。
トイレトレーニングを始める前に
飼い主さんの中には、「ワンちゃんはなぜ失敗するの?」と考えている方もいるかもしれません。ワンちゃんのトイレは「=トイレシーツ」なので、これを認識できているかという話になるのですが、答えは「No」です。
ワンちゃんには、トイレシーツがトイレなのだと教えてあげない限り、そこで排泄するようにはなりません。
トレーニング期間とポイント
トイレトレーニングを始めてから覚えるまでは、個体差により多少の違いはあるものの、だいたい2〜3週間。いきなり身に付くわけではなく、少しずつできるようになっていきます。
なかでも、トレーニングを始めて最初の1週間は重要です。この間は、ワンちゃんから片時も目を離さないように意識し、予兆を感じたらトイレに誘導して、排泄を終えたら自由にさせてあげましょう。
ほんの少しの隙におしっこをすることも珍しくないので、目を離すならトイレを失敗しないようにサークルに移動させてからにしてください。
また、トイレトレーニングは時間がかかるので、焦らず腰を据えて、失敗しても叱らないよう気長に構えましょう。一度トイレを覚えても、すぐに身に付くわけではないので、しばらくは褒め続けてあげてください。
トイレはどこに設置すればいい?必要な準備
トイレトレーニングは、ワンちゃんを迎えたその日から始める必要があるしつけです。そのためには、事前に環境づくりをして準備を整えておく必要があります。
では、どんな準備をしておけば良いのでしょうか?
ケージやサークルなど必要なもの
・サークルまたはケージ
なるべく広いものであれば、失敗の確率を減らすことができるでしょう。そのうえで、寝床とトイレとが区切れるタイプのものであればベストです。また、子犬の飛び出し予防として、天井付きのものであれば安心です。
・ トイレシーツ
実質、ワンちゃん用のトイレがこのトイレシーツです。1回おしっこをするごとに取り換える消耗品で、小さいと失敗しやすいため、ワンちゃんの体のサイズに合わせて選ぶ必要があります。消臭タイプなど、さまざまな種類から選べます。
・消臭剤
トイレトレーニングは、失敗や粗相を繰り返して少しずつ覚えていくしつけです。ワンちゃんはにおいでトイレの場所を判断するため、おしっこやうんちの匂いが残っているとまた同じところで排泄してしまいます。そのため、失敗したら早めに消臭剤を使って、においを消すようにしましょう。
<あると便利なアイテム>
・トイレトレー
トイレトレーは、トイレシーツ固定するための台のようなものです。基本的にはトイレシーツさえあればワンちゃんのトイレは成り立ちますが、ズレるのを嫌がる子もいるので、あれば便利でしょう。
・おやつ
中にはご褒美がなくてもトイレができる子もいますが、あれば便利なのは間違いありません。おやつはご褒美として即効性が期待できるので、トイレトレーニングに限らずしつけでは度々お世話になるでしょう。
・しつけスプレー
においで、ワンちゃんにトイレの場所を認識させるためのスプレーです。
詳しくは「困ったらしつけスプレーを使ってみては?」で紹介しています。
トイレの設置場所
トイレの場所は、どこでもいいというわけではありません。
トイレを置く場所が悪いと、それが原因でトイレを失敗することにも繋がりかねません。愛犬が早くトイレを覚え、ストレスなく排泄するためには、設置場所も重要なのです。
では、トイレはどのような場所に設置すれば良いのでしょうか?
