マルチーズがかかりやすい病気は?目や皮膚、心臓の病気に注意?

マルチーズがかかりやすい病気は?目や皮膚、心臓の病気に注意?
photo by Lennart Tange

健康を守るためには、病気への対策が欠かせません。
愛犬の健康を守りいつまでも元気でいてもららうには、かかりやすい病気を把握して予防や早期発見に努める必要があるでしょう。

本記事では、小型犬であるマルチーズは、どんな病気になりやすくどんな点に注意して生活を送れば良いのか解説していきます。

マルチーズはどんな病気に注意が必要?寿命は長い?

小型犬は、他の大きさの犬種と比べて寿命が長い傾向があるものの、マルチーズの平均寿命は比較的短めな13歳です。しかし、なかには平均寿命以上に長生きする子もいます。

食事や運動などの生活環境を整えることで、可愛い愛犬を1日でも長生きしてもらえるよう努めてください。

愛犬のマルチーズを長生きしてもらう方法を知りたいという方は、下記リンク先のページをご覧ください。平均寿命やギネス最高齢など、寿命に関する情報を掲載しています。
マルチーズの平均寿命は?ギネスの最高齢や長生きの秘訣も マルチーズの平均寿命は?ギネスの最高齢や長生きの秘訣も

マルチーズがかかりやすい病気

  • 涙やけ
  • アトピー性皮膚炎
  • 外耳炎
  • 低血糖症
  • 膝蓋骨脱臼
  • 肛門嚢(腺)炎
  • 僧帽弁閉鎖不全症(MR)

こちらが、マルチーズが患うことが多いといわれている病気です。
では、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。各病気の原因や症状、治療法、予防法を紹介していきます。

マルチーズが注意したい目の病気「涙やけ」

涙やけは、本来涙を排出する鼻涙管が閉塞してしまう(鼻涙管閉塞)ことで溢れてしまい、目の周りの皮膚や被毛を変色させてしまう病気です。

涙やけの原因と症状

涙やけは鼻涙管の閉塞により起こりますが、先天的な涙点の欠損や後天的な炎症や外傷が原因で閉塞してしまいます。マルチーズの場合、遺伝的に鼻涙管が閉塞しやすい傾向があるので、先天的な原因がほとんどです。

涙やけは痛みなどの病的な症状を起こすことはなく、見た目が悪くなることが問題でしょう。ただし、流れ続ける涙を放置すると目の下に細菌感染を起こし、皮膚炎の原因になってしまうので、お手入れは欠かさないでください。

涙やけの治療

涙管を開通させるために細い管を通して涙管を洗浄しますが、それでも治らない場合は、全身麻酔をかけて処置を行うことになります。炎症や外傷など何らかのケガや病気が原因の場合は、そちらの治療が中心です。

涙やけの予防

マルチーズに多い。先天的な涙管閉塞を完全に予防することは難しいでしょう。
ケガや病気で鼻涙管が塞がる場合は、普段から愛犬とのスキンシップを心がけてください。
早期発見、早期治療ができれば症状やワンちゃんへの負担も軽く済みます。

マルチーズが注意したい皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」

アトピー性皮膚炎とはアレルギー性皮膚炎の一種で、アレルギーの原因物質であるアレルゲンに免疫が過剰反応することで起こる皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎の原因と症状

アトピー性皮膚炎の原因はハウスダストや花粉、カビなどの空気中のアレルゲンです。これが直接皮膚と接触することで、皮膚に炎症が起こります。アレルギーは遺伝的な要因で、生後6ヶ月~3歳頃の発症が多いようです。

炎症により痒みが出るので、ワンちゃんがしきりに体を舐めたり噛んだりするようなら、この病気の疑いがあります。特に、耳や脇、股、足先、口や目の周りなどに痒みが生じやすく進行すると脱毛や小さな発疹が現れ、掻き壊した傷口から細菌が感染して症状が悪化することもあります。

