おすわりなど、愛犬を守るためのしつけ
「芸は身を助く」という言葉があります。
それはワンちゃんも同様で、しっかりとしつけられているワンちゃんは、飼い主の言葉に忠実に従ってくれます。そのため、何か仕出かす前に踏み止まることができます。
これは、周囲への迷惑を防ぐことだけでなく、道路への飛び出しなど、危険な行為を抑止することにも繋がります。
では、具体的にどんなしつけをしておくとよいのでしょうか?
全てのしつけを行う上でいえることですが、最初は成功したらご褒美におやつをあげるといいでしょう。そうすれば、おやつをモチベーションにワンちゃんもやる気を見せてくれます。
それでは、基本的なしつけを紹介していきます。
おすわり
ワンちゃんをしつける上で、最も基本となるのがこの「おすわり」です。
まずこの基本姿勢をマスターしてから、段階を踏んで新しいことを覚えさせるようにするといいでしょう。
おすわりができるようになれば、食事の前や散歩前のリードを付ける時など、かなりやりやすさが変わります。
- まずおやつを見せます。
- 「サイン」を出しつつその手をワンちゃんの頭上へ持っていきます。
- のけ反るような姿勢となり、倒れないよう自然と「おすわり」の姿勢になります。
- 上手に「おすわり」の姿勢ができたら、ご褒美におやつをあげましょう。
- 1~4を1日数度、何日か繰り返してください。
- 慣れてきたらご褒美なしで行い、できるようになれば「おすわり」は完了です。
ふせ
「ふせ」は、基本となる「おすわり」と比べて難度が高く、わんちゃんにとって服従の意味も持つため、十分な信頼関係を構築してから教える必要があります。
そのため、できるようになると便利なものの、習得には時間がかかるため、ほかのしつけを終えてから教えるといいでしょう。
姿勢的におなかを床にべったり付けることになるので、嫌がる子も珍しくありません。しかし、おすわりより長く同じ場所に留まらせることができるので、動物病院などの外出先で大人しくしてほしい場面で役に立つでしょう。
- 「おすわり」状態のワンちゃんの鼻先におやつを差し出します。
- おやつに集中したら、ゆっくりとおやつを下げていきます。
- そのまま下げていき、ワンちゃんのお腹が床に着いたら褒めておやつを与えます。
- 1~3を繰り返し、「ふせ」の状態に慣れさせます。
- 「ふせ」の体勢に慣れてきたら、今度はサインを覚えさせます。
- 1~3を行い「ふせ」の体勢になった瞬間に「ふせ」といい、サインとリンクさせます。
- 慣れてきたと思ったら、おやつを使わずサインを出します。
- 「ふせ」というだけで「ふせ」の体勢を取ったら、成功のご褒美におやつを与えます。
- 最終的にハンドサインを付けて8を行い、ハンドサインだけで「ふせ」ができるようになったら完了です。
まて
「まて」を習得すれば、ミニチュアピンシャーの行動を飼い主さんがコントロールできるようになるので、外出時に絶大な効果が期待できます。
どれだけしつけの良いワンちゃんでも、予想外の行動というのはなくなりません。そこで、まてができれば、不測の事態であってもすぐに対処することができるでしょう。これにより、周囲の人へかける迷惑やミニチュアピンシャーの身に及ぶ危険を減らすことができます。
「まて」の訓練は単純明快ですが、ワンちゃんの忍耐力によって左右されるところでもあるので、完璧に身に付けるには時間を要するでしょう。
根気強く、焦らず気長に続けてください。
- まずは「おすわり」の姿勢を取らせます。
- 「おすわり」したワンちゃんの顔の前におやつを持っていきます。
- その状態で「まて」のサインを出します。
- 「おすわり」が維持できたら、「よし」のサインを出してご褒美のおやつを与えます。
- 少しでも動くようなら、3に戻ります。
- 1~5を日をまたいで、少しずつ時間を延ばして複数回行います。
また、場所も選ばず「まて」ができるようになれば完璧です。静かな場所でできるようになったら、徐々に人通りの多い場所へ変えていくといいでしょう。
おいで
「おいで」もほかのしつけと基本は一緒です。
しかし、実際に「おいで」といって愛犬を呼ぶでしょうか。一般的に愛犬を呼ぶ場合、名前を呼ぶことがほとんどでしょう。
