マッサージの仕方とは?
マッサージは、ただ体を揉んだり触ったりすればいいわけではありません。ワンちゃんが気持ち良いと思われるポイントを探し、適切な力加減でほぐしてあげる必要があるのです。
始める前に、マッサージのコツも理解しておきましょう。
マッサージの前に声をかける
ワンちゃん相手のマッサージにも手順があります。
いきなりに体に触ると驚いてしまうので、マッサージを始める前に「マッサージを始めるよ」などと声をかけたりして、準備を促しましょう。
特に、視覚や聴覚が衰えている老犬のワンちゃんの場合、触られることに敏感になっていることが多いので気を付けなければなりません。
また、愛犬がマッサージをする気になっているかどうか見極めることも必要です。飼い主がマッサージをしようとしても、嫌がるようなら無理強いせず、またの機会を伺いましょう。
リラックスできる体勢で
マッサージの目的は、相手を癒すことです。
そのため、リラックスしてこちらの行動を受け入れてくれる状態で行うようにしましょう。姿勢一つとっても、緊張していては効果が半減してしまうので、ワンちゃんがリラックスできる体勢で行ってください。
基本的には「ふせ」の体勢で行うことになります。
小型犬の場合は後ろ側からマッサージを行い、中型・大型犬の場合は真横から行うとマッサージしやすいでしょう。マッサージする部位によってやりやすい体勢は違いますが、愛犬の気持ちを第一に、お互いリラックスした状態で行ってください。
軽いタッチで優しく撫でる
ワンちゃん相手でも、マッサージの基本は人間に行う場合と変わりません。
力を入れすぎると、気持ちが良いどころか痛みを与えることになるので、優しくマッサージしてあげましょう。また、指を立てて押すのではなく、指の腹や手のひらを使って、軽く撫でるように触ることを心掛けてください。
触る部位によってはワンちゃんが嫌がることもあります。慣れていないと、顔や頭に触れられることを嫌がる子は少なくありません。
愛犬のためを想ってマッサージをしているのに、ストレスを与えてしまっては逆効果です。
触って受け入れてくれる部位だけマッサージして、嫌がるようならその場所は避けましょう。
触れて痛がるような素振りを見せる、しこりがあるように感じたら、何かしらの病気やケガの可能性があります。その際は、動物病院で診てもらいましょう。
犬のツボ一覧
<顔、頭のツボ>
印堂穴(いんどうけつ) | 眉間の中央部にあるツボ |
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上関穴(じょうかんけつ) | 頬骨弓の上縁にあるツボ |
下関穴(げかんけつ) | 頬骨弓の下縁にあるツボ |
承漿穴(しょうきゅうけつ) | 下唇の中央で有毛部と無毛部が交わる部位にあるツボ |
鎖口穴(さこうけつ) | 口輪筋の後方にあるツボ |
風池穴(ふうちけつ) | 耳の付け根のやや下、第一頚椎外側の前方にあるくぼみのツボ |
<首のツボ>
天門穴(てんもんけつ) | 両耳の先端から頭頂部に伸ばした線と背中の正中線が交わる点にあるツボ |
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風府穴(ふうふけつ) | 頭蓋骨と第一頚椎(環椎)の間と背中の正中線が交わる点にあるツボ |
大椎穴(だいついけつ) | 第七頸椎棘突起と第一胸椎棘突起の境目にあるツボ |
<肩、前足のツボ>
肩井穴(けんせいけつ) | 上腕骨大結節の上縁にある陥没部のツボ |
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肩外兪穴(けんがいゆけつ) | 上腕骨大結節の上縁後ろ側にある陥没部のツボ |
搶風穴(そうふうけつ) | 上腕三頭筋長頭と外側頭の間にある陥没部のツボ |
前六縫穴(ぜんろくほうけつ) | 指と指の間にあるツボ。犬に親指はないので左右3つずつあります |
<胸、腹のツボ>
中院穴(ちゅういんけつ) | 胸骨の延長線上にある、へそとの中間にあるツボ |
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神闕穴(しんけつけつ) | ワンちゃんのへそ部分 |
