1.動作を観察し、よりポメラニアンの気持ちを知ろう!
表情・行動・環境から読み取るポメラニアンの気持ち
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ポメラニアンの感情は「表情」や「行動」にもよく表現されていますが、愛犬の気持ちを知るには、対象、視線、場所などの背景状況も非常に重要です。ポメラニアンを観察する際は、表情や行動だけでなく、ポメラニアンの周囲の状況も含めた「全体」を観察するようにしましょう。
2.ポメラニアンも使う「カーミングシグナル」や「転移行動」
遊びの誘いや緊張感の緩和にも使う「プレイバウ」
一緒にボール遊びなどを行っていると「もっと遊んで」とでも言うように、フセのような姿勢でお尻と尻尾だけを上げたしぐさを見たことはありませんか?それがプレイバウです。
「プレイバウ」とは、相手を遊びに誘う際によく使用されるしぐさで、前脚を伸ばして体を低くすることで相手に敵意がないことを示し「一緒に遊びたい」という意思を伝えます。
このプレイバウは、ワンちゃん同士で遊びが過激化し、攻撃的になろうとした際に、ワンちゃん同士の鎮静化をはかる意味でも使います。
姿勢を低くして相手に敵意がないことを示すことで、あくまで一連の動作が「遊び」であることを強調させ、喧嘩に発展しないように調整しているのです。
このプレイバウのように、ワンちゃんはワンちゃんならではの行動やしぐさでコミュニケーションをとろうとします。犬語とも言われるしぐさについて、もっと理解していきましょう!
自分や相手の気持ちを“落ち着かせる”「カーミングシグナル」
対象となる人やワンちゃんを前に緊張状態となった際に行うのが「カーミングシグナル」です。「calm:落ち着かせる、なだめる」というワードから由来しているカーミングシグナルは、相手をなだめて争いごとを避けたいときや、不安やストレスによる自身の緊張を緩和したいときに用いるしぐさといわれています。
カーミングシグナルによる行動は以下のようなものがあります。
・あくび
・舌の出し入れ
・前脚を不要に舐める
・視線をそらす、じっと見る
・毛を逆立てる
・耳を立てる、寝かせる
・飛びつく
・尻尾を振る、追いかける
・うずくまる
・物を噛む、壊す
・吠える
・地面のにおいを嗅ぎだす
こうした行動で、カーミングシグナルは表現されます。それでは、実際にはどのようなシーンで表現されるのでしょうか。
たとえば、ポメラニアンより大きなワンちゃんと出くわしたとき、ポメラニアンが緊張した面持ちになったとします。その状態から、舌をペロペロと出し入れしながらゆっくり対象となるワンちゃんに近づいたならば、その舌の動作はおそらくカーミングシグナルでしょう。
相手のワンちゃんに自分には敵意がないことを伝え、「相手をなだめる」サインとして使用されているものと思われます。
また、同じシーンにて、ポメラニアンと相手のワンちゃんが向き合ったまま動かない状態が続き、おもむろにポメラニアンが「あくび」をしたとします。
それも「相手をなだめる」サイン、あるいは「緊張によるストレス」のサインを担ったカーミングシグナルと言えます。
眠くないのにあくびをしていたり、痒くないのに足を舐めたり掻いたり、それまで普通に歩いていたのに、前からワンちゃんが来た途端に地面のにおいを嗅ぎソワソワし出したり。
「なぜこのタイミングでその仕草?」と疑問に思うときは、カーミングシグナルである可能性が高いでしょう。
“自身の”緊張や不安を緩和する「転移行動」
カーミングシグナルは自分だけでなく相手の緊張や不安も落ち着かせる行動であるのに対して、「転移行動」と呼ばれるポメラニアン自身のストレスを緩和するために行われる行動もあります。
カーミングシグナルと転移行動は非常に似ていて区別しにくいこともあり、総合的にストレスサインと呼ぶこともあります。
それまで抱いていた緊張を緩和するために身体を掻いたり、ブルブルと身体を震わせたりするしぐさがそれに該当します。「緊張を緩和する」といった点では、転移行動とカーミングシグナルはよく似ていますよね。
この2つのサインを見分けるには、背景状況と照らし合わせることが大切です。
例えば、今まで見たことがない動物に愛犬のポメラニアンが遭遇し、緊張する場面があったとします。対象を見ながら舌をペロペロと出し入れしたり、顔をそらしたりしたら、それは敵意がないことをアピールしている「カーミングシグナル」です。
対象がその場を離れたその途端、ポメラニアンが身体をボリボリと掻くようなしぐさをしたり、体を震わせたりしたならば、それはポメラニアン自身のストレスを緩和する「転移行動」だと言えます。
カーミングシグナルとよく似ている転移行動ですが、しぐさをするタイミングによって見分けることができるでしょう。
この転移行動により愛犬のポメラニアンがストレスや緊張を感じていることが分かったときは、無理強いせず、愛犬が安らげるようにサポートしてあげるといいですね。
著者/ブリーダーナビ編集部