基本的にワンちゃんはキレイ好きなので、トイレが寝床に近いとストレスを感じてしまいます。そのため、トイレと寝床はできるだけ距離を離した方がよいでしょう。そのうえで、寝床より低く食器から遠い場所にできればベストです。
広さ的にそれが無理なのであれば、ダンボールや板などで仕切りを作って、トイレを個室のようにできればトレーニングがしやすくなります。
トイレトレーニングの流れ
準備が整い、子犬を家に迎えたら、いよいよトイレトレーニングを始めます。
トイレトレーニングは、数あるワンちゃんのしつけの中でも大変なものなので、下記で紹介する内容を参考に、焦らず丁寧に進めていきましょう
トイレシーツを敷き詰めてサークルで囲む
1.ケージ内で用を足させる
最初は、愛犬の生活圏であるケージ内全体にトイレシートを敷いてください。これで、ケージ内であればどこで用を足しても失敗することはないので安心です。ただし、一度トイレをしたら敷いていたシートを全て新しい物に取り替えてください。
2.範囲を狭めてトイレスペースを作る
ケージ内で問題なくトイレができるようになったら、シートを敷く面積を少しずつ狭くしていき、最終的にケージ内の半分をトイレにしてトイレシートを置きます。面積を狭くしても、同様にトイレシートは常に新しい状態を保つようにしてください。
一度使用したトイレシートをそのままにしておくと、ワンちゃんはそこで用を足さなくなるので、失敗の原因になります。
3.基本的にケージ内で生活させる
ワンちゃんは、食後に排泄する習性があります。
そのため、ごはんを食べ終えたらそのままトイレに行けるように、ある程度トイレを覚えたら基本的にケージ内で生活させるようにしてください。
4.成功したら褒める
どのしつけにもいえることですが、上手にできたら褒めることで、「行為の成功=嬉しい」と意識づけするようにしましょう。これにより、自分から積極的にトイレに行ってくれるようになります。
5.自由にさせる
トイレトレーニングを終えしつけが身に付いたら、ケージから出しても問題ありません。これで、場所を変えない限り自分からトイレに行くようになるので、トイレトレーニングは完了です。
トイレの合図を知る
ワンちゃんのトイレの間隔は、概ね生後3ヶ月頃は3時間、4ヶ月頃なら4時間。しかし、中には1~2時間おきという子もいるので、まずは愛犬がどんなタイミングでトイレに行きたがるのか知ることが先決です。
総じて、「食後」「運動後」「寝起き」はトイレのタイミングなので、この時どんな行動を取るのか観察して、トイレの合図を見逃さないようにしましょう。
食事と排泄のタイミングを毎日記録すれば傾向が分かるので、失敗の確率を抑えることができます。
<代表的なトイレのサイン>
・そわそわする
・床のニオイを嗅ぎだす
・お尻を気にする
・後ろ脚の動きがぎこちない
トイレに誘導する
子犬のトイレトレーニングで重要になるのが、トイレのタイミングを予測して対応することです。子犬は成犬と比べて我慢できる時間が短いうえ、トイレの頻度も高いので、察知が遅いとトイレに間に合わないかもしれません。
そのためトイレのサインを確認したら、愛犬を素早くトイレに誘導してください。特に最初の1週間はまだ何も分かっていない状態なので、目を離さないようにしましょう。
また、必ずしもすぐに用を足してくれるとは限らないので、「違うかな?」と思ってもすぐ解放せず10〜15分程度は様子を見てください。それでも排泄する様子がないようなら、一度ハウスに戻して再度観察を続けましょう。
上手にできたらご褒美を
トイレトレーニングに限らず、全てのしつけにいえることですが、上手にできたらご褒美をあげてください。ご褒美はさまざまですが、おやつをあげるほか、一緒に遊んであげたり大袈裟なくらい褒めてあげたりするのも良いでしょう。特に、おやつは即効性が期待できるのでおすすめです。
ただし、ご褒美のタイミングには注意してください。
ワンちゃんをしつける上でご褒美のタイミングがズレると、何についてのご褒美なのか理解できず、場合によっては勘違いしてしまい思った効果が得られません。
トイレが上手にできたら、間髪入れずすぐにご褒美をあげましょう。
自発的にトイレへ行ってもらえるように
トイレトレーニングの最終目的は、愛犬が自分の意思でトイレに向かい、飼い主の手を借りずに排泄できるようになることです。そのため、ある程度トイレができるようになったら誘導するのを止めて、自発的にトイレに行けるかどうか確かめてみましょう。上手くいかなければ手伝うようにして、少しずつでもいいので習慣づけるようにしてください。
失敗せず、自発的にトイレができるようになれば、トイレトレーニングは完了です。
もしも失敗してしまったら?うまくいかない時は?
