ワンちゃんを飼ううえで絶対に避けては通れないのがしつけです。
周囲へ迷惑をかけないためにも、トラブルを未然に防ぎ愛犬の安全を守るためにも、しつけは飼い主の義務の1つといえるでしょう。
本記事では、パピヨンのしつけやすさや、どんなしつけが必要なのか、それぞれのしつけのポイントなどを解説します。
目次
パピヨンのしつけは難しい?しつける前に知っておきたいこと
パピヨンはとても賢い犬種で物覚えも早く、初心者であってもしつけやすい犬種といえるでしょう。しかし他の犬種同様、しつけを怠ったり甘やかしたりすると問題行動をするような子に育ってしまいます。
ここでは、そんなパピヨンをしつけるうえで心がけたい、しつけの基本を紹介します。
パピヨンの性質を理解しましょう
ワンちゃんをしつけるうえでまず飼い主が理解しておくべきは、「人間にとっては問題行動でも、ワンちゃんにとっては普通の行為」が多々あるということ。
例えば、「吠える」「噛む」は、ワンちゃんにとって自然な行為です。ですが、人間社会の理屈に合わせれば問題行動になってしまいます。
人間と犬は同じ生き物ではないので、こうした違いがあることを理解したうえでギャップを埋めるためにしつけをするという意識を持つと良いでしょう。
パピヨンは好奇心旺盛で人懐っこいので、初対面の人であってもそれほど警戒することはありません。ですが、インターホンの音などに驚いて吠えることがあります。
また、活発で運動を好む性質なので、ブラッシングを始めとしたお手入れの際にジッとしていることが苦手な子も多く、抵抗して噛んでしまうことも。
パピヨンをしつける場合は、こうした犬種特有の性質も理解しておきましょう。
大切なのは褒めて伸ばすこと
パピヨンは甘えん坊なので、性格的にしつけは褒めて伸ばすやり方が合っています。
逆に厳しく叱ったり体罰を与えるようなやり方では、飼い主への不信感を募らせることになり、しつけの妨げになりかねません。
叱るときは、低い声で「ダメ」と短く注意しましょう。叱る際に名前を呼ぶと、「名前を呼ばれる=叱られる」という認識になり、名前を呼ばれると避けるようになってしまいます。
叱るときはタイミングに注意
いくらしつけの基本が褒めることとはいえ、どうしても叱らなければならない状況は出てくるでしょう。ですが、ワンちゃんには人間の言葉が通じないので、叱り方に気を付ける必要があります。
ワンちゃんを叱る場合は、問題行動をしてしまったその瞬間に叱る必要があります。少しでもタイミングが遅れてしまうと、ワンちゃんは何について叱られているのか理解できなくなるので効果がありません。
そのため、効果を期待するのであれば、その瞬間に「イケナイ!」「ダメ!」と短い言葉で叱るようにしてください。
ただし、甘えん坊というパピヨンの性格上、叱るよりも無視することの方が効果的な場合もあるので、状況によって最も効果が期待できる対応をしましょう。
家庭内での言葉の統一
ワンちゃんは人間の言葉を意味ではなく音で認識しているので、同じ意味の違う言葉を使うと、それは別のものと認識していまいます。
例えば、おすわりを教える際、「おすわり」「すわれ」「シット」など言葉が統一できていないと、ワンちゃんを混乱させてしまうでしょう。
そのため、1つのしつけに対して使う言葉は家族内で統一するようにしてください。
子犬・成犬・性別によるしつけ方に違いはある?
ワンちゃんの年齢や性別で、基本的なしつけ方に違いはありません。
しかし一般的には、成犬の方がしつけにくく、子犬の方がしつけやすいとは言われています。これは、何も知らない真っ新な子犬の方が物事の吸収が早いためで、成犬の場合はそれまでの経験や学習に新しいしつけを上書きする必要があるため、その分の労力がかかってしまうからです。
性別の差に関してはほとんどなく、むしろ性格が大きく影響するので、去勢・避妊手術をすることで改善する場合もあります
パピヨンのしつけはいつから?
