1.ミニチュアシュナウザーはどんな病気に注意が必要?寿命は?
大切な家族である愛犬には少しでも長生きしてほしいものですよね。健康的な食事や運動、定期健診などを心がけて病気を予防するとともに、もしも病気になったときは早期発見・治療が肝心です。
ミニチュアシュナウザーの飼い主は、この犬種がどんな病気にかかりやすいのかを知り、病気に対する意識を高めていきましょう。
ミニチュアシュナウザーは長生き?平均寿命は?
ミニチュアシュナウザーの平均寿命はだいたい12~15歳ほど。
小型犬の中では長命といわれています。ワンちゃん全体の寿命はここ数十年でグンと延びており、これは医療の発展やドッグフードの向上、ワンちゃんの病気に対する飼い主の意識の高まりが関係しています。
2.犬種特有の病気も!ミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気
ドイツ原産のミニチュアシュナウザーは、日本国内でも飼育頭数が多く人気の犬種です。
頭が良く、活発で、フレンドリーな性格が魅力で、小型犬ですが体格はしっかりとしており、筋肉がついたワンちゃんです。
活気が良く頑丈な体を持っていますが、糖尿病や尿路結石、胆石症といった病気や、目の病気、耳の病気などにかかりやすいといわれています。
それではミニチュアシュナウザーのかかりやすい病気について、詳しく見ていきましょう!
遺伝性疾患の可能性も「乾性角結膜炎」「白内障」
〇乾性角結膜炎
結膜や角膜の充血、角膜の色素沈着や潰瘍、黄色や緑色の目やに、瞼の痙攣などの症状が見られる眼科疾患です。涙量が減少し、目の表面が乾いてしまうことで起こります。
涙量の減少は、免疫機能の何かしらの異常や、原因不明の特発性であることが一般的です。
【治療法】
目の洗浄や点眼薬による治療など、ワンちゃんの状態に合わせて行います。
完治させるのは難しく、継続的に治療を行っていくことが多いといわれています。かかってしまった場合は獣医さんと相談しながら愛犬のケアをしていきましょう。
【予防】
重度の場合は視力障害や視力を失うこともあるため、早期発見・早期治療が重要な病気となります。日頃から目のチェックを行い、気になることがあれば早めに受診しましょう。また、目の周囲を清潔に保つお手入れも欠かせません。
〇白内障
カメラでいうレンズのような役目を果たす水晶体という組織が白く濁ってしまう病気です。物などにぶつかる、つまずくといった視覚障害が見られます。
6歳以上のワンちゃんに発症する老年性と、2歳までに発症する若年性があり、若年性の場合は遺伝性疾患である確率が高いです。また、ミニチュアシュナウザーもかかりやすい糖尿病も、白内障の原因のひとつとなります。
【治療法】
初期段階では点眼薬を用いた内科的治療を行い、根本的な治療には外科手術による水晶体の摘出などが必要です。
【予防】
日頃から特に目の色には注意しておきましょう。白く濁っているなど、気になる点があれば早めに病院を受診してください。早期発見・早期治療により進行を遅らせることは可能です。
心臓病を持っているワンちゃんは要注意…「洞不全症候群」
心臓の右心房付近にあるペースメーカーの役割を果たす機能が鈍くなり、虚脱や失神、不整脈や心不全などを引き起こす病気です。息切れ、ふらつきなども見られます。
原因は加齢によるものが一般的で、多くは心筋症や心筋炎、心臓の腫瘍といった心臓病が引き金となります。
【治療法】
症状により異なりますが、心拍数を増やす薬や強心剤などを用いる内科的治療のほかに、根本的な治療としてペースメーカーを植え込む外科手術が行われる場合もあります。
【予防】
重症化した場合は命にも関わるため、早期発見・早期治療が肝心です。また、ミニチュアシュナウザーは好発犬種として知られています。定期的に健康診断を受け、心臓やその周辺に異常がないか検査を受けるようにしましょう。
ミニチュアシュナウザーも発症しやすい「尿路結石」
尿石症とも言われるこの病気は、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器にミネラル成分が結晶化した石ができてしまいます。頻尿、血尿、排尿痛、食欲不振といった症状が特徴です。
膀胱炎といった感染症、シュウ酸の過剰摂取、先天的な代謝障害によるものなど原因は複数あり、結石の原因となる成分もそれぞれ異なります。
【治療法】
食事療法や、水を多く飲み排尿回数を増やして流し出すほか、感染症がある場合はその治療を並行し、必要な場合は外科手術を行うこともあります。結石の大きさ、部位、原因によって治療法は異なります。
【予防】
・日頃から栄養バランスに気を付け、ミネラルやカルシウムなどの過剰摂取を防ぐ
・水分を適度に摂り、排尿環境を整える
・ストレスのない生活を送る
・肥満にさせない
・日々、排尿の回数や尿の臭い、色、濃さなどを確認する
こうしたことが予防につながります。
ミニチュアシュナウザーは好発犬種「胆石症」
胆嚢(たんのう)や胆管で結晶化した胆石により、発熱や食欲不振、嘔吐下痢、白っぽい便などが見られる病気です。ただ、ほとんどが無症状であるため、定期健診で偶然見つかることが多いといわれています。ミニチュアシュナウザーは好発犬種で知られ、特に男の子の若いワンちゃんに多いです。
【治療法】
