ポメラニアンがかかりやすい病気は?骨や喉、脳の病気に注意

ポメラニアンは、サモエドを祖先に持つスピッツ系の犬種です。そのため、比較的丈夫で病気になりにくく、飼いやすいワンちゃんといえるでしょう。
しかし、どれだけ健康であっても、全く病気にならないというわけではありません。

ここでは、そんなポメラニアンが気を付けるべき病気を紹介します。
愛犬がどんな病気になりやすく、どんな症状が現れるのか知っておくことで、大事に至る前に対処することができるでしょう。

ポメラニアンはどんな病気に注意が必要?寿命は長い?

ポメラニアンは、寒冷地で働くソリ犬【サモエド】の血を引いているため、体力があり病気になりにくい比較的丈夫な犬種です。しかし、1歳までに発症する可能性のある先天性疾患や、かかりやすい病気もあるため、家族に迎えるのであれば気を付けるべき病気を把握しておきましょう。
また、食欲旺盛なポメラニアンは肥満なりやすいため、その点にも注意が必要です。

ポメラニアンの寿命は12~16年といわれています。下記ページでは、ポメラニアンの最高齢や平均寿命などについて詳しく解説しているので、迎える際の参考にしてみてください。
ポメラニアンの寿命は?最高齢や長生きしてもらうためにできることも ポメラニアンの寿命は?最高齢や長生きしてもらうためにできることも


骨が弱いポメラニアンが気を付けたい関節の病気

ワンちゃんの後ろ足の膝蓋骨(膝の皿)が、正常な位置からずれてしまう、名前の通り脱臼してしまう病気です。特にポメラニアンのような小型犬がなりやすい病気で、小型犬の場合は内側にずれてしまうことが多い傾向にあります。

<症状>
症状の程度によってグレード1~4まであり、スキップのような歩き方をする、足をひきずる、痛みをかばい歩き方が不自然になるなどの症状が現れます。

・グレード1
膝蓋骨を押すと外れるが、手を離せば正しい位置へ戻る状態。
・グレード2
膝蓋骨を軽く押しただけで外れてしまい、手を離しても正しい位置へ戻らない状態。膝を動かすことで元の位置に戻ることも。
・グレード3
常に脱臼しており、手で正しい位置に戻してもすぐにまた脱臼してしまう。
・グレード4
膝蓋骨が常に脱臼している状態で正しい位置に戻せず、骨が変形している。膝を曲げたり歩いたりできないことも。

<原因>
原因は大きく分けて先天性と外傷性の2通り。
先天性の場合、生まれつき膝関節のハマりが浅い、膝関節のまわりの筋肉や靭帯に異常があります。子犬のときから発症していることもあれば、成長するにつれ発症することもあります。

一方、外傷性の場合、交通事故や高いところからの飛び降り、転倒などが原因です。また、外傷や骨の栄養障害などが原因になることもあります。

メスの方が発症しやすく、発症率はオスの約1.5倍だと言われています。

<予防・治療>
グレードにより治療方法は異なり、症状が軽い場合は投薬などの内科的治療が中心で、重度であれば外科手術で対応する場合もあります。脱臼したまま長期間放置していると、骨が変形して靭帯が損傷する可能性もあるので注意が必要です。

予防としては、体重管理で肥満を予防し膝への負担を軽減したり、運動により膝の周辺の筋肉を鍛え脱臼を方法があります。また、家の床がフローリングなど滑りやすい場合は、コルク板やカーペットなどを敷いて、滑りにくくすることも有効です。爪や足裏の毛が伸びすぎた状態でも滑りやすくなるので、定期的にお手入れしてあげるのもいいでしょう。

レッグペルテス症(大腿骨頭壊死症)

太ももと骨盤の連結部分である大腿骨頭が、壊死してしまう病気です。1歳以下の成長中の小型犬に見られ、両側の肢で起こる場合もありますが、左右どちらかの後肢に発症することが多い傾向があります。

<症状>
代表的な症状として、痛みから発症している側の足を地面に着けるのを嫌がる、患肢を浮かせた状態で歩くなどがあります。徐々に症状が現れることもあれば、突然症状が現れる場合もあります。
その他、股関節周囲の過敏症や食欲低下、股関節部分への接触を避けるようなら、この病気の疑いがあります。

