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年齢によって異なる食事の与え方・量
photo by James Gochenouer
人間の赤ちゃんが離乳食や幼児食を経て徐々に大人と同じ食事に慣れていくように、ワンちゃんも年齢よって食事の内容を変えていく必要があります。さらに言えば、犬種、体の大きさ、その子の性格、そのときのご機嫌や体調に合わせて食事内容をコントロールする飼い主もいますよ。
ただ、いきなりこと細かく食事を管理するのは飼い主にとっても大変です。まずは基本とも言える、年齢ごとに食事を変えられるように知識を深めていきましょう。
ポメラニアンなら10ヵ月すぎくらいまでの幼齢期、10ヵ月~10歳頃までの成犬期、それ以上の年齢がシニア期となり、この3つのライフステージに分けて食事管理ができるとより良いです。
幼齢期の食事の与え方
体にしっかりと栄養を与えるために、子犬に必要な栄養を摂取できるパピーフードを用意します。子犬はまだまだ内蔵が未熟なため、たくさんの量を与えても消化しきれません。少ない量でもきちんと必要カロリーを摂取できる食事が重要となります。
〇生後2ヵ月まで
・消化機能は未熟だが、多くのカロリーを必要とする急成長期
・低炭水化物で高カロリーな食事がメイン
・骨の成長に必要な「カルシウム」「ミネラル」「ビタミン」も重要
〇生後2ヵ月~10ヵ月頃まで
・成長の速度がゆるまり、骨の発達はほぼ完成し、筋肉が発達しはじめる
・筋肉の成長のために「タンパク質」と「ビタミン」を多く摂れる食事が大事
・脂肪がつきやすいため、注意が必要
成犬期の食事の与え方
体はほぼ成熟するため、健康的な体型の維持が重要となります。老化に向かっていく時期でもあるため、バランスの良い食事管理が大切です。
〇生後10ヵ月~8歳頃まで
・必要カロリーをオーバーしないよう、栄養バランスに気を付ける
・ポメラニアンは食欲旺盛なため、おやつの与え過ぎにも注意
〇8歳~10歳
・老化が少しずつはじまる時期
・高カロリーな食事を控え、老化防止を期待できる「タンパク質」を多く摂取することを心がける
・食欲低下が見られる場合は、嗜好性の高い食事に切り替える
シニア期の食事の与え方
長生きワンちゃんとして敬われる時期です。体の衰えや体調に応じて食事に工夫が必要となります。
〇10歳以降
・筋力の低下、嗅覚や味覚の低下など、至るところに老化が見られる時期
・食欲が落ちることもあるため、必要に応じて嗜好性の高い食事に切り替える
・お湯や犬用のミルクでふやけさせるなど、食べやすさも重要
ドッグフードのパッケージに記載の規定量をチェック!
ポメラニアンの食事の量は、与えているドッグフードのパッケージに記載されている「1日の目安」を参考に与えれば基本は問題ありません。
(病気などで獣医さんから指示を受けている場合は、そちらに従いましょう。)
【パッケージに記載の1日の食事量(g)÷1日の食事回数(回)=1回の食事量(g)】と割り出せますので、しっかりと規定の量をチェックしましょう。
食欲旺盛なポメラニアンは、間違えて多く与えてしまってもペロッと食べてしまう子も中にはいます。しかしこれは肥満や下痢、軟便の原因にもなり兼ねないため、1日の目安量から1食の目安量をしっかりと計算しましょう。
ポメラニアンの適性体重や体重推移などについて詳しく知りたい方は下記の記事もチェックしてみてくださいね。
ポメラニアンの体重は個体差が大きい?適正体重や月齢別の推移は?
