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ワンちゃんを迎えたいと思っており、それでも一歩踏み出すことができない理由として「金銭面の不安」を挙げる人は少なくありません。具体的にどの程度の出費が必要なのか知ることができれば、そうした不安を解消できるでしょう。
今回は、柴犬を迎えるにあたり必要なものを紹介するとともに、それに伴う費用を解説していきます。
柴犬の値段は?
現在の柴犬の平均的な値段相場は約 21万4,939 円(ブリーダーナビ調べ)となっています。
※ 2022年2月2日 時点
ワンちゃんをはじめとしたペットの値段には定価がないため、価格は様々な条件を考慮した上で、ペットショップやブリーダーといった販売業者が独自に決めることになります。
【ワンちゃんの値段を決める主な判断基準】
・見た目
・毛色(毛質)
・大きさ
・性別
・血統
・需要性の高さ
・健康状態
など
これらの基準は、各犬種に定められている「スタンダード(標準)」に基づいて判断され、スタンダードに近ければそれだけ価格は高くなります。また、こうした基準のほか、供給と需要のバランスや健康状態、血統なども価格を決める要因です。
こうした条件が合わさることで、同じ犬種でも値段に差が生まれることになります。
柴犬を迎えるための初期費用は?
ワンちゃんを飼うにあたり、最も費用がかかるのは初期費用です。
最初に準備しておきたいグッズなどの各費用を合計すると、おおよそ下記のような金額になります。
初期費用:柴犬の価格+55,000円~
では、その内訳はどうなっているのでしょうか。
初期費用の内訳①飼い主の義務!「登録料」と「狂犬病予防」
ワンちゃんを迎えて、まず必要になるのが「役所への登録」と「狂犬病の予防接種」です。
この2点は、動物愛護法により飼い主に義務付けられているので、必ず行わなければなりません。
<役所への登録>
ワンちゃんを迎えたら、その責任と所在を明確にするため、迎えた日から30日以内(生後90日以内の犬の場合は、生後90日経った日から30日以内)に、お住まいの地域の役所に登録しなければなりません。
登録することで、野良犬や他の飼い犬と区別できるようになり、万が一行方不明になったとしても、帰ってくる可能性が高くなります。登録時に貰える鑑札・済票は、身に付けることで保健所の捕獲対象外になるので、絶対に忘れないでください。
<狂犬病の予防接種>
狂犬病は、全ての哺乳類に感染する、死亡率ほぼ100%という恐ろしい病気です。
そのため、数あるワンちゃん用のワクチンの中でも「狂犬病ワクチン」は、接種義務が課れています。
狂犬病の予防接種は、年に1回必ず打たなければならないので、忘れないようにしましょう。
上記はそれぞれ、以下の費用がかかります。
登録費用:3,000円
狂犬病予防注射:3,500円程度
注射済票交付費用:550円
また、義務である以上、違反した場合罰則もあります。
犬の登録をしなかった場合、20万円以下の罰金が課される場合があるので、注意してください。
参考 犬の鑑札、注射済票について厚生労働省
初期費用の内訳②ワンちゃんの健康を守るために必要なこと
義務ではありませんが、大切な愛犬の健康を守るためにもやっておきたいのが、「健康診断」と「ワクチンの接種」です。
<健康診断>
簡単な検査:数千円
一般的な検査:1万円程度
精密検査・ドッグドック:1万5千円〜3万円
一口に健康診断といっても、検査内容は多岐にわたり、何を検査するかによってかかる費用は様々です。
<ワクチン代>
2種混合:3,000~5,000円
7種以上:7,000~10,000円
1年目であれば、2~3回の接種が必要です。2種~11種混合まで費用にも幅があり、接種義務がある狂犬病ワクチンとは異なり、混合ワクチンは飼い主の任意で受ける予防接種です。ワクチン費用は、動物病院によって異なるため、事前に確認したうえで納得して受けましょう。
初期費用の内訳③避妊・去勢手術
ワンちゃんの避妊・去勢手術は、繁殖を防ぐ以外にも病気の予防や攻撃性を抑えるなどのメリットがあります。反面、デメリットもあるので、手術をするかしないかの判断は、飼い主の考え方にかかっているといえるでしょう。
