犬のマズルとは?マズルコントロールのやり方

ワンちゃんを飼育するうえで大切なしつけ。言うこと1つ聞かせるだけでも、気長に継続してしつけを行わなければなりません。
良い行動をする分には問題ありませんが、ダメなことをダメと理解させるための有効な手段の一つに、マズルコントロールがあります。

マズルってどの部分?

犬のマズルとは?マズルコントロールのやり方
photo by Alexas_Fotos

マズルとは、ワンちゃんの顔の先端――口周りか鼻先にかけての部分で、口吻と呼ばれる口先の部分のことです。ワンちゃん以外にも、例えば馬の口先の部分もマズルと呼ばれます。
一方で、猫の口先の部分は正確にはマズルとは呼ばれません。
口元や歯が発達しており、前方にせり出している形状の口元が、マズルと呼ばれます。

マズルコントロールとは?

マズルコントロールとはワンちゃんのしつけの1つで、元々は母犬が子犬に対して行うしつけです。母犬が子犬のマズルを噛むことで、子犬にダメなことを教えるとともに優位性を示すしつけ行為になります。
これを飼い主が行うのしつけが、マズルコントロールなのです。

マズルコントロールは必要なしつけ?どんな意味があるの?

・マズルコントロールを行う理由
マズルコントロールは本来、母犬が子犬のマズルを口で噛むしつけを、飼い主が疑似的に行う行為です。マズルコントロールを行うことで、飼い主ががリーダーであることを教えることになると同時に、信頼関係を築くことにも繋がります。

口や鼻といった器官が集中するマズル部分は、ワンちゃんにとってとても大切な部分なので、触れられることを嫌がるのが普通です。つまり、マズルを掴ませてくれるということは、それだけ心を許してくれているということになります。

・マズルコントロールの効果
ワンちゃんにとって敏感な部分であるマズルを掴むことで、興奮している愛犬を落ち着かせる効果があります。
しつけがされていないワンちゃんは、自分では興奮を抑えることができません。そこで、マズルコントロールを行えば、ワンちゃんは我に返り冷静さを取り戻すことができます。

また、マズルコントロールできるようになると、顔や口に触れても嫌がらなくなるので、歯磨きなどの口腔のケアが難なくできるようになります。そのほか、愛犬が落ち着きやすくなるので、動物病院でも暴れることなくスムーズに診察を行えるでしょう。

「マズルコントロールは不要という」意見も

上記のようにしつけの効果が期待できるマズルコントロールですが、一方で「マズルコントロールは必要ない」という意見もあります。
ワンちゃんと人間との関係で必要なのは「信頼関係」であるという考えを持つ人からすれば、ワンちゃんを飼い主に従わせるような関係性は不適切なのでしょう。

上でも説明しましたが、マズルはワンちゃんの体の中でも敏感な部分です。そこを掴むことで力関係を示し、飼い主に従わせるというのが、マズルコントロールというしつけのそもそもの考え方です。確かに、ワンちゃんが嫌がるようなマズルコントロールをしなくても、飼い主とワンちゃんとの関係性を築くことはできるでしょう。

しかし、母犬が行うしつけという見方をすれば、自然なしつけと見ることも可能です。
マズルコントロールを行うかどうかは、飼い主さんの考え方次第でしょう

マズルコントロールのやり方は?いつから始めればいい?

すべてのしつけにいえることですが、始めるのが早ければそれだけ身に付けるのもの早くなります。
では具体的に、マズルコントロールはいつから始めて、どのようなやり方をすればいいのでしょうか?

始めるのはいつからがいい?

マズルコントロールもしつけの1つなので、ほかのしつけと同様、環境に慣れたらなるべく早いうちに始めることをおすすめします。ある程度物心が着くと、マズルに触れられることに抵抗するようになるので、その前に始められれば早く覚えてくれるでしょう。
もともとは母犬が子犬に行うしつけなので、子犬の方がいろいろな行動を受け入れてくれやすいものです。

また、子犬であれば万が一噛まれても大きなケガにはなりません。
成犬になり噛む力が強くなり、歯が強く鋭くなってから噛まれるととても危険なので、その点でも早くから始めた方が安全といえます。

マズルコントロールのやり方を解説

1.触られることに慣れさせる
上述したように、ワンちゃんの体の中でもマズルは敏感な部分。そのため、いきなりマズルに触ろうとしても、大抵は抵抗されてしまいます。そのため、まずは体に触れられることに慣れてもらうため、スキンシップも兼ねてアゴ周りや頭などを優しく撫でてあげるところから始めましょう。

2.落ち着いている時に優しくマズルに触れる
体に触られることに慣れたら、いよいよ本命のマズルに触れていきます。
触るタイミングは、落ち着いてリラックスしている時。最初から掴むのではなく、静かに撫でるように触れて、少しずつマズルに触られることに慣れさせてください。慣れたら、優しく包み込むようにして、最終的に掴めるようにします。

ただし、力を入れてギュっと握らないように注意してください。
鼻先を軽く握ったり、上下左右に動かしても抵抗しないようになれば、安心して信頼されている証拠です。

3.数秒間おとなしくしていたら褒める
触っても大丈夫な時間を少しずつ延ばしていき、暴れずに数秒間できたらご褒美をあげるなど褒めてあげてください。一度上手にできたら時間をおいて、リラックスしているタイミングで再び繰り返していけば、自然とマズルコントロールが身に付いていくでしょう。
ここまでできたら、ヤンチャしたらマズルを掴んで、愛犬にそれが悪いことであると教えてください。
マズルを掴む時は、ほかのしつけ同様に行動の直後、間をおかずに行いましょう。

一度に長時間しつけを続けるのは難しいと思うので、1日5分程度の短い時間で毎日継続して行うと良いでしょう。

マズルコントロールの注意点

・マズルコントロールが必要が見極める
上の項目でも説明しましたが、マズルコントロールは絶対に必要なしつけというわけではありません。身に付けておけば何かと便利ですが、マズルという敏感な部分に触れるため、ワンちゃんにとって負担となることがあります。
そのため、一部に「マズルコントロールは必要のないしつけ」という意見があることも理解しておくべきでしょう。
マズルコントロールというしつけを理解して、ワンちゃんが嫌がるようなら、無理に行うのは止めてください。

・信頼関係を築いたうえで行う
マズルコントロールに限らず、しつけは信頼関係が築けていないと、ワンちゃんに一方的な服従を強いることになりかねません。それでなくともマズルは敏感な部分なので、飼い主と愛犬との信頼関係がないと、触れることすらままならないでしょう。
しつけをスムーズに進めるためにも、何よりもワンちゃんにストレスを与えないためにも、信頼関係を築くことから始めてください。

もしもワンちゃんが不信感を抱いているようなら、マズルコントロールを行うことは止めて、多少は時間がかかっても信頼を得ることを優先しましょう。
無理に行うと、噛みつかれてケガをする恐れがあるだけでなく、関係の構築から遠ざかってしまいます。

まとめ

マズルは、ワンちゃんにとってとても敏感な部分です。触れられることすら嫌がる子も多いので、マズルコントロールができるということは、飼い主と愛犬との信頼関係ができ上がったと言えるでしょう。

否定的な意見があるのは事実ですが、元々は母犬が子犬に行うしつけを真似たのがマズルコントロールです。そのため、効果が期待できるしつけでもあります。
愛犬との関係性や飼育方針を考慮したうえで、行うかどうかは飼い主であるあなたが判断してください。

愛犬との信頼関係の構築、しつけ方については、ワンちゃんを飼育するプロであるブリーダーから話を聞いてみるのもおすすめです。

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