しつけを始める時期は早ければ早いほど良いので、理想としては「家に迎えたその日」から始めたいところです。
特に生後3週齢から12週齢の、いわゆる「社会化期」と呼ばれる期間は、好奇心のままに物事を経験し学習するため、この時期に何ができたかがとても重要になります。
一般的に子犬を家に迎えられる時期は、最短でも生後8週齢から。そのため、社会化期にしつけができる期間は1ヶ月ほどしかありません。子犬を迎えて最大限の教育ができるように、家にお迎えする前から準備をしておくことをおすすめします
パピヨンのしつけ①「社会化」
子犬のしつけでも特に重要な時期が、いわゆる「社会化期」といわれる生後3週~12週齢です。
この社会化期の子犬は、恐怖を覚える前の好奇心が強いので、「音」「物」「人」「環境」などの物事の吸収に優れています。
当然しつけの覚えも早いので、この時期にどれだけのしつけができていたのかが、それ以降の生活に大きく関わってきます。
パピヨンのしつけ②「トイレ」
トイレトレーニングは、ワンちゃんを家に迎えてまずは最初に取り掛かりたいしつけです。食事をしない日がないように排泄しない日もありません。
ここで紹介する内容を参考に、1日も早くトイレを覚えてもらえるようにしましょう。
トイレの準備
ワンちゃんのトイレは、トレイにペットシーツをセットした物になります。つまり、トイレの大きさはトレイで決まるのですが、子犬のうちはそれがトイレだと理解できないので、慣れるまではトレイがからはみ出してもいいように、ペットシーツを広めに敷くようにしましょう。
また、トイレを置く場所にも注意が必要です。
トイレは寝床から離れたところに設置して、一度使ったらすぐに取り替えるようにしてください。
上手くできたら褒める、失敗しても叱らない
ワンちゃんのしつけ全般にいえることですが、上手にできたら褒めてあげて、失敗しても叱らないようにしましょう。
褒めてあげれば、それが良いことだと理解し、褒めてもらいたくてまた成功するようになってくれます。
しかし、叱ってしまうとその行為自体が悪いことだと思ってしまい、飼い主の前では排泄を嫌がり隠れて粗相する癖ができてしまうかもしれません。
成功したら3秒以内に思い切り褒めてあげて、失敗したら特に反応せず無言で速やかに後片付けをしてください。
排泄するタイミングを把握する
ワンちゃんのトイレタイミングは概ね決まっており、以下のようなときに排泄したがります。
- 食事や飲水の直後
- 運動後
- 睡眠後
- 興奮してるとき
こうしたタイミングをあらかじめ知っておけば、慌てることなくトイレに連れて行けるので安心です。トイレトレーニング中は、特に上記のようなタイミングは必ず一緒にいるようにして、予兆があったらすぐに連れて行きましょう。
トイレの場所を忘れてしまう・覚えられない場合の対処法
子犬のうちは、一度覚えたトイレの場所を忘れてしまったり、なかなか覚えられなかったりすることがあります。そんな場合は、もう一度覚えなおさせましょう。
ワンちゃんは、狭い場所や寝床では排泄しないという習性があるので、「クレートにふかふかな物を置く」「狭いケージ内を寝床だけする」といった対処を取りましょう。
一度失敗してしまうと、以降はトイレでなくとも同じ場所で排泄するようになってしまうこともあるので注意が必要です。
トイレからはみ出てしまう場合は?
排泄の際、用意したトイレからはみ出してしまう場合は、トイレの場所が悪いかトイレが体の大きさに合っていない可能性があります。
例えば、トイレが壁に近すぎると壁を避けるために体をズラしてしまうので、はみ出してしまいます。
この場合は、壁から少し離した場所にトイレを移動しましょう。トイレが小さい場合は、少し大きめのトイレを利用してください。
同じ場所で失敗するようなら
ワンちゃんはトイレの場所を匂いで覚えるため、一度トイレを失敗すると以降も同じ場所で排泄するようになってしまいます。
そんな場合は、消臭スプレーで徹底的にその場所の匂いを消して、同時にその場所にいけないようにするなどの対処を取りましょう
外でしかトイレをしないのは大丈夫?