より正確な食事量の求め方
パッケージに記載された量よりも正確に必要な食事量を知る手段もあります。
それは「RER(安静時エネルギー必要量)」と「DER(1日に必要エネルギー量)」から計算する方法です。
1日に必要なフードの量は以下の計算式から求められます。
なお肥満体型の場合は現在の食事量を見直すことがあります。その際は獣医さんに相談してくださいね。
①RER(安静時エネルギー必要量)の計算方法
計算式は以下の通りです。
RER=70×(体重kg)の0.75乗
仮にポメラニアンの体重が3kgだとすると160になります。
上の計算式でRERを出したら、次にDERを計算しましょう。
②DER(1日に必要エネルギー量)の計算方法
計算式は以下の通りです。
DER=RER×(活動係数)
ここで出てくる「活動係数」は年齢や条件によって異なります。
下記の数字を当てはめてください。
避妊・去勢していない成犬 | 1.8 |
---|---|
避妊・去勢している成犬 | 1.6 |
肥満傾向の犬/高齢犬 | 1.4 |
妊娠中の犬(1~4週) | 2.0 |
妊娠中の犬(5~6週) | 2.5 |
妊娠中の犬(7~8週) | 3.0 |
授乳中の犬 | 4.0~8.0 |
成長期の犬(4ヶ月未満) | 3.0 |
成長期の犬(4~9ヶ月) | 2.5 |
成長期の犬(10~12ヶ月) | 2.0 |
④生後3ヶ月~6ヶ月の食事量の目安
ここまで解説してきた数式に則って、仮にポメラニアンの体重推移が下記の場合、与えるフードの量は下記になります。
(与えているフードの100gあたりのカロリーが380kcalの場合)
月齢 | 体重 | フード量の目安 |
---|---|---|
生後3ヶ月 | 1kg | 55g |
生後4ヶ月 | 1.5kg | 63g |
生後5ヶ月 | 2kg | 78g |
生後6ヶ月 | 2.5kg | 92g |
※小数点以下は四捨五入しています。
ポメラニアンの健康のために食事の質を考えよう
”ポメラニアンに必要な”栄養を知ることが大事
健康を維持し、長寿を目指すためにバランスの良い食事は欠かせないものです。しかし、ワンちゃんは自分たちで栄養バランスの管理まで行うことはできません。毎日食事を与えるのは飼い主の役目。ワンちゃんと人間では必要な栄養素が異なり、犬種や年齢によっても違いがあります。
ポメラニアンに必要な栄養素は何なのか?必要なカロリーとは?ポメラニアンの栄養について一緒に確認していきましょう。
ポメラニアンに必要な【三大栄養素】
タンパク質
筋肉、骨、血液、内蔵など、体のあらゆる組織を生成するうえで欠かせない栄養素です。また、ワンちゃんはこのタンパク質をエネルギー源としても使用するため、特に多く摂取する動物と言われ、人の摂取量とはバランスが異なります。
タンパク質は体内でアミノ酸に分解されます。このアミノ酸は体内で生成されるものもありますが、体内で生成されない「必須アミノ酸」は特に重要とされています。人の必須アミノ酸が9種類であるのに対し、ワンちゃんは10種類も必要で、意識して摂取しなければならない栄養素なのです。
大豆製品などの植物性タンパク質と、肉や魚などの動物性タンパク質と2種類あり、肉食のワンちゃんには動物性タンパク質の方が消化・吸収しやすいですが、バランス良く必須アミノ酸を摂取するためにさまざまな食材をバランス良く摂ることが大切です。
炭水化物(糖質・繊維)
炭水化物は糖質と繊維質でできており、糖質は体を動かすためのエネルギー源に、繊維質は腸内環境を整える大事な役目を果たします。
ご飯、パン、麺類、芋、トウモロコシ、砂糖などに含まれており、余った炭水化物はインスリンの働きにより脂肪細胞や筋肉細胞に蓄えられます。
ワンちゃんにとって大事な栄養素ではありますが、炭水化物の過剰摂取は肥満や糖尿病の原因になります。また、不足しても厄介で、頭の働きが鈍くなったり疲れやすくなったりする低血糖を引き起こすこともあるため、バランスには注意が必要です。
一方、繊維は腸内環境を整え、そのほかの栄養の吸収を促進させます。食物繊維は便秘などに効果的ですが、過剰摂取は下痢などの症状を引き起こすこともあるため、適度に摂取する必要があります。
基本的にポメラニアンの食事は【高タンパク、低炭水化物】を心がけることを覚えておくといいでしょう!
脂肪
脂質は炭水化物やタンパク質と同様に、エネルギー源として働きます。また、ホルモンや脳神経細胞、細胞膜などの生成にも必要な栄誉素です。
炭水化物やタンパク質よりも高いエネルギーを持つため、過剰摂取は肥満の元になってしまいます。脂質の過剰摂取も肥満の原因だったのです。
しかし、脂質もワンちゃんの体にとっては無くてはならない栄養素で、必須アミノ酸と同じような必須脂肪酸というものがあり、必ず必要な栄養素です。
摂取量に注意しながら、ラードやバター、生クリーム、ナッツ類、肉の脂身などから良質な脂質を摂取しましょう。
ポメラニアンに必要な【ミネラル】【ビタミン】【水分】
三大栄養素に加え、ミネラル、ビタミン、水分も重要な栄養素となり、すべて合わせて「六大栄養素」と呼ばれています。エネルギー源にはならないけれど、健康に関わる大事な栄養素です。
主なエネルギー源となるのが三大栄養素だとすると、ミネラル、ビタミン、水分は三大栄養素を補助する役割を果たします。
ミネラル
ミネラルは「無機質」とも呼ばれ、全部で16種類あります。栄養素として必要な量はそう多くないですが、ミネラルが不足すると代謝が上手く機能しなくなります。
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、硫黄、塩素の7つを「必須ミネラル」といい、銅、鉄、亜鉛、コバルト、ヨウ素、モリブデン、マンガン、クロム、セレンの9つを「微量ミネラル」といいます。
