突然のけいれんは「てんかん」の発作⁉
脳の病気「てんかん」とは
photo by Yasuhiko Ito
愛犬が突然けいれんを起こしたら、それは「てんかん」という脳の病気かもしれません。手足がぴくぴく引きつり、震えたり泡を吹いたりといった症状がみられたら、まずは落ち着いて様子を観察してください。
てんかんの発作が起きたら、驚いてオロオロする飼い主がほとんどだと思います。しかし、てんかんは直接死に至る病気ではなく、てんかんだからといって寿命が縮むわけではありません。
そうはいっても、苦しそうな愛犬をそのまま放っておくことはできませんよね。まずは、てんかんという脳の病気についてしっかり把握しておきましょう。
てんかんの種類や原因
どうしてけいれんするの?
てんかんのけいれんは、筋肉の収縮をつかさどる中枢神経系に異常な興奮が起こり、筋肉が収縮することによって起こります。体のコントロールが効かなくなり、体の一部が震える程度のものから意識がなくなって倒れてしまうものまで、症状は様々です。
てんかんは脳神経細胞の異常によって発作を繰り返す病気で、人間でも発症する病気です。残念ながら未だにてんかんを完治させる治療法は見つかっておらず、定期的に薬を飲ませる投薬治療がメインとなります。
全犬種で発症する可能性のある病気ですが、トイプードルはてんかんを発症しやすい犬種だといわれています。愛犬がてんかんの発作を起こしたら、慌てず発作の種類を見極めなければなりません。ここからは、てんかんの発作の種類についてみていきましょう。
てんかん発作は大きく2種類に分けられる
●部分発作
「部分発作」とは、体の一部分だけに起こる発作のことです。一部の筋肉群をつかさどる部分のみに異常が起こり、前脚のみ、顔面のみというように一部だけが反応を起こします。そのほか、体の動作だけでなく「呼びかけに反応しない」「瞳孔が開く」など意識に関する反応に影響が出る場合もあります。
●全般発作
「全般発作」とは、意識障害を伴う全身性の発作のことです。脳全体がショートしてしまい、全身の筋肉がけいれんを起こします。全般発作の場合、前兆として「落ち着きがない」「よだれを流す」「嘔吐する」などの症状が現れます。その後「両前後足がピンと伸びる」「のけぞる」といった症状が出て、続いて「全身ががたがた震える」「犬かきのように手足を激しく動かす」「目の瞳孔が開く」「失禁」「脱糞」「泡を吹く」などの様子がみられます。
通常これらの症状は数十秒~3分ほど続き、発作が治まると普通の状態に戻ります。重度なてんかんの場合、これらの症状が短い間隔で繰り返し起こります。
先天性?それとも後天性?
●特発性てんかん
「特発性てんかん」は遺伝的な要素が関連していると考えられており、犬のてんかんのほとんどが先天性の特発性てんかんだといわれています。
●症候性てんかん
「症候性てんかん」は二次性てんかんとも呼ばれ、脳腫瘍・外傷性脳障害・脳炎などの発症がきっかけで二次的に引き起こされるてんかんのことです。脳の病気だけでなく、薬品の中毒をきっかけに発症する場合もあります。そのほか、過度なストレスによって発症する犬もいると報告されています。
症状性てんかんは、原因となる病気を治療することで回復することもあります。
著者/ブリーダーナビ編集部