ワンちゃんは広い場所で排泄する習性があるため、しつけができていないと室内では我慢して、外で排泄するようになることがあります。これを予防するには、子犬のうちから特定の時間に散歩するのを避けておくと良いでしょう。
人間と同様に、排泄を我慢すると病気になる危険があるので、健康のために室内でもできるようにしつけてあげてください。
パピヨンのしつけ③「噛む・甘噛みの対処法」
ワンちゃんは噛む動物なので、噛みつくことを完全に止めさせることは難しいでしょう。そのため、しつけで噛むことを止めさせるのではなく、噛んでも良いおもちゃを与えたうえで、「噛んでも良い物」と「噛んではいけない物」があることを教えてあげてください。
それでも、噛んではいけない物にかみついてしまったら、叱るのではなく無視するのが一番です。
ワンちゃんが人に噛みつくのは、飼い主の反応を楽しむ遊びの一環として行っている場合があるので、噛みつかれて反応するのは逆効果。口を離すまで無反応を貫くようにしましょう。
パピヨンのしつけ④「吠える時の対処法」
パピヨンは活発ですが比較的吠えにくい犬種です。
しかし、中には警戒心が強い子もいるので、社会化やしつけが不十分だと吠え癖がついてしまう恐れがあります。
特に小型犬は細く高い声で鳴きます。他のサイズの犬種以上にうるさいと思われがちなので、しっかりとしつけて吠え癖がつかないにしましょう。
吠える理由と対処法①「警戒心から吠える場合」
臆病な性格の子は、恐怖心から周りを威嚇するために吠える傾向があります。こうしたタイプの場合は、まず何に警戒しているのか知ることが先決です。
例えば、「家のインターホンが鳴ると吠える」「来客に対して吠える」など、何に対して吠えているのかが分かれば、対象を遠ざけたり慣れさせるといった対処ができるようになります。
対象に向けて吠え始めたら、おやつやおもちゃを与えて意識を違うものに向けさせたり、「怖い」という悪いイメージを良いイメージで上書きしてあげましょう。
この時やってはいけないのが、大きな声で叱ることです。これは飼い主さんが同調していると勘違いしてしまい、パニックを助長することになってしまいます。
吠える理由と対処法②「要求吠えの場合」
ワンちゃんは、「遊んでほしい」「ご飯が欲しい」など、何かを要求するために吠える場合があります。この要求吠えは、吠えれば飼い主がいうことを聞いてくれるという我儘なので、要求に従ってしまうと我儘に拍車をかけることになってしまうでしょう。
要求吠えをなくすための基本は、愛犬が吠えても反応せず無視することです。
吠えている間は完全な無視を貫いて、吠えなくなったら遊んであげたりおやつを与えるなど喜ぶことをしてあげましょう。これを繰り返すことで、「吠えると構ってもらえない」ことを覚えさえてください。
どれだけ我慢させても、最終的に折れてしまっては効果がないので、吠えている間は心を鬼にして徹底的に無視しましょう。
パピヨンのしつけ⑤「おすわり・まて・ふせ」
「おすわり」や「まて」「ふせ」は、さまざまな場面でワンちゃんの行動を抑え、安全を守るために用いるしつけです。
簡単な芸と思われがちですが、これらができると散歩中の思わぬトラブルにも迅速に対応できるようになります。
「おすわり」のしつけ方
おすわりは、しつけの中でも基本的なもので、これを覚えさせてから他のしつけを覚えさせることになります。これができれば、何か問題行動をしても「おすわり」の指示で落ち着かせることができるでしょう。
視線が上に向いて自然と腰を下ろすので、おすわりの恰好になります。
お尻が床について、完全にお座りの姿勢を取ったら、褒めておやつを与えましょう。
「まて」のしつけ方
「まて」は「よし」とセットで覚えさせましょう。
これができれば、散歩中に車道に飛び出しそうになっても止めることができるので、愛犬の安全を守ることに繋がります。
この際、動いてしまったらおやつは没収して、時間をあけてから再挑戦しましょう。
「ふせ」のしつけ方
ふせは、ワンちゃんをその場にとどめておくことが可能で、さらに落ち着いた姿勢を取らせておけるしつけです。愛犬に信頼されていないと教えることが難しいしつけで、飼い主と愛犬との信頼関係の証とも言えます。
まとめ
パピヨンはとても賢い犬種なので、他の犬種と比べてしつけで困ることは少ないでしょう。
しかし、可愛いからといって手放しで甘やかしてしまうと、問題行動をしてしまう子になってしまいます。
しつけは、ワンちゃんを飼ううえで必要不可欠です。
今回の内容を参考に、愛犬をしっかりとしつけてあげてくださいね。
著者/ブリーダーナビ編集部