アトピー性皮膚炎の治療

治療の基本は塗り薬の塗布や飲み薬の投与です。そのうえで、掃除をしたり環境を整えたりすることでアレルゲンから可能な限り遠ざけるようにしましょう。
このほか、シャンプー療法や減感作療法といった治療法もあります。

アトピー性皮膚炎の予防

アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギー体質にあるので、完全な予防は難しいでしょう。
発症した場合は、極力アレルゲンから遠ざけることが何よりの予防といえます。

マルチーズが注意したい耳の病気「外耳炎」

外耳という、いわゆる耳の穴の皮膚に炎症が起こる病気です。マルチーズに限らず、犬種問わず多く見られる病気で、慢性化しないよう早期治療を行うことが重要になってきます。

外耳炎の原因と症状

外耳に湿気が溜まったり、異物や細菌、真菌、耳ダニなどの寄生虫、アレルギーなどが主な原因と考えられます。

炎症により外耳に痒みや痛みが起こるので、しきりに首を振ったり傾けたり、後肢で耳を引っかくような仕草を見せることも。その他、耳の赤みや腫脹、耳道の悪臭、耳垢の増加が生じることもあります。

外耳炎の治療

原因によって治療法は異なりますが、汚れがひどい場合、まずは耳道の清浄を行います。
洗浄後、点耳薬で治療を行うほか、耳ダニが原因の場合は駆虫薬を使用し、アレルギーなどの基礎疾患がある場合はそちらも治療します。

外耳炎の予防

外耳炎の基本的な予防法は、何よりも耳を清潔にすることです。
ただし、間違ったお手入れでは逆にリスクを高めることになるため、正しい方法でお手入れしてください。

日頃から耳の状態をチェックして、耳垢の量や色、耳の臭いに変化がないか。もしも異常が確認できたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
外耳炎は再発しやすい病気なので、注意してください。

マルチーズが注意したい血液・免疫機構の病気「低血糖症」

低血糖症は、血糖値が低下することでさまざまな症状を引き起こす病気です。
生後3ヶ月頃までに発症することが多い一方で、成犬も他の病気の二次的な症状として現れることもあります。

低血糖症の原因と症状

血糖値が低下することで、ふらつき、ぐったりする、元気・食欲消失、全身性の痙攣発作、昏睡などの症状が現れます。

子犬の低血糖症の原因は、生後3ヶ月ぐらいまでに起こることが多く、その原因として、寄生虫やウイルス性の腸疾患、先天的な肝疾患などがあります。

また、成犬と違い子犬は体内に十分な糖分を蓄えることができないので、食事を長時間取れないと血糖値の維持ができずに発症することも。

一方成犬の場合、膵臓の腫瘍や副腎皮質機能低下症などの病気から発症する場合がほとんどで、出産前後のストレスや大量授乳によって母犬が発症するケースもあるようです。また、糖尿病治療時のインスリンの過剰投与やキシリトールの誤食による中毒症状としても起こります。

低血糖症の治療

低血糖症の治療には、ブドウ糖の投与が行われます。意識がある場合は口から摂取させ、意識がない場合などは静脈内注射を行います。場合によっては、ステロイド剤注射で血糖値を上げることもあります。

食事ができるようになったら、再発防止のため、炭水化物中心の食事やブドウ糖を何回かに分けて与えます。原因となる疾患がある場合、合わせてそちらの治療も行っていきます。

低血糖症の予防

子犬は食事の間を開けすぎるとリスクが高くなるので、1回の量を抑えて1日の食事回数を増やすと良いでしょう。

もしも軽い症状が見られるようなら、砂糖水などを舐めさせれば回復が見込めます。それで対応できないようなら、急いで動物病院に連れて行ってください。

成犬は他の病気が低血糖症の引き金になることが多いので、定期健診で早期発見を心がけましょう。

マルチーズが注意したい骨の病気「膝蓋骨脱臼」

膝蓋骨脱臼とは、いわゆる『膝の皿』がズレてしまった状態をいいます。
症状によって4段階に分けられており、重度になると歩行が困難になってしまいます。

膝蓋骨脱臼の原因と症状

先天的に膝に異常がある場合と、外傷や栄養障害といった後天的な原因があります。
症状の重さは4段階のグレードによって分けられており、軽度なグレード1ではほとんど症状がありませんが、重度なグレード4になると骨が変形して地面に足を着けなくなります。