<原因>
何らかの理由で、大腿骨頭への血液供給量が不足してしまうことで起こりますが、現状その原因は判明していません。主に3~13ヶ月齢の成長期に、10Kg未満の小型犬種で発症されるケースが多いです。

<予防・治療>
原因が不明なので、予防法も判明していません。
特に1歳未満の小型犬に発症が見られるため、この時期に足をかばうようにしているなどの症状が見られるようなら、早めに動物病院で診てもらいましょう。

症状が軽ければ、鎮痛剤やレーザー治療による痛みの緩和を行いますが、根本的な治療のため、外科手術による大腿骨頭切除を行うこともあります。

小型犬が患いやすい、喉・気管支の病気

ポメラニアン1
photo by spinheike

ポメラニアンのような小型犬は、首の細さに比例して気管も細いため、喉・気管の病気にも比較的かかりやすい傾向があります。呼吸ができなくなると命に関わるため、呼吸音には日頃から注意しておくようにしましょう。

気管虚脱

気管が強度を失うことで筒状の形を保つことができず潰れてしまう病気で、ポメラニアンのような小型犬に多く見られます。呼吸障害が現れるだけでなく、体温調節にも不調が生じ、熱中症などを引き起こすこともあるため、暑さに弱いポメラニアンは特に注意が必要な病気です。

<症状>
呼吸が苦しそうだったり、「ガーガー」という異常な呼吸音がするようなら、この病気の疑いがあります。

重度になると、呼吸困難やチアノーゼ(舌の色が紫色になる)、失神などの症状が現れます。咳や喉鳴りは興奮時や運動後、首輪による圧迫後に見られます。

<原因>
はっきりとした原因は明らかになっていません。大型犬や他の動物では症例が少なく、小型犬に多い病気なので遺伝の影響が疑われています。その他、肥満や老化、ストレス、高温環境、暑い時期の興奮などの影響も疑われるほか、過度に首輪を引っ張ることなどによる物理的な気管の圧迫も原因として考えられます。

<予防・治療>
原因が明らかになっていないため、予防法も分かっていませんが、「高温環境を避ける」「過度な運動やストレスを避ける」「首輪ではなくハーネスを使う」「肥満に注意する」などが有効だと考えられます。

治療に関しては、軽度であれば内服薬で治療を行い、呼吸困難やチアノーゼといった重い症状がある場合は、酸素吸入や外科手術などで対応します。
症状によって適した治療法は異なるため、獣医さんに相談しましょう。

目の病気にも気を付けよう

ポメラニアンは涙やけを起こしやすい犬種です。それ自体は見た目以外に大きな問題はない
ものの、場合によっては他の病気を併発する可能性があるため注意が必要です。

流涙症(涙管閉塞)

涙が溢れ出てしまう病気です。溢れた涙が目頭から鼻の横にかけてこびりつき、被毛の色を変色させてしまいます。流涙症自体は命に関わるよな重篤な病気ではありませんが、目やにが多くなったり湿疹や皮膚炎に繋がってしまったりするので、早めに対処した方がいいでしょう。
白い毛の場合、見た目も悪くなってしまうので特に注意してください。

<症状>
常に涙が溢れている状態なので涙の成分により細菌が繁殖しやすくなり、目の周りの毛が変色する他、感染症や皮膚炎を患うリスクが高くなります。

<原因>
考えられる原因は大きく2つ。
1つは、逆まつげや眼瞼内反症、異物による持続的な眼球への刺激や炎症、瞬きの減少による涙の過剰分泌。もう1つは、先天的な涙点の欠損や炎症、異物、外傷による涙点、涙管の閉塞です。
特に小型犬に多く発生するため、遺伝的な要因が疑われています。

<予防・治療>
先天的な原因の場合予防は難しいですが、それ以外であれば目の周りのお手入れをマメに行い清潔に保つことで、予防は可能です。また、まつ毛や目毛が原因の場合、短くカットすることで予防できます。

治療に関しては、どこまで治療するかで治療方法が大きく変わります。
涙やけが気になる程度なら、目の周りをこまめに拭くだけでも効果があるでしょう。サプリメントの利用も有効です。細菌感染や皮膚炎が起きている場合は、抗生剤による治療が必要になります。場合によっては、外科手術による治療が必要になることもあるでしょう。

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