ポメラニアンが尻尾を追いかけてぐるぐる回るのはストレスが原因?

そもそも「常同行動」とは

ぐるぐる回る・落ち着きがないのはストレスを感じているサインだった

常同行動とは、意味もなく同じような行動を繰り返すことです。

これはワンちゃんに限った話ではなく、キツネやゴリラ、ゾウなど多くの動物で見られます。みなさんは動物園で同じ場所をぐるぐると回る動物を見たことはありませんか?まさに、それが常同行動なのです。

常同行動は、ストレスが原因で脳内の伝達物質である「セロトニン」がうまく働かなくなることによって起こります。もし愛犬のポメラニアンが常同行動を行っているのなら、それは強いストレスを感じているサインなのです。

しかし、常同行動と一口にいってもいくつかの種類があり、それぞれ行動や原因、対処法が異なります。それでは、常同行動についてもう少し詳しく見ていきましょう。

常同行動の種類

①同じ場所をうろうろと歩く「ペーシング」!

ケージや壁など、同じ場所を一定の速度と歩幅で歩き続けることを「ペーシング」と呼びます。これは、動物園でよく見られる常同行動です。

原因
脳や神経の病気によって引き起こされる場合もありますが、基本的には極度のストレスや不安が原因だと考えられます。ペーシングが見られた場合は、狭い場所に長期間閉じ込めている、退屈させている、愛犬の欲求を満たせていないなど、ストレスとなりうる要因がないか今一度確認してみましょう。

対処法
ペーシング自体に害はありませんが、ポメラニアンがストレスを感じていることには変わりありません。そのため、ドッグランや公園などの広い場所で遊ばせる、ポメラニアンにとって快適な環境を作るなど、ストレス解消に努めましょう。

②同じ場所を舐めたり噛んだり「ブランケットサッキング」!

幼い子どもがおしゃぶりするようにタオルや毛布などを噛む、または前足でふみふみする行動を「ブランケットサッキング」と呼びます。見た目には可愛らしいですが、これもれっきとした常同行動の1つです。ドーベルマンやダックスフンドによく見られるといいます。

また、ブランケットサッキングは母乳を吸うという本能に基づいた行動なため、タオルや毛布ではなく、自分の脇腹を吸うこともあります。

原因
ブランケットサッキングは、ポメラニアンがストレスや寂しさを感じると発生しやすくなります。精神的な病気なため、ブランケットサッキングを引き起こしている原因を解消しなければ何度も繰り返してしまいます。

対処法
ブランケットサッキングは、生活環境を改善することが得策だと考えられています。例えば、散歩時間を増やす、一緒に遊ぶ時間を長くする、ご飯の量を変えてみるなど現在の状況に変化をつけてみましょう。ポメラニアンの脳や体に新しい刺激を与えることによって、改善が見込めます。このほか、薬による治療法もあります。

尻尾を追いかけてぐるぐる回る「尾追い行動」

空き缶

尻尾を追いかけてぐるぐる回る仕草を「尾追い行動」といいます。

最初はただ尻尾を追いかけるだけですが、悪化すると唸りながら尻尾を追いかける、声をかけても止めないなどの行動を起こします。さらに、自分の尻尾を血が出るまで噛んだりむしったりする、尻尾が気になってまっすぐ歩けないなど、日常生活に支障をきたすほど酷くなることもあります。

ペーシングやブランケットサッキングとは違って自分を傷つける恐れがあるため、できるだけ早く止めさせましょう。

原因
尾追い行動は、ストレスを感じたときや自分の気持ちを落ち着かせたいときに発生します。また、遺伝も1つの原因だとされおり、特に柴犬に起こりやすいことが分かっています。ほかにも、皮膚の疾患やてんかんなどが引き金になっていることもあるため、まずは尾追い行動の原因を探ってみましょう。

対処法
ポメラニアンのストレスとなっている原因を探して、取り除いてあげましょう。それでも改善が見込めない、日常生活に支障をきたすほどに症状が酷いという場合は獣医さんへ相談してください。行動療法と抗不安薬を使って改善を目指します。

また、てんかんや皮膚の疾患などが原因だと考えられる場合も動物病院へ連れていきましょう。

常同行動が悪化すると起こる「強制行動」

自分では行動が止められなくなる

上記で述べた常同行動が悪化すると、「強制行動」が引き起こされます。強制行動は自分の意思で行動を制御することができず、何かに取り憑かれたかのようにひたすら同じ行動を繰り返します。

強制行動の例としては、

・吠え続ける
・自分の足や尻尾を噛んだり舐めたりする
・同じ場所をうろうろする
・空中を手で叩くような仕草をする

などが挙げられます。異常だと感じるほど上記の行動を長く続ける場合は、強制行動を疑いましょう。

原因
強制行動を行うワンちゃんは脳と脊髄にある神経細胞が多い、脳の一部分だけ密度が低いといった共通点があります。また、遺伝も原因の1つだとされており、ドーベルマンやゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードなどが好発犬種として知られています。もちろん、ポメラニアンが引き起こす可能性もないとはいえません。ストレスや寂しさ、痛みなどが継続的に与えられると強制行動を引き起こしやすくなります。

対処法
まずは強制行動の原因を探り、それに合わせて対処していきます。もしストレスが原因であれば要因を取り除き、病気が原因と考えられるときは獣医さんへ相談します。てんかんや寄生虫などの病気ではなく、精神的なものだと判断された場合には、抗うつ剤によって治療を進めることもあります。

まとめ

ポメラニアンの常同行動は、ほとんどの場合ストレスが原因です。そのため、うろうろと同じ場所を歩く、自分の尻尾をぐるぐると追い回すなどの行動が見られたら、まずは愛犬のストレス解消に努めましょう。

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