ミネラルは体内で生成できない栄養素でもあるため、食事から積極的に摂らなければいけません。また、ミネラルは骨の弱いポメラニアンにとって、骨を強化する栄養素としてとても重要になり、生後間もない頃はバランス良く摂取することで成長をサポートしてくれます。
肉や魚、大豆など多くの食材に含まれているため、摂取するのは大変ではありません。
ビタミン
野菜やレバーなどからも摂取できるビタミンは、ミネラルと協力して体の代謝を助ける重要な栄養素です。全部で13種類あり、さまざまな食材に含まれています。
水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と、水に溶けにくく脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」に分けられます。
水溶性ビタミンは熱に弱いため、ドッグフードなどをふやかしたいときは水を使うといいでしょう。また、過剰に摂取しても尿中に排出されます。
脂溶性ビタミンは加熱を行っても損失が少ないですが、水溶性ビタミンと違い、尿で排出される訳ではないので過剰摂取には注意が必要です。
水分
水分は、成犬の体重の約60~70%を占めています。水分は体温調節を行ったり、栄養素を体中に運搬・消化したりと、非常に重要な働きをしています。
水分不足になると体温上昇、脱水症状、尿路結石などさまざまな症状が出てしまい、病気を引き起こすことも。水分は飲み水や食事から摂取できるものと、体内で作られるものがあります。水分摂取には、常に新鮮な水が飲めるようにしてあげることがベストです。
散歩帰りや運動後でも無いのに「急に大量の水を飲み続ける」などの異変は病気の疑いもあるため飲む量に異変があれば、早めに獣医さんに診てもらいましょう。
注意!ポメラニアンが食べてはいけない食材
手作りご飯のメリットとデメリット
愛犬のポメラニアンに手作りご飯を与えたり、ドライフードにトッピングをしてあげたりするのはとてもいいことです。しかし、人が食べられるものすべてが犬に与えても大丈夫という訳ではなく、飼い主さんの優しさが裏目に出てしまうこともあります。
犬にとって悪いもの・良いものをしっかりと学んだ上で、手作りご飯を作りましょう。
また、総合栄養食として販売されているドッグフードは、1日の「適量フード」と「いつでも飲める新鮮な水」があれば、1日に必要な栄養素を摂取することができます。
そのため、基本的にはドッグフードを与えるのが栄養面でも安心でしょう。
ただし、ワンちゃんの好みや年齢によっても合うドッグフードは異なるため、必要に応じて数種類を用いるほか、変えていくことも大切です。
さらに、愛犬の食事選びの際には、アレルギーもしっかり把握しておきましょう。
ワンちゃんのNG食材
〇ネギ、玉ネギ、ニラ、にんにくなどのユリ科の植物
これらユリ科の植物に含まれる「n-プロプルジスルフィド」はワンちゃんにとって有害であり、体内の赤血球を破壊して溶血性貧血を引き起こします。「タマネギ中毒」とも呼ばれ、絶対に与えてはいけない食材です。
〇チョコレート
チョコレートのカカオなどに含まれる「テオブロミン」は、犬にとって有害です。嘔吐や下痢、昏睡、けいれい、突然死を引き起こす可能性も。また、この成分はコーラやお茶にも少量含まれていますので飲ませないようにしましょう。
〇キシリトール
キシリトール入りのガムを食べ、重度な中毒症状を引き起こした症例があることからキシリトールはワンちゃんに与えてはいけないものになりました。体重1kg当たり100mgで症状が出ると言われています。
〇牛乳
糖の一種ラクトース(乳糖)が牛乳には含まれており、ワンちゃんはこの乳糖を分解することが苦手です。人間でも「乳糖不耐性」と言って、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がいますよね。犬もそれと同じで、消化不良や下痢を引き起こすことがあるので、おやつ作りに使う牛乳はラクトースを含まない“ペット用ミルク”を使用するようにしましょう。
〇骨付きの肉や魚
万が一骨を飲み込んでしまうと、内蔵などを傷つける可能性があるためとても危険です。
〇高塩分なもの
塩分の高い食事はできるだけ避けたいものです。ワンちゃんは塩分を排出する汗腺がないため、塩分過多になってしまうことがあります。
ほかにも、ハチミツ、生肉、香辛料、ブドウ類も与えてはいけないものです。また、人の食べ物はワンちゃんにとってカロリーが高く、糖質も塩分も高いものが多いため、与えるときは注意が必要です。
まとめ
多くのカロリーを必要とするポメラニアンですが、【低炭水化物・高タンパク質】が重要となり、なおかつ必要カロリーを満たそうとたくさんの量を食べると、栄養バランスが乱れてしまいます。少ない量でも必要カロリーを満たすことができ、肥満にならずにエネルギー源を確保できる食事はそう簡単ではありませんが、基本的には栄養バランスが考慮された市販のドッグフードを頼るので大丈夫です。年齢や体調の変化に合わせて獣医さんなどのアドバイスも受けながら、栄養バランスを整えていきましょう。
下記ページではポメラニアンの飼い方について詳しくまとめています!こちらも参考にしてみてくださいね。
また、以下の「ポメラニアンの子犬を探す」ボタンからは、ポメラニアンの子犬とそのブリーダーを探すことができます。ブリーダーはポメラニアンに精通しているプロですので、栄養管理についても相談に乗ってくれるでしょう。子犬をお探しの方はぜひチェックしてみてくださいね。
著者/ブリーダーナビ編集部