かかる費用は手術する動物病院により様々で、ある程度の傾向はあるものの少なからず幅があることを覚えておいてください。
・オスの去勢手術
20,000~30,000円程度(入院なし)
・メスの避妊手術
30,000~50,000円程度(1泊)
初期費用の内訳④ワンちゃんをお迎えするための準備
柴犬を迎えるにあたり、日常生活を送るためのグッズを準備しておく必要があります。それに伴い、やはりグッズを揃えるために必要な費用は知っておきたいところでしょう。
ここではワンちゃんをお迎えする前に揃えておきたいグッズと、そのおおよその費用を紹介します。
・ケージ/サークル
約1万円~
柴犬の運動能力の高さを考慮して、飛び越えられない高さの物を選ぶといいでしょう。
ケージやサークルは、ワンちゃんの行動範囲を決める役割以外にも、落ち着いて過ごせるテリトリーを作る役割もあります。
・クレート
約5,000円~
クレートはワンちゃんを入れて持ち運びできる犬小屋のようなもので、動物病院に出掛ける時などに便利です。安全面や持ち運びの良さを考慮して、入ったワンちゃんが向きを変えられる程度の広さの物を選ぶといいでしょう。
・トイレ用品
トイレトレー:1,000~3,000円
ペットシーツ:500~2,500円
ワンちゃんのトイレは、トイレトレーの上にペットシーツを敷いて、ワンセットで使用します。トイレトレーは、サークル・ケージのサイズに合ったものを選び、消耗品であるペットシーツは、ワンちゃんのサイズに合わせて選びましょう。中型犬の柴犬の場合、レギュラーサイズがおすすめです。
・食器
フードボウル:1,000~5,000円
ワンちゃんの食事は、ご飯を入れるフードボウルという容器にドッグフードを入れて与えることになります。おすすめは、容器の底に滑り止めがついているタイプか、ある程度の重さがあり動きにくいタイプです。
・給水器
給水器:約1,000~5000円
ワンちゃん用の給水機には様々なタイプがありますが、現在はサークルやケージに取り付けられるボトルタイプが主流です。好みやライフスタイルに合わせて、どのタイプがいいか選ぶといいでしょう。
・子犬用フード
子犬用フード:約3,500円/2kg
ワンちゃんの食事は、年齢に応じたフードを用意してあげる必要があります。
そのため、子犬を迎えた場合は子犬用のフードを選びたいところですが、しばらくはそれまで与えられていたフードを与えるといいでしょう。急にフードを変えると、お腹を壊したり、そもそも食べなくなったりするので、フードを変えるのなら、少しずつ時間をかけて変えていきましょう。
・首輪もしくはハーネス、リード
ハーネス:2,000~5,000円
リード:1,000~4,000円
散歩に欠かせないリードと、ワンちゃんをつなぐための首輪、もしくはハーネスも揃えておくといいでしょう。柴犬の場合、首輪よりも体に負担がかからないハーネスがおすすめです。また、成長に合わせて調整ができるものだと、買い替える必要がなくなります。
・お手入れ用品
ラバースリッカーブラシ:約1,500円
ダブルコート(二重構造)の被毛を持つ柴犬は、短毛ながら非常に抜け毛が多い犬種です。年に2回訪れる換毛期は元より、それ以外の時期も、1年を通して抜け毛への対応をしておく必要があるでしょう。皮膚が弱い柴犬の健康を守るためにも、衛生的な観点からも、毎日のブラッシングがおすすめです。
そのために使用するブラシは、柔らかいラバースリッカーブラシがいいでしょう。
外飼いする場合は犬小屋などの準備も
柴犬の場合、外で飼うという選択肢もありでしょう。
しかし、室内で飼う場合と違い、屋外で飼育する場合、気をつけなければいけないことが多々あります。
例えば、何らかの原因でワンちゃんがリードから解放された場合、敷地を抜け出してそのまま行方不明になる可能性も否定できません。また、季節ごとの寒暖さも、室内飼い以上に気を付けなければならないでしょう。
このほか、犬小屋を用意するのであれば、金銭面での負担も増えることが想定されます。自分で犬小屋を作れる技術があれば材料費だけで済むものの、そうでなければかなりの出費を覚悟しましょう。
愛犬のことを考えれば、室内で飼う方が多くのメリットがあるかもしれませんね。
「柴犬の飼い方」について詳しく知りたい方は下記のページも参考にしてみてください。
初心者向け柴犬の飼い方
飼育費用は年間どのくらい?