天枢穴(てんすうけつ) | へその両脇にあるツボ |
関元穴(かんげんけつ) | へそと恥骨結合の中間地点にあるツボ |
<背中のツボ>
中枢穴(ちゅうすうけつ) | 第10~11胸椎棘突起の間にあるツボ |
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脊柱穴(せきちゅうけつ) | 第11~12胸椎棘突起の間にあるツボ |
懸枢穴(けんすうけつ) | 第13胸椎~第1腰椎棘突起の間にあるツボ |
夾脊穴(きょうせきけつ) | 第10胸椎~第7腰椎棘突起の下にあるツボ |
<尻、足のツボ>
百会穴(ひゃくえけつ | 第7腰椎と第1仙椎棘突起の間にあるツボ |
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尾根穴(びこんけつ) | 仙椎末端と第1尾椎棘突起の間にあるツボ |
環跳穴(かんちょうけつ) | 大腿骨大転子の前、股関節前縁の陥没部にあるツボ |
後海穴(こうかいけつ) | 尾の付け根と肛門の間にある陥没部にあるツボ |
陽陵穴(ようりょうけつ) | 腓腹筋の陥没部にあるツボ |
後踵穴(ごしゅけつ) | 足根関節(足首)の前方にある皮下組織のツボ |
後六縫穴(こうろくほうけつ) | 後ろ足の指の付け根にあるツボ。犬には親指がないので左右3つずつ存在します |
後ろ足
人間の足と同様、ワンちゃんの後ろ足は最も体重がかかるので、疲労が溜まりやすい部位です。ワンちゃんが自分では届きにくい場所なので、丁寧にマッサージしてあげましょう。
イメージとしては、爪先から脚の付け根に向かい、血液やリンパを流すようにマッサージしてあげてください。アキレス腱は、指先で軽くつまむようにほぐしてあげるといいでしょう。
肉球
肉球のマッサージには疲労回復の効果があると言われています。
また、人間の足裏と同じく無数のツボが存在していると考えられており、前足のマッサージは内臓、後ろ足は代謝促進といった効果が期待できます。
大きな肉球は下から上に押し、小さな肉球は優しくつまんで揉みほぐしてあげましょう。
マッサージクリームなどを使えば、皮膚に負担がかからないのでおすすめです。
首回り
体の構造上、移動する際ワンちゃんはいつも頭を上げているので、首に負担がかかりがちです。加えて、人間と比べて頭の位置が低いので見上げることが多く、首が凝ってしまいます。
首は両手で挟むようにして、円を描くようにマッサージしていきましょう。
首は触られてもあまり嫌がることはないので、比較的簡単にマッサージできますが、繊細な部位でもあります。力を入れると呼吸に悪いので、優しくさする程度にしましょう。
気道や頸椎に触れるのを避け、筋肉の緊張をほぐすとことと、血行の改善を念頭に置いてマッサージしてください。
耳
飼い主ならよくご存じだと思いますが、ワンちゃんの耳は立ったり寝たり、音の方に向いたりと、とても表情豊かな部位です。それだけ筋肉を使っているので、マッサージで疲れを癒してあげましょう。
耳のマッサージは、親指と人差し指の腹の部分で挟み、先端を軽く引っ張ったり付け根を優しく揉んだりしてあげましょう。そのほか、耳の淵を軽くつまんだり、円を描きながら揉みほぐしてあげたりするのも有効です。
胸・お腹
ワンちゃんは4本脚で立つ動物なので、立っている間は常に胸の筋肉が緊張している状態です。
胸とお腹のマッサージは、柔らかい場所でワンちゃんを仰向けにして行います。お腹には骨がないため、マッサージする際は円を描くように軽く表面をさすってあげてください。
小型犬の場合、指ではポイントからズレてしまうこともあるので、綿棒のような柔らかく細いもので代用するのもいいでしょう。
眼の周り
人間と同じく、ワンちゃんの目も疲労します。緊張を解きほぐすように、目の周囲を優しくマッサージしてあげましょう。目が収まっている頭蓋骨の穴の淵に沿って、力を入れすぎないよう優しくさするように押していきます。
また、マッサージと合わせて眼球に異常がないかよく観察しましょう。
著者/ブリーダーナビ編集部