1.ラブラドールレトリーバーの里親募集について
まずは知ってほしい、ラブラドールレトリーバーが手放される理由
ラブラドールレトリーバーと聞いて想像するのは盲導犬やセラピー犬など、人と共に働くワンちゃんではないでしょうか。賢く飼いやすい犬種というイメージから1990年代に人気が高まっていきました。
一般社団法人ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数によると、1999年時点では27,343頭、143犬種中4位の実績です。
しかし、その後小型犬人気が高まったことで、2004年には15,895頭(9位)と2万頭を切ります。2018年のデータでは4,146頭(15位)まで減りました。
年々飼育頭数は減ってはいますが、人気犬種であることに変わりはないと同時に、ラブラドールレトリーバーの保護犬が増えていることにも目を向けていただきたいです。
その背景には冒頭に挙げたイメージとのギャップがひとつあります。
ラブラドールレトリーバーは飼い主に従順な犬種ではありますが、どんな子もはじめから盲導犬のような振る舞いができる訳ではありません。
こうしたイメージとのギャップに加え、運動面や食事面、しつけの面でのサポートに手が届かなくなり、手放してしまう飼い主が多いのも現実です。
飼育放棄は許されない、ワンちゃんは命をつなぐ温かい手を待っている
毎年、環境省から”犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況”というものが数値で発表されています。2018年12月28日に更新された平成29年度のデータ(犬のみを参照)では、引取り数が38,511頭、そのうち飼い主から手放されたのは4,115頭、所有者不明が34,396頭となります。
数値だけ見れば少ないようにも感じますが、この1年だけを見ても4,115頭ものワンちゃんが飼い主から飼育放棄されているのです。また、所有者不明となっているだけで、もっと多くのワンちゃんが飼育放棄により保健所に収容されたのかもしれません。
子犬の頃は好奇心旺盛でやんちゃなラブラドールレトリーバー。成長するにつれて落ち着きが出てきますが、しつけを間違えれば手に負えない子に育ってしまうこともあります。
加えて体も動きも大きくなり、どうしようもなくなった末に手放してしまう飼い主は現状ゼロではありません。
ラブラドールレトリーバーは体こそ大きいですが、いつまでも経っても飼い主にとっては大切な子どものような存在、かけがえのない家族であるはずです。
飼育放棄は決して許されません。今この瞬間も、多くのワンちゃんが温かい手を差し伸べてくれる人を必要としています。また、小さな命を助けたい!そう思った方々に考えていただきたいのが、保護されたワンちゃんの架け橋となる「里親」という選択肢です。
2.ラブラドールレトリーバーを迎える前にする準備や心構え
保護されたラブラドールレトリーバーのことをリサーチしよう
ラブラドールレトリーバーの里親となる前に、まずはそのラブラドールレトリーバーがどういう子であったかしっかりと理解する必要があるでしょう。どんな家庭にいたのか、どういった性格なのか、少しでも理解があれば、お互い打ち解けやすくなります。
どの犬種にも言えることですが、飼育放棄されたラブラドールレトリーバーは、本来の性質を失っていることが多いです。
絶対的な存在である飼い主に捨てられ、とてつもない傷を心に負ってしまったことが原因です。また、それまでの飼育環境が劣悪だった場合、凶暴性を持っていることもあります。
ワンちゃんの詳しい情報を知るには、里親とワンちゃんとをつないでくれる保護団体の方やブリーダーなどの仲介役にヒアリングするといいでしょう。
保護されたときの状況や、今の心や体の状態、好きなものや嫌いなものなど、家族に迎え入れる上で必要なことを詳細に教えてもらいましょう。
里親を募集しているサイトなども多く開設されています。写真とともに「人懐っこい子です」「飼い主に虐待されて保護されましたが、今では保護犬の仲間とも楽しく遊んでいます」など、コメントが記載されているところも多いです。
こうