飼い主であれば、愛犬の気持ちを知りたい・理解したいと思うのは当然のこと。ですが、喋ることはできないワンちゃん。そんな時は、ワンちゃんのしっぽの動きに注目しましょう。
しっぽの動きは、ワンちゃんの気持ちや感情を動きを表現してくれます。
目次
しっぽの振り方は感情表現のヒント
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しっぽは、言葉を発せないワンちゃんの感情を表現するポイントの1つです。
ワンちゃんの気持ちを知るためには、動きによる気持ちの変化を知るよりもまず、通常の状態を知っておく必要があります。
気持ちを知りたいならしっぽの動きに注目!
ワンちゃんのしっぽには、体のバランスを取ったり防寒やブレーキの機能があったりと、さまざまな役割があります。
特に、大切な役割の1つが「感情の表現」です。
しっぽの動きは、ワンちゃんの感情やその時の気持ちを表すサインとして、しばしば取り上げられます。
例えば、尻尾を振るときは嬉しかったり、見知らぬ人やほかのワンちゃんに怯えてしっぽを後ろ足の間に挟んだり。場合によっては、表情よりも雄弁に感情を語ってくれます。
しかし、こうした広く知られているしっぽの動きとワンちゃんの気持ちには、実は間違っていることも少なくないようです。
では、ワンちゃんのしっぽの動きには、どんな感情が現れているのでしょうか?
しっぽの状態とワンちゃんの気持ち
ワンちゃんにとって、しっぽはどこよりも感情が現れる部分です。
慣れてくれば、しっぽの動き方1つで愛犬の気持ちが分かるようになるかもしれません。
では具体的に、しっぽを立てている場合や下げている場合、ワンちゃんはどんな気持ちなのでしょうか?
しっぽの状態 | 犬の気持ち |
---|---|
しっぽが下がっている | 不安、警戒、恐怖 |
しっぽが上がっている | 嬉しい、楽しい |
しっぽを丸める・巻く | 恐怖 |
しっぽを噛む | 不快感などのストレス |
ここから先は、しっぽの状態と気持ちの関係をより詳しい解説していきます。
しっぽが下がっているとき
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しっぽを低く下げているようなら、基本的に警戒や不安、恐怖といったネガティブな気持ちのときです。しっぽの高さが低くなればなるほどネガティブな度合いは増していき、最終的に足の間にしっぽを挟んでしまいます。こうなると、恐怖に支配されている状態なので、最優先で落ち着かせてあげるようにしましょう。
ただし人間と同様に、恐怖を感じてどのような行動に出るかは個体差があります。
ただひたすら怯えて縮こまるワンちゃんもいれば、恐怖から攻撃的になる子もいるでしょう。
そのため、単純に行動だけで感情を推測するのは難しいかもしれません。
どうあれ、しっぽが下がっているときはストレスを感じているので、その原因から遠ざけてあげましょう。
また、しっぽ付近のケガや病気の可能性もあります。
痛がってしっぽを動かさなかったり、お尻周りをやたら気にかけたりているようなら、一度動物病院に連れて行き診察してもらうと良いでしょう。
ワンちゃんがしっぽを振らないのはなぜ?
普段元気よくしっぽを振っていた子が、ある日突然しっぽを振らなくなってしまったら、飼い主としては心配ですね。しっぽの動きはワンちゃんの感情表現なので、急に振らなくなったら「元気がない」「ケガや病気」といった何らかの不調が頭をよぎるでしょう。
そんな時は、しっぽ以外から愛犬の気持ちを確かめてください。耳や目、口には特に感情が現れるので、表情を中心に観察してみましょう。
また、場合によってはしっぽを直接触って確かめるのも必要かもしれません。しっぽに触れられて痛がるようならケガや病気の可能性が高いので、一度動物病院で診察してもらうことをおすすめします。
また、普段からしっぽを振らないのなら、それは「リラックスしているから」かもしれません。ワンちゃんは落ち着いているとしっぽを動かさないので、普段からしっぽを振らないようなら、日常的に安心して過ごせているのでしょう。
<リンバーテール>
ワンちゃんのしっぽが動かなくなる「リンバーテール」という現象をご存知でしょうか?