ワンちゃんのトイレトレーニングは難しいしつけです。それでいながら必要不可欠で、迎えて最初に行わなければなりません。
失敗を繰り返すことになるので、それを理解したうえで対処してきましょう。
失敗しても叱らない
ワンちゃんのしつけで、叱るのは厳禁です。
これはトイレのしつけに限らず、どんなしつけに対してもいえることで、叱っても上手になることは決してないでしょう。それどころか、叱られたことで、より一層失敗が増えることになりかねません。
また、トイレの失敗・成功に関わらず、トイレトレーニング中に怒ったり叱ったりするのは止めましょう。ワンちゃんは言葉が分からないため、行為そのものを怒られた・叱られたと認識してしまい、「トイレ=嫌なこと」として、飼い主の前ではトイレを避けるようになります。
そうさせないためにも、トイレは褒めて覚えさせましょう。
トイレが上手にできたら思い切り褒めてあげて、失敗しても叱らず、即座に後始末だけしてください。ワンちゃんは自分のおしっこのにおいでトイレの場所を判断するため、においが残っていると同じ場所で失敗を繰り返すことになります。
失敗の原因と対策
・おしっこをトイレ内にしてくれない
トイレのサイズがワンちゃんの体の大きさに合っていない可能性があります。トイレの大きさは、ワンちゃんの体の長さの1.5倍が理想で、これよりも小さいと失敗する可能性が大きくなります。
・トイレの場所を変えると失敗してしまう
飼い主としてはトイレシーツをトイレと考えていますが、ワンちゃんはトイレを場所で覚えていると思われます。いつもの場所からトイレシーツを置く位置を少しだけずらしたり複数置いたりして、トイレシーツの存在を認識させるといいかもしれません。
・外出から帰宅すると、子犬がおしっこ・うんちまみれになっている
トイレトレーニングが不十分であると思われます。また、子犬は排泄頻度が多いので、留守中はペットシッターや犬の保育園など、プロにお任せするのもいいかもしれません。
・できていたのにトイレの失敗が増えた
病気やストレスなど、何かしらの不調が原因かもしれません。愛犬の様子がいつもと違うなど、何かしら違和感があれ動物病院に連れて行きましょう。
困ったらしつけスプレーを使ってみては?
「どうしてもトイレトレーニングが上手くいかない」という場合は、トイレトレーニング用のしつけスプレーを利用するもおすすめです。
ご存知のように、ワンちゃんはとても嗅覚が鋭い動物で、トイレの場所の判断も自分のおしっこのにおいを頼りにしています。その習性を利用した便利グッズが、しつけスプレーです。
しつけスプレーとは、トイレトレーニングを補助するためのグッズで、「トイレに誘導するタイプ」と「トイレ以外の場所を避けさせるタイプ」の2種類があります。
トイレに誘導するタイプは、トイレシーツにワンちゃんを誘導するにおいをつけることで、トイレの場所を教えます。
一方、トイレ以外の場所を避けさせるタイプは、トイレシーツ以外の場所で用を足さないように、ワンちゃんが嫌いなにおいをつけるスプレーです。
プロにお願いした方が良いことも
上述したように、トイレトレーニングは迎えた初日から行う必要があるしつけでありながら、それなりの時間がかかり、しつけの内容も簡単ではありません。
そのため、ワンちゃんの飼育に慣れていない初心者の方の中には、「どうしてもしつけを覚えさせることができない」と悩む方もいらっしゃることでしょう。
そんな場合は無理をせず、しつけ教室などプロにお任せすることも視野に入れてください。
ワンちゃんのしつけは、頑張れば必ず効果が出るわけではありません。できる保証がないしつけを無闇に続けていても、飼い主さんのストレスになってしまい、愛犬と共倒れになってしまう可能性もあります。
そうなっては、誰も幸せにはなりません。
限界になる前に、一度プロにしつけをお願いしましょう。
まとめ
トイレトレーニングは、ワンちゃんを飼ううえで優先度が高く、それでいて難しいしつけです。犬種ごとの特徴があるだけでなく個体差もあるので、場合によっては覚えるのが遅くいつまで経ってもひとりでトイレができない子もいるでしょう。
初心者で「何から手を付ければいいか分からない」という方は、今回の記事を参考に、上手に褒めながら余裕を持って愛犬のトイレトレーニングしてください。
下記のページでは「子犬のしつけ」について解説しています!こちらも参考にしてみてくださいね。
【初心者向け】子犬のしつけはいつから?順番としつけ方
また、これから子犬を迎えようという人は、一度ブリーダーからお話を聞いてみてはいかがでしょうか?多くのワンちゃんを飼育しているブリーダーなら、難しいトイレトレーニングをはじめ、ワンちゃんのさまざまなしつけについてアドバイスしてくれます。
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著者/ブリーダーナビ編集部