活発で運動が好きな柴犬にとって、散歩は欠かすことができない日課です。運動という目的以外にもストレス解消や飼い主とのコミュニケーションなど、様々な意味を持ちます。
では、柴犬を迎えて散歩するにあたり、どのような点に注意すればいいのでしょうか?
目次
柴犬が散歩を始めるのはいつから?
柴犬は運動量が豊富な犬種なので、毎日散歩をする必要があります。しかし、柴犬を迎えたからといって、すぐに散歩が始められるわけではありません。
具体的な散歩の開始時期は、かかりつけの獣医師からの許可が出てからになるので、指示を仰いでください。
散歩はワクチン接種完了後に!ただし注意点も
産まれたばかりの子犬は、免疫力が弱く感染症のリスクが高い状態です。そのため、ワクチンを接種して感染症への耐性をつけてから散歩デビューすることが望ましいとされています。
子犬がワクチン接種をする時期は、1回目が生後42~60日頃。その後1ヶ月置きに2回目、3回目と続け、ワクチンプログラムは生後4ヶ月頃に終了します。
しかし、ほとんどの場合2回目のワクチン接種から2~3週間後に、「キャリーバックに入れるなど直接接触しない」ことを条件に、散歩の許可が出ます。免疫のことを考えれば時期尚早ですが、生後3週齢~12週齢の社会化期に、多くの経験を積ませるため、このようになっています。
ワンちゃんが自分の足で外を歩く、いわゆる「散歩」を始めるのは、全てのワクチン接種が完了する生後4ヶ月頃です。それまでは、室内で遊ばせるだけでも十分な運動になります。
柴犬に必要な散歩時間と回数はどれくらい?
猟犬にルーツを持つ柴犬は、活発で運動好きな犬種です。そのため、必要とする運動量が多く、毎日十分な時間・距離の散歩は欠かせません。
では、柴犬を満足させるには、毎日どれくらいの散歩が必要なのでしょうか?
散歩は1日2回、30分ずつを目安に
成犬の柴犬に必要な散歩量の目安は、時間にすると1日に合計1時間程度が理想で、1回30分の散歩を2回に分けて行うといいでしょう。
30分の散歩を距離で換算すると約2kmほど。距離を目安に考えて散歩するのもおすすめです。
まだ体力が十分ではない子犬の頃は、1日20分程度の散歩をすれば、運動量的には問題ありません。体力がついて満足できなくなったら、徐々に距離と時間を伸ばしていくようにしてください。
散歩を終えても落ち着かないようであれば満足していない証拠なので、室内で遊んであげるなど工夫して運動させるといいでしょう。
散歩に出る時間帯はいつがいいの?
毎日決まった時間に散歩をしていると、散歩のタイミングを覚えてしまい、その時間になると催促してくるようになります。
そのため、飼い主の都合よりもワンちゃん自身の要望を優先するようになりかねません。毎日確実に同じ時間に出発できればよいのですが、体調や天候、用事など、何かしらの要因で予定が崩れることもあるでしょう。
そうなると、ワンちゃんはストレスを抱えることになるので、散歩に出掛ける時間は一定にしない方がいいかもしれません。
また、夏場の散歩も時間に注意が必要です。
ダブルコート(二重構造)の被毛を持つ柴犬は、ワンちゃんの中でも寒さに強く暑さに弱い犬種です。特に、アスファルトやコンクリートで舗装された都会の地面は、気候の影響を直接受けるので、人間よりもより地面に近い高さにいるワンちゃんに配慮する必要があるでしょう。
熱中症や足裏のやけどから愛犬を守るために、陽が高い時間を避け、早朝や夕暮れ後の比較的涼しい時間に出掛けるようにしてください。
散歩に必要なグッズ紹介
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柴犬を飼い始めて、いざ散歩に出掛けようと思っても、「何を準備すればいいの?」と悩む人も多いでしょう。ワンちゃんを飼うことに慣れていない人は、取りあえず首輪とリードがあれば散歩できると思いがちですが、それだけでは十分といえません。
これだけは必要!散歩グッズ
・首輪/ハーネス
ともに、リードをつなぐためにワンちゃんに装着するグッズで、首輪はその名の通り首に、ハーネスは胴回りに装着するタイプです。
