ミニチュアダックスがなりやすい病気は?症状から予防方法までご紹介

気が付いたら早めの受診を!「進行性網膜萎縮症(PRA)」

ダックスフンド11
photo by volovalere

◆症状
進行性網膜委縮症(PRA)とは、字の通り網膜が委縮してしまい正常に働かなくなる、ダックスフンドに多い遺伝性の病気です。暗い場所を怖がったり音に対して過剰な反応を見せるようになったら、この病気の可能性があります。症状が進行すると日中でも夜間同様に視力低下の症状が見られるようになり、最終的に失明してしまいます。


◆原因
進行性網膜萎縮症は遺伝が原因の病気です。そのため、完治のための治療法が存在せず、治療は対症療法が中心となります。また遺伝性疾患の特徴として、病気の原因となる変異遺伝子は一定の確率で親から子へと伝わるため、無計画な繁殖により拡大していく可能性が高い病気といえるでしょう。


◆治療法
病気の進行を遅らせるために、網膜の血流を改善する点眼薬や内服薬、レーザー治療などを行います。徐々に視力を失っていくという大きな病気ではあるものの、生命に関わる病気ではないため、治療よりも将来的な生活環境を整えてあげることが重要でしょう。事実、盲目になった後も楽しく生活をしているワンちゃんは決して少なくないようです。


◆予防法
遺伝性の病気であるため、治療法同様、現状では決定的な予防法も存在しません。
発症が確認されれば、できるのは進行を遅らせる対症療法やその後の生活環境を整えることくらいです。そのため、予防を試みるよりも、遺伝子検査により発症の可能性を調べて、早めに今後の予定を立てておくことをおすすめします。

自覚症状がないことも「膝蓋骨脱臼」

◆症状
膝蓋骨脱臼は、通称パテラとも呼ばれる骨の不具合です。後肢にある膝蓋骨――いわゆる膝の皿が正常な位置からズレてしまう状態で、小型犬の場合、内側への脱臼(内方脱臼)が多くみられます。膝蓋骨脱臼の症状は、無自覚な状態から歩くことが困難な状態まで症状の幅が広く、グレード1~4まで4段階で分けられています。


◆原因
発症の原因は「外傷性」と「先天性」があり、外傷性の場合、交通事故や高いところからの飛び降り、転倒などの外傷が原因になります。一方、先天性の場合、生まれつき膝関節のまわりの筋肉や靭帯に異常があることが原因であるため、幼い頃から発症していることもあれば、成長により発症する場合もあります。


◆治療法
軽度であれば普段通りの生活を送れるため、特別な治療を必要としない場合がほとんどです。床にマットを敷くなど膝に負担をかけないようにして、上手に病気と付き合っていきましょう。重度になり日常生活に支障が出る場合は、手術により膝蓋骨がはまる太ももの骨の溝を深くしたり靭帯の張り具合を調整したりして、膝関節を調整することもあります。


◆予防法
何よりも膝関節に負担をかけないようにしましょう。肥満になり体重が増えると、その分膝の関節に負担がかかります。また、痩せていても筋肉量が十分でないと骨を守ることができないので、適正体重を保つようにしましょう。環境面では、滑りやすいツルツルとした床は、転びやすく膝に負担がかかるので、床がフローリングの場合はカーペットやマットを敷いてください。

大切なのは毎日の歯磨き「歯周病」

ダックスフンド12
photo by TanteLoe

◆症状
口腔の病気は、歯茎の炎症を「歯周炎」、病状が進行して骨にまで炎症が及ぶようになると「歯周病」となります。歯周病になると、「歯肉の赤み」「口臭」「歯のグラつき」などの症状が現れ、重篤化すると口腔内に穴が開くことも。最悪、歯周病をきっかけに細菌が全身に回り生命に関わる深刻な病気に発展する可能性も否定できません。


◆原因
歯周病の原因は、歯垢と歯石です。歯石は歯の隙間などに付着した細菌が糖分を餌に増殖していき、唾液に含まれるミネラル物質とともに硬くなり石灰化します。この歯垢~歯石ができる流れが繰り返されることで、口腔内の菌が繁殖していき、歯周病を引き起こすのです。


◆治療法
ワンちゃんの歯周病は、一般的に歯周病菌や炎症をおさえる抗生剤などの薬を使って治療していきます。しかし、その前に原因となる歯垢や歯石を取り除かなければ、根本的な治療にはならないので、まずはスケーラーという器具を使って歯石を除去していきます。ワンちゃんは人間と違って大人しくできないので、全身麻酔をしてから施術するのが一般的です。


◆予防法
歯周病の予防に最も効果的なのは、人間と同様歯磨きです。歯垢が石灰化し歯石になってしまうと、家庭での歯磨きでは除去できなくなってしまいます。そのため、まだ歯磨きで対処できる歯垢のうちに可能限り対処できるよう、愛犬には歯磨きの習慣をつけるようにましょう。とはいえ、それだけでは完全な予防とはいえないので、定期的に動物病院を受診して、歯石を取ってもらのがベストです。

他の疾患との見極めが必要「パターン脱毛症」

◆症状
パターン脱毛症とは、脱毛部位の分布が左右対称に生じる脱毛症です。
産まれたばかりの頃には脱毛は見られず、生後半年~1歳頃までに発症し、薄毛から完全な脱毛までその程度は一定していません。短毛種に多く発症し、特にダックスフンドでよく見られます。遺伝性疾患の疑いがあるものの、原因は定かではありません。
主に、「耳・鼻先・首・胸・お腹・内股の尾側・尾」に脱毛部位が現れます。


◆原因
原因は分かっていません。また病状に関しても不明な部分が多く、現状は毛包が縮小化することによって脱毛が生じる、遺伝性の疾患であると考えられています。脱毛以外の症状を伴わない病気なので、健康面や生命には影響なく美感に関わる問題だけなのは救いなのかもしれません。


◆治療法
原因が不明なので、根治的な治療方法は確立されていませんが、発毛を促す治療法としていくつかの有効な方法があります。

一例として、「松果体ホルモン」という、眠気を誘うホルモンの投与で脱毛が改善するという報告があります。ただし、効果には個体差があるので、確実性は期待しない方がよさそうです。この病気と似た脱毛症状でも、健康面に害がある全く違う病気の可能性もあるので、ほかの病気と間違えないよう、確実な診断が重要といえるでしょう。


◆予防法
原因が判明しておらず、遺伝性の疾患と考えられているため、これといった予防法はないのが実情です。

まとめ

日本では高い人気を誇るミニチュアダックスフンドですが、遺伝的な疾患など、いくつかの病気のリスクが高い傾向にあります。

また、胴長短足の体型から、椎間板ヘルニアには気を付けたいところ。成長期に十分な運動をさせ、肥満を防止するとともに筋肉をつけて腰に負担をかけないようにするといいでしょう。

大切な家族である愛犬を守るためにも、健康なうちから病気には備えておくことをおすすめします。

子犬を探す