ワンちゃんをしつける上で、「コマンド」という命令の仕方を統一しておく必要があります。何故なら、ワンちゃんは音で言葉を識別しているので、飼い主が同じ意図で違う言葉を使ってしまうと、それを別のコマンドとして受け取ってしまうからです。
愛犬を呼ぶ言葉は様々ですが、どんな言葉で呼ぶのか、統一してからしつけるようにしましょう。
- ミニチュアピンシャーにリードを付けて、意識が逸れた時や少し離れた時に名前など、事前に決めた指示語で呼びましょう。
- 呼んだら、リードを引いて自分の方にたぐり寄せます。
- 自分の手が届く範囲に来たら、褒めたりご褒美を上げたりして、良いイメージを付けましょう。
- 1~3を繰り返しながら、少しずつ距離を遠くしていきましょう。
- 最終的に、リードもご褒美も、呼んで足元に来るようになれば完了です。
トレーニングするのもいいでしょう。とかく「おいで」は悪いイメージになりがちです。できるだけ良いイメージをつけるように、意識して行うことが大切です。
リーダーウォーク
リーダーウォークとは、ワンちゃんが飼い主から離れず寄り添って歩くことをいいます。
このしつけが見に付けば、散歩の場面はもちろん日常生活でも大いに役立つので、ぜひとも習得させたいところです。
小型で力も強くないミニチュアピンシャーなら、散歩のときに引っ張られていても気にしないという人も多いでしょう。確かに、力で負けることはないでしょうが、それではワンちゃんの我侭を許してしまっていることになります。
「リーダーウォークができる=犬が飼い主のそばを歩ける」ということは、ワンちゃんが飼い主を認めている証でもあります。そのため、このしつけをマスターできれば、それ以外のしつけも覚えやすくなるでしょう。
- なるべく近くを歩かせるために、リードは短く持ちましょう。ただし、ある程度動けるように、少したるむ程度は余裕を持たせてください。
- 歩くときはあくまで横並びに。ワンちゃんが少しでも前に出たら、真逆の方向に歩くくらい大きく向きを変えましょう。
- 2を何度も繰り返すうちに、ワンちゃんは自然と飼い主の行動を意識し始めます。
- 飼い主の行動に合わせるようになって、わずかでも横について歩くことができたら褒めてあげましょう。
- どうしても前を歩くようなら、鼻先におやつなどのご褒美を差し出して、正しい位置で歩けたらご褒美を上げましょう。
例えば、壁やフェンスと飼い主でワンちゃんを挟んでしまえば、横に動けなくなります。
ちょうだい
ちょうだい(はなせ)は、ワンちゃんが口で咥えた物を放してもらうときの指示です。
例えば、咥えたおもちゃを放させる時や食べてはいけない物を口にした時などに、必要なしつけになります。
力任せで無理に奪い取ろうとすると、誤って危険物を飲み込んでしまう可能性があるので、あくまで飼い主の指示に従わせるようにしましょう。
- まずは気軽にトレーニングするため、お気に入り度があまり高くないおもちゃを使っていきましょう。紐やロープがついている大きめの物だとやりやすいかもしれません。
- 1で用意した物を咥えさせます。しっかり咥えたのを確認したら、「ちょうだい」「はなせ」などの用意したコマンドを声に出しましょう。
- おもちゃから口を離したら、慌てずおもちゃを回収しましょう。ただし、絶対におもちゃを引っ張ってはいけません。自発的に放すまで持つだけにとどめてください。
- 3で自分からおもちゃを放したら、思い切り褒めてあげましょう。何かしらご褒美を上げてもいいかもしれません。ご褒美として、トレーニングの延長に遊んであげるのもいいでしょう。
- 1~4を繰り返しながら慣らしていき、ご褒美がなくても自然ということを聞くようになれば完了です。
まとめ
ミニチュアピンシャーは負けん気が強い性格なので、若干しつけが難しいかもしれません。
しかし、人見知りな傾向にあるので、社会化のためにもしつけは重要です。しっかりとした信頼関係を構築し、世間と馴染むために、何よりも愛犬であるミニチュアピンシャーの安全のためにも、今回紹介したしつけは覚えてもらえるように頑張ってくださいね。
ミニチュアピンシャーの性格や飼い方が気になる方は、下記ページも参考にしてみてください。
ミニチュアピンシャーの性格や特徴とは?初心者向け飼い方について
著者/ブリーダーナビ編集部