膝蓋骨脱臼の治療

症状を緩和するため鎮痛剤やレーザーを用いますが、根本的に治療するためには症状やグレードに合わせた外科手術が必要となります。
手術には相応のリスクがあるので、かかりつけの獣医師と相談したうえで判断してください。

膝蓋骨脱臼の予防

肥満は膝蓋骨脱臼のリスクを高めるので、予防のためには体重管理が欠かせません。

また、フローリングのような滑りやすい床は、歩くときに踏ん張ることで膝に負担がかかるので、カーペットやマットを敷くと良いでしょう。足裏の毛が伸びていると滑りやすくなるので、定期的なカットが必要です。

また、小型犬であるマルチーズにとっては、ソファの高さも大きな段差になるので、高低差も可能な限りなくすとよいでしょう。

マルチーズが注意したい肛門の病気「肛門嚢(腺)炎」

肛門の左右にある『肛門嚢(腺)』という器官が、何らかの原因で炎症を起こしてしまう病気を『肛門嚢(腺)炎」といいます。
ワンちゃん特有の病気なので、覚えておきましょう。

肛門嚢(腺)炎の原因と症状

肛門嚢は、排便時に分泌液を出す器官ですが、何らかの原因で閉塞してしまったり分泌液を排出する力が弱いと溜まり過ぎてしまい、細菌の感染から炎症を起こしてしまいます。
進行すると肛門嚢が化膿してしまい、皮膚が破れて出血してしまうこともあります。

肛門嚢(腺)炎の治療

肛門腺絞りというお手入れを行い、肛門嚢に溜まっている貯留物を排出させます。炎症が酷い場合や化膿している場合は、薬を使いますが、皮膚が破けているようなら外科的な縫合が必要です。
再発が続くようなら、手術で肛門嚢を摘出することもあります。

肛門嚢(腺)炎の予防

予防のために、定期的な肛門腺絞りをしましょう。多少飛び散っても問題ないように、シャンプーのついでに浴室で行うのがおすすめです。

難しいようなら、トリミングサロンや動物病院でお願いするとともに、絞り方を教えてもらいましょう。

マルチーズが注意したい心臓の病気「僧帽弁閉鎖不全症(MR)」

小型犬が高齢になると発症しやすい心臓の病気で、僧帽弁という血液を送り出すための弁に閉鎖不全が生じる病気です。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)の原因と症状

心臓内で血液が逆流することで、さまざまな症状が起こります。初期段階では症状はなく、健康診断などで心雑音が確認されることで発覚することが多いでしょう。

進行すると、喘息のような呼吸をするようになり、激しい運動や興奮をすると倒れるようになります。
重篤化すると肺に水が溜まる肺水腫や呼吸困難などの症状を起こし、最悪死に至ります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)の治療

血管拡張薬や利尿剤を使用することで、心臓への負担を減らすことが基本的な治療になります。症状や重症度によって、強心薬や気管支拡張薬、抗生物質の投与、酸素吸入なども行ないます。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)の予防

予防や完治が難しい病気なので、定期健診などで早期発見ができれば病気の進行や症状の発現を遅らせることができます。

ご家庭では、心臓への負担が大きくなる肥満を抑え、塩分の高い食事を避けるようにしましょう。

まとめ

小型犬は、中型犬や大型犬と比べて寿命が長い傾向にあります。その反面、骨や関節が弱く、気を付けなければならない病気も少なくありません。そのため、健康を維持しつつ長生きしてもらうためには、病気への対策が欠かせないのです。

愛犬にいつまでも元気でいてもらうためにも、本記事の内容を参考に病気の予防、早期発見を心掛け、愛犬の健康を守ってあげてくださいね。

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