まだ未解明の部分も多いのですが、特にラブラドールレトリバーなどの大型犬に起こりやすいといわれています。
使役犬(仕事をする犬)に多く見られる一方、ペットとして飼われている犬にはあまり症状が見られません。また、発症の一因として、「寒さ」が関連していることが考えられています。
しっぽを丸める・巻くときは怖がっているかも
しっぽを丸めている、もしくは巻いている状態の心理状況は、「恐怖を感じている」場合が多いです。例えば、雷が怖くてしっぽを丸めていたり、叱られてしょんぼりした表情で反省している時にしっぽを丸めます。
人間が恐怖を感じて体を縮めるように、ワンちゃんもしっぽを丸めることで自分の体を小さく見せているのでしょう。
怯えている様子が可哀そうで、思わず手を伸ばしてしまいがちですが、性格によっては攻撃的になる子もいるので注意が必要です。
しっぽを噛む理由と原因
ワンちゃんがしっぽを噛むようなら、何らかの不快感があるのかもしれません。考えられるのは、主に「痒み」「ケガ」「ストレス」です。
ノミやダニといった寄生虫に感染されたり、皮膚病で炎症を起こしたりすることで、痒みからしっぽを噛む場合があります。
また、しっぽをケガした時は、患部を気にして噛んでしまうことも。
このほかワンちゃんの性格によっては、ストレスからしっぽを噛むことがあります。ストレスを感じた際の行動には個体差があるので断定はできませんが、こうした行動を起こす子も少なくないようです。
ひどくなると、しっぽが折れる(切れる)こともあるので、癖になる前に止めさせることをおすすめします。
<対処法>
しっぽを噛む原因によって、対処法は変わります。
痒みであれば、原因となる寄生虫の駆除や皮膚炎の治療をすれば自然と収まるでしょう。ケガの場合も同様です。困ったら、獣医さんに相談することをおすすめします。
問題はストレスが原因の場合です。
ストレスの原因を遠ざけることも必要ですが、それ以上にストレスを溜め込まないよう発散させることも大切です。例えば、毎日の散歩や運動は有効な方法になります。
また、愛犬と触れ合う時間を増やしてあげましょう。
しっぽの振り方で感情が違う?
ワンちゃんが「尻尾を振る=喜んでいる」と思っている方は多いのではないでしょうか?
これは間違いではないものの、必ずしも正しいとはいえません。
しっぽは、ワンちゃんの体の中でも最も気持ちが現れる部位の1つですが、しっぽの動きだけで決めつけてしまうのも問題です。
しっぽの動きに加え、表情にも注目すれば、愛犬の気持ちをより正確に理解することができるでしょう。
また、しっぽの振り方にも種類があります。
・素早く左右に振っている
興奮しているワンちゃんの行動で、激しいほど興奮の度合いが高いといえます。
楽しい時や嬉しい時にも見られますが、怒って興奮している時でも見られるので注意してください。
興奮しすぎると、噛み付いたり飛びつくなどの問題行動を起こすこともあるので、度が過ぎるようなら落ち着かせましょう。
・ゆっくり振っている
リラックスして落ち着いている状態です。
・腰を落として大きく振っている
飼い主が帰ってきた時に良く見せる動きで、愛情がある相手に見せるポジティブな振り方です。動きが大きいほど愛情も深いといえるでしょう。
・しっぽが垂れ、ぎこちなく揺れている
不安や不快感などから神経質になり、警戒感を強めているときに見られる動きです。
この状態から攻撃態勢に切り替わることもあります。
これ以外にも、喜びや親しみを感じているときは体の右側に、不安や恐怖を感じているときは左側にしっぽを振る傾向があるようです。
まとめ
コミュニケーションを取るうえで、相手の気持ちを推し量ることはとても大切です。
愛犬とより親密な関係を築くには、しっぽの動きの違いとその意味を知っておくと便利でしょう。
これからワンちゃんを迎えようという人は、世代を越えてワンちゃんを飼育しているブリーダーから一度お話を聞いてみるといいでしょう。
多くのワンちゃんと生活を共にしているブリーダーなら、コミュニケーションの方法も接し方も熟知しているので、迎える前も後も頼りになる存在です。
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著者/ブリーダーナビ編集部