初期費用以上に考慮しなければいけないのが、ワンちゃんの飼育費用です。
飼育費用は、一度払えば終わりというわけではなく、継続しなければいけないので、この費用が安定して払えないようでは、ワンちゃんを迎えるのは難しいでしょう。
柴犬を飼育するために必要な年間費用を合計すると、以下の金額になります。
年70,000円~
以下に、年間費用の内訳を解説してきます。
なければ困る「フード・おやつ」と「ペットシーツ」
月々の飼育代で、まず思い浮かぶのが消耗品である「フード・おやつ」と「ペットシート」ではないでしょうか?これらは、毎日欠かさず使う物なので、切らすことがないよう、常に用意しておく必要があります。
フードとおやつ代:約4,000円/月 4万8,000円/年
ペットシーツ:約1,000円/月 1万2,000円/年
犬種によっては定期的に被毛のカットが必要なほか、体のお手入れをプロにお任せしたいと考えるなら、トリミング費用も考えておきましょう。
柴犬は短毛の犬種のため、カットの必要はありませんが。皮膚や被毛のことを考えてシャンプーをお願いするのなら、月1回のトリミング代を月々の飼育費用に入れておきましょう。
そのほか、爪切りや肛門腺絞り、耳掃除などのお手入れを自分でできない場合は、サロンや病院にお願いしても良いでしょう。かかる費用はお店によりますが、全てのお手入れをおまかせする場合、4,000円程度かかると考えてください。
健康を守るために必要な年間費用
いつケガや病気になるかも分からないため、健康には気を付けなければなりません。傷病を未然に防げれば理想ですが、もし何かあったとしても、早い段階で気付くことができれば、治療にかかる費用も時間も大きく抑えることができるでしょう。
<義務付けられている予防接種>
狂犬病予防:約3,500円
初期費用の項目でも説明しましたが、狂犬病の予防接種は、飼い主の義務です。そのため、年に1回、必ず予防接種を受けなければなりません。
<任意の予防接種>
混合ワクチン接種:約8,000円
フィラリア予防:約1万円
ノミダニ予防:約1万2千円
狂犬病以外の感染症の予防接種は、飼い主の任意となっています。混合ワクチンは、2~11種混合までの組み合わせがあるので、愛犬に必要なのはどの種類なのか、獣医師に相談して決めてください。
<健康診断費用>
簡単な検査:数千円〜
一般的な検査:1万円程度〜
精密な検査やドッグドックなど:1万5千円〜3万円程度
健康診断にかかる費用は、検査する範囲によって異なります。診断の内容が多くなるほど費用が高くなるので、どの程度の検査が必要なのか愛犬の年齢や体調などを考慮して、診断内容を決めましょう。
<ペット保険費用>
保険料:約1,000~3,500円/月
ペット保険は年単位での契約となり、保険プランによってはワンちゃんの年齢が上がるごとに保険料が値上がりしていくものもあります。
また、ワンちゃんが小型犬か中型犬か大型犬か、体の大きさによって加入できるプランが決まってきます。
※予防接種の注意点
予防接種の回数や頻度には特に決まりはなく、ワンちゃんによって様々です。また、病原体から作られた抗原を体内に投与するため、副作用の可能性もゼロではありません。
抗体が体内に残っているのにワクチンを打つと、過剰接種になってしまうこともあるので、事前に抗体の量を知ることができる「ワクチンの抗体検査」を受けてから、接種するか決めることをおすすめします。
参考 犬のワクチン接種でお悩みの皆様へVaccicheck-owner
おもちゃ、その他の消耗品
<ワンちゃん用のおもちゃ>
おもちゃ:約1,000~5,000円