胆汁の流れをよくする内科的治療を行うほか、重度の場合は胆嚢の全摘出や、胆嚢切開による結石の摘出などの外科的治療を施すこともあります。腹膜炎や肝炎、膵炎などを引き起こす可能性もある病気のため、治療法は獣医さんに相談しましょう。
【予防】
・高カロリー、高脂肪の食事を避ける
・間食を控える
・適度な運動を行う
胆石症にならないためには胆嚢の機能をしっかりと保つことが重要です。生活習慣に気を付けることや、定期健診などで病気を予防しましょう。
肥満気味のミニチュアシュナウザーに注意「膵炎」
下痢や嘔吐、消化不良、体重の減少、腹痛によるショック症状などが見られる膵臓の病気です。中高齢の女の子で、肥満のワンちゃんに多く見られます。
肥満、尿毒症、高カルシウム血症、ウイルス感染、免疫機能の異常、過去の腹部手術、薬物などさまざまな原因が考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。
【治療法】
傷みを抑える投薬と、絶食による膵臓の機能を抑制する治療が行われます。症状が落ち着いたら低脂肪食などで食事を管理していきます。
【予防】
肥満のワンちゃんに発症しやすいことから、高脂肪食などを控えることが予防につながるのではないかと考えられています。運動と食事に気を付け、肥満にさせないことが大事です。
膵臓疾患に併発することもある「糖尿病」
糖の代謝を促すインスリンがうまく働かず、食欲低下や多飲、嘔吐や下痢、体重の減少などを引き起こします。悪化すると神経障害や昏睡を起こし、命を失うことも。
また、糖尿病は合併症を伴うリスクの高い病気で、白内障や肝疾患、皮膚疾患や感染症などを発症することも。免疫の異常や、生活習慣に問題があり、インスリンの量は足りているがうまく機能しないことなどが原因です。
【治療法】
食事や運動療法、インスリンの投与などで血糖値のコントロールを行います。糖尿病のワンちゃんは食事の種類や量、与え方、インスリンの投与方法、運動量などに細かい指示があるため、獣医さんの指示に従いましょう。
【予防】
膵臓疾患を併発することもある病気のため、ミニチュアシュナウザーは特に注意が必要です。急に血糖値を上げないよう食事の与え方を工夫し、肥満を防止しましょう。
血液検査や尿検査を定期的に行うこともおすすめします。また、女の子は避妊手術をすると発症のリスクが減るともいわれています。
予防が困難な遺伝性疾患「フォンビレブランド病」
「フォンビレブランド因子」という止血に関わる因子の異常による病気です。
皮下出血、血尿、消怪我をしたときの過剰な出血など、止血異常が見られます。手術時や抜糸時、出産時などに多量出血で命を落とすこともある遺伝性疾患です。
【治療法】
過剰出血時には輸血を行い代用血液で容体を保ちますが、止血異常を改善する治療法はありません。
【予防】
遺伝性疾患のため発症の予防は困難ですが、あらかじめ遺伝子検査でその要素があるかどうかを知ることは可能です。また、この遺伝子を持つ子犬が生まれないように選択繁殖を行うことが大切といえます。
ミニチュアシュナウザーに多い皮膚病「シュナウザー面皰症候群」
「シュナウザー面皰症候群」とは、分泌された皮脂が毛穴に詰まり、炎症を起こしてニキビのように腫れてしまう皮膚病です。痛みや痒みを伴うものではありませんが、舐められるところや手の届くところにできた場合は、二次感染から痒みを伴います。
ニキビのようなできものは体中どこにでもできる可能性があり、粘膜や腹部にできると症状は悪化しやすく、シュナウザーの飼い主であれば、悩まされることの多い厄介な病気です。
【治療法】
この病気に有効な薬などはわかっておらず、食事療法やシャンプー療法で皮膚の状態を改善することが一般的です。
【予防】
シャンプーの際に、毛穴の汚れをしっかりと洗い流すことが大事です。シャンプーの仕方や使っているものなどは獣医さんに相談してみるといいでしょう。まや、食事管理も指示されることが多いため、そちらもアドバイスをもらいましょう。
垂れ耳なのでかかりやすい「外耳炎」
外から見えている耳の部分を外耳といいますが、この部分に炎症を起こしてしまうのが外耳炎です。痒みや傷みから首をぶるぶると振ったり、耳を引っ掻いたりする様子が見られます。耳の赤みや悪臭、耳垢の増加といった変化に気づくことができるでしょう。原因は細菌や真菌、湿気やアレルギー、異物などが挙げられます。
ミニチュアシュナウザーのような垂れ耳のワンちゃんは湿気がこもりやすいため、特に発症しやすいです。
【治療法】
耳の洗浄や点耳薬を用いるのが一般的で、耳ダニの場合は駆虫薬を使用します。アレルギーによるものであれば、そちらの治療も行います。
【予防】
日頃から定期的に耳掃除を行うことが大切です。ただし、耳掃除やシャンプー方法が間違っていると、それもまた発症の原因となるため、一度獣医さんやトリマーに正しい方法を聞くのもおすすめです。臭いや耳垢の変化に気づいたら、早めに病院を受診しましょう。
まとめ
頑丈な体を持つミニチュアシュナウザーにも、かかりやすい病気はこれだけあります。特に遺伝性疾患や皮膚病などは知っておきたいところです。心臓病など命に関わる病気もありますので、日頃から愛犬の健康チェックと定期健診を行っていきましょう。
下記のページではミニチュアシュナウザーの飼い方について解説しています。
こちらも併せて参考にしてみてください。
ミニチュアシュナウザーの飼い方まとめ!初心者でも飼える?
著者/ブリーダーナビ編集部