首輪は、首に付ける都合上引っ張ると首が締まるので、ワンちゃんによっては負担をかけることになりますが、万が一迷子になっても野良犬や捨て犬と間違えられずに済みます。
一方、ハーネスはベルトタイプやベストタイプがあり、どちらも首輪と違い首に負担がかからないというメリットがあります。
・リード
リードは、飼い主とワンちゃんをつなぐための綱です。リードには様々な種類があり、愛犬の性格や散歩のスタイルに合わせて選んでください。
一般的な「スタンダードリード」や長めの「ロングリード」、長さを調整できる「フレキシブル(伸縮性)リード」、肩や腰に巻いて使用するため両手が自由になる「ハンズフリーリード」があります。
用途に合わせて使い分けるといいでしょう。
・散歩バッグ(マナーポーチ)
うんち袋や水入りのペットボトルなど、愛犬と散歩する時に使用するグッズをまとめて入れておくためのバッグ(ポーチ)です。使いやすいものであればどんなタイプでもいいですが、リードを持つことを考えると、片手が空くように身に付けるタイプがおすすめです。
中には、消臭効果のあるワンちゃんの散歩用に考えられたバッグもあります。
・うんちを取るビニール袋&ティッシュ
愛犬の排泄物の処理は、飼い主として最低限のマナーです。そのまま放置するような真似はせず、愛犬のうんちは持ち帰り、自宅もしくは所定の場所に処分しましょう。
例え外で排泄する習慣のないワンちゃんでも、体調不良などで突然お腹が刺激されてうんちをする場合もあります。
袋はトイレに流せるタイプのものがおすすめです。消臭タイプや厚手のものなど、種類も多いので、好みで選ぶといいでしょう。
・飲み水、おしっこを流す水
ペットボトルに入れた水は、飲み水以外にもおしっこを流すために用いるため多少余分と思う量を持っていくと安心です。特に、夏の暑い時期に散歩をする時は、適度な水分補給のためにも忘れないようにしましょう。
ワンちゃん用のグッズとして、トレイとセットにペット専用の水筒や、折り畳み式のトレイも売られているので、使いやすいタイプを選んでください。
・夜の散歩用ライト
日が短くなる季節では、少し遅い時間に出掛けても暗くて見通しが悪くなります。人間であれば辛うじて視認できても、車からワンちゃんは中々確認しづらいもの。そのため、夜の散歩用にライトを用意しておきましょう。
最近は、小型でも光量が高いLEDライトがあるので便利です。ワンちゃんに装着するタイプもあるので、嫌がらないようならおすすめです。
・ご褒美のおやつ
おやつは、散歩中のしつけのご褒美であったり、緊急時に愛犬の気を引くための手段として、持っていると何かと使い道が多いので便利です。
ただし、与え過ぎは肥満の原因にもなるので注意してください。
雨の日や暑い時期の散歩について
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柴犬は運動量が豊富なので、肥満やストレスの予防のためにも、毎日散歩しておきたいものです。基本的に散歩好きな柴犬ですが、それでも散歩に行かない方がいい日も存在します。
雨の日も散歩は必要?
運動量が豊富で、毎日の散歩が欠かせない柴犬ですが、場合によっては散歩に出ることは中止した方がいいときもあります。豪雨や雷雨といった極度な悪天候の中、無理に散歩に出掛けても、危険なだけでデメリットしかありません。
そんな時は、ワンちゃんがストレスをためないように家の中で思いっきり遊んであげてください。
雨が降っていても、外出できるような小雨なら、犬用のレインコートを着せるなど、雨の対策をして散歩するといいでしょう。
ワンちゃん用のレインコートは、頭から被ってお腹で止めるタイプや、前足まで覆うタイプのものなど、いくつかの種類があります。歩くたびに泥や水が撥ねて体が汚れるのを防いでくれるので、雨の日以外でも使う機会は少なくないでしょう。
何よりもワンちゃんのことを考えて、無理がなければ出掛けて、危険があると判断したら散歩は見送ってください。
暑い夏、散歩はどうすればいい?
日本犬である柴犬は、日本の気候に適した犬種です。
しかし、ダブルコート(二重構造)の被毛を持つこともあり、寒さには比較的強いものの、湿度の高い日本の夏の暑さには注意しなければなりません。
頭上から降り注ぐ日差しの強さだけでなく、アスファルトやコンクリートで舗装された道の照り返しもあるので、人間よりも地面に近い位置にいるワンちゃんを襲う熱は、私たちの想像以上です。
また、灼けた道を歩くことは、外を素足で歩くワンちゃんの肉球に負担をかけることになります。そこで夏の散歩は、早朝と夕方以降の比較的涼しい時間に出掛けて、犬用の靴(靴下)を履かせるようにしましょう。
ワンちゃんに足に履かせる物は、いかにも靴下という素材のものから、底がしっかりした靴まで様々な素材があるので、用途に応じて選んでください。
引っ張り癖などのしつけ方法
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ワンちゃんの引っ張り癖は、散歩時に飼い主がコントロールできなくなるので、通行人の邪魔になるほか、場合によってはワンちゃんを危険に晒すことにもなりかねません。
そのため、安全に散歩できるように事前にしつけることをおすすめします。
飼い主のそばにいたいと思わせる
ワンちゃんがリードを引っ張るのは、リードを持つ飼い主を無視して、自分勝手に行動している結果です。そのため、「飼い主のそばにいたい」と思わせることができれば、自分勝手に歩き回るようなことはなく、落ち着いて散歩してくれるようになるでしょう。
愛犬の引っ張り癖のしつけに関しては、下記ページで詳しく解説しています。飛びつき癖についても説明しているので、しつけでお困りなら一度ご覧になってみてください。
【柴犬の飛びつき】飛びついたり引っ張るのはなぜ?困った行動を解消
リーダーウォークを覚えてもらおう
柴犬と良好な関係を築くには、飼い主と愛犬との「明確な主従関係」が必要です。
これは、散歩時にもいえることで、飼い主との関係をワンちゃんに教えるためのしつけが「リーダーウォーク」になります。
リーダーウォークは、ワンちゃんが飼い主の隣をつかず離れずの距離を保ち、自分から寄り添う歩き方です。このしつけを身に付けることで、ワンちゃんに引っ張られることなく散歩ができるようになります。
<しつけ方>
外を歩く前に、まずは家の中で練習しましょう。
ワンちゃんに首輪とリードを装着し、家の中を歩かせてください。この時リードは短く持って、ワンちゃんが自分より前を歩こうとしたら、リードを進行報告とは逆に軽く引っ張りましょう。この時、飼い主の横を歩かせるようにしてください。
これを基本に、歩きながら時々立ち止まって、愛犬がそのまま歩こうとしたらリードを引いて制止します。この流れを繰り返し、上手にできるまで反復練習しましょう。
「つけ」を覚えれば安心
ワンちゃんと散歩するうえで、リーダーウォークとともに大切なしつけが「つけ」です。
つけが身に付けば、もしも飼い主の元を離れても、「つけ」の指示1つで定位置に戻すことができます。
つけの詳しいしつけ方については、下記ページで詳しく解説しています。
散歩の注意点とマナー
散歩は、ただワンちゃんを外に連れ出して歩けばいいというわけではありません。欠かせない日課だからこそ、飽きないように工夫するなど、気を付けなければいけない部分があるのです。
散歩のマンネリ化は避けよう
ワンちゃんの散歩は、ただ距離が長いだけ、時間が長いだけでなく、愛犬が「満足する」ことが大切です。毎日同じコース、同じパターンではワンちゃんも飽きてしまうので、マンネリ化しないように少しずつ変化をつけて、楽しくなる工夫をしてあげましょう。
そのためにも、コースやルートを複数用意しておき、散歩の風景やにおいなど、ちょっとした変化をつけるとワンちゃんも飽きずに散歩を楽しむことができます。また、散歩中に他のワンちゃんと交流したり、近くの公園で遊んだりするのもいいでしょう。
飼い主としてのマナー
・リード着用は散歩のマナー
どれだけ丁寧にしつけられたワンちゃんでも、行動を完全に予測することはできません。中には「うちの子は他人に迷惑をかけることはない」という飼い主もいるかもしれませんが、愛犬の安全を守るためにも、リードは必ずつけて、目が届く範囲にいさせるようにしましょう。
・愛犬から目を離さない
何をするか分からないワンちゃんから目を離すのは、あらゆる意味で危険です。
特に子犬のうちは、何にでも興味を示し口に入れてしまうので、誤飲誤食を含め、愛犬を守るためにも散歩中に目を離さないようにしてください。また、興奮して他人に危害を加える可能性もあるので、愛犬の行動をチェックするのは大切です。
・排泄物はきちんと処理する
ワンちゃんの散歩でよく問題となるのが、排泄物の処理です。街中で注意を促す看板を見かけたことも多いのではないでしょうか?
散歩に出掛ける場合は、ペットシーツや水の入ったペットボトル、ウンチ袋などを持っていき、もし散歩中にうんちをしたら必ず持ち帰るようにしましょう。
また、おしっこをした場合は、した場所に水をかけて洗い流してください。
散歩を嫌がる・歩かない場合の対処法
運動やストレスの面からも、ワンちゃんにとって散歩は大事な日課です。
しかし、時には散歩に出かけることを嫌がったり、散歩中に突然怖がって動かなくなってしまうことがあります。それは、運動好きな柴犬にもいえることで、何らかの理由があって散歩に抵抗を示すようになるのです。
まずは原因の特定を
ワンちゃんが散歩に出たがらない理由として、よく見られるのが外の世界に慣れていないケースです。個体差はあるものの、家族以外の人や他のワンちゃんと接する機会がない場合、家から一歩外に出た世界は、全てが恐怖の対象になるでしょう。
それまで普通に散歩できていたのに、ある日突然散歩を嫌がり出した場合、散歩中に怖い思いをした可能性があります。例えば、「工事現場の大きな音に驚いた」「知らない犬に激しく吠えられた」といった理由から、恐怖を感じたのかもしれません。
このケースは、特定の場所を拒絶するようになるので、比較的判断しやすいでしょう。
また、怖がるわけではなくとも、外の環境を嫌がる場合もあります。
例えば、あまりにも暑い夏の日であれば、ワンちゃんは熱された道を歩くのを嫌がるでしょう。こうしたケースであれば、理由は明確なので、散歩の時間をずらしたり、日を改めるおことで解決できる場合がほとんどです。
様々な理由の中で、最も怖いのがケガや病気です。
ある日突然散歩を拒否するようなら、ケガや病気などの体の異変を疑う必要もあります。傷病が原因の場合、散歩に行きたがらないだけでなく、日常の行動にも変化が現れるので、日頃からスキンシップを取って入れば、気付くこともあるでしょう。
放置すると悪化するだけで、改善は見込めないので、明らかに様子がおかしいときは、早めに動物病院へ連れて行ってください。
散歩を拒むときは
怖がって散歩を嫌がるようなら、おもちゃやおやつを使うのも効果的です。
あまり物に頼りすぎるのも問題ですが、散歩の前や散歩中におやつやおもちゃを与えることで、散歩が怖いものではなく楽しいものであることを教えてあげましょう。
愛犬が安心して散歩するために
・信頼関係を築く
散歩に限らず、飼い主と愛犬の信頼関係は全ての土台です。愛犬があなたを飼い主と認め、一緒にいて安心できる・楽しい存在だと思ってくれれば、一緒に出掛ける散歩も、きっと好きになってくれるでしょう。
人対人でも同じですが、信頼関係は一朝一夕で築けるものではありません。日頃からコミュニケーションを取り、良い飼い主になろうという心がけを大切に、気長に接してあげてください。
・社会性を養う
安心して散歩するためには、外の世界を怖がらないようになってもらうことが必要です。幼い頃から家族以外の人やワンちゃんと接する機会を増やし、外に連れていって様々な経験を積ませてください。
・過保護にしない
可愛い愛犬は甘やかしがちですが、散歩中常に抱っこしているなど、あまりにも過保護がすぎると散歩本来の意味を見失いがちです。自分の足で歩く運動ではなく、飼い主に抱っこしてもらうなど、構ってもらうことが目的になってしまい、散歩への意欲を失ってしまいかねません。
まとめ
ワンちゃんにとって、散歩は欠かすことができない日課ですが、中には散歩があまり好きではない子もいます。散歩に行かないと運動不足になり、ストレスを溜め込んだり肥満になったりしかねません。つまり、散歩しないと健康に害が及ぶ恐れがあるのです。
しかし、どれだけ散歩が必要とはいえ、嫌がるワンちゃんを無理やり引きずり出すのは絶対にやめてください。散歩は「怖いもの」「嫌なもの」思いが強くなり、余計に散歩を嫌がるようになってしまいます。
しっかりリードでコントロールしつつ、少しずつ主従関係を作り上げ、安心して散歩に行ってもらえるようコミュニケーションをとっていきましょう。
柴犬との関係構築は、しっかりとした上下関係からはじまります。この関係性が作れない人は、柴犬の飼い主になるのは難しいかもしれません。柴犬の飼い方については下記のページでも解説していますので気になる方はぜひ参考にしてみてください。
ブリーダーから柴犬を迎える場合、ブリーダーの元で基本的なしつけができている場合も多く、迎えた後の不安や悩みも気軽に相談することができます。
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著者/ブリーダーナビ編集部