ワンちゃん用のおもちゃはバリエーション豊富で、素人ならずとも何を選べばいいのか迷ってしまうことでしょう。ワンちゃんの好みもあるので、「せっかく買ったのに遊んでくれない…」ということも珍しくありません。
<その他消耗品>
タオル:1,000~3,000円
服:1,000~2,000円
リード:1,000~4,000円
比較的取り換える頻度が高い、ワンちゃん用のタオルなども消耗品です。また、服を着せている場合、愛犬の成長に従い服の買い替えもする必要があるでしょう。
愛犬のため光熱費もプラスに
ワンちゃんを飼う上で見落としがちなのが、空調に伴う光熱費です。柴犬は暑さに弱く寒さに強い犬種なので、特に夏場はエアコンを付けっぱなしにしておく必要があります。
室温を一定に保つために、飼い主の外出中お留守番させている間も常にエアコンを稼働させておく必要があるので、その分光熱費は上乗せされてしまいます。
月平均で換算すると、電気代はおよそ5,000円程度プラスになると考えておきましょう。
合計費用は?
では、ここまで紹介してきた費用をまとめてみましょう。
初期費用:柴犬の価格+55,000円~
年間費用:70,000円~
この数字を合わせると、柴犬を迎えるために用意しておきたい、1年目に必要な費用は以下のようになります。
初年:柴犬の価格+125,000円~
ブリーダーナビに掲載している柴犬の平均価格は約 21万4,939 円なので、合計すると 34 万円は最低ラインと考えておきたいところです。
生涯費用は、柴犬の平均寿命が15年として計算すると、ワンちゃんの価格を抜かしたとしても、最低でも100万円以上かかる計算に。病気にかかれば、この金額に更にプラスされます。ただし、柴犬は定期的なカットが不要な犬種なので、トリミング費用は気にしなくていいでしょう。
値段はどのように決まる?
販売されているワンちゃんは、ペットショップなどの販売者側が値段を自由に決めることができるため、定価というものがありません。
では、どのような基準で販売価格を決めているのでしょうか?
販売価格は大きく2つの条件で決められています。
①仕入れルートやお店の方針といった販売業者の都合
②ワンちゃんの特徴
また、ワンちゃんをペットショップから迎えるか、ブリーダーから迎えるかでも、購入金額に差が生まれます。
ブリーダーの場合は自分の犬舎で繁殖してたワンちゃんを直接販売していますが、ペットショップの場合はそこに人件費や仲介手数料などの経費が加算されます。
そのため、近い条件の子犬を迎えた場合、ペットショップよりもブリーダーの方が安く購入できる傾向があります。
親がチャンピオン犬の子や繁殖にコストをかけている子など例外はあるものの、ペットショップよりもブリーダーの方が安く購入できる傾向があります。
ブリーダーさんから購入するメリット
価格だけではなく
- 健康管理がしっかりしている
- 子犬の将来像がイメージしやすい
- 優良なサポートを受けられる
- 適正な価格で迎えることができる
優良ブリーダーの探し方は?
「優良なブリーダーをどうやって探せばいいの?」
という疑問を持つ方もいるかもしれません。
一般的には動物病院やトレーナーなど、動物に関係する専門家から教えてもらう方法があります。特に獣医師はその職業柄ブリーダーと関わることが多く、豊富な情報を持っています。
そのほか、最近では直接ブリーダーさんとやり取りできるWEBサービスも登場しています。当サイトも提供しているこうしたWEBサービスは、時間を問わず犬舎の見学申請や相談などができるメリットがあります。
初めて子犬を迎える方、失敗したくない方には便利です。
当サイト「ブリーダーナビ」でも、多くの優良ブリーダーさんに可愛いワンちゃんを掲載していただいています。気になる方はのぞいてみてくださいね!
著者/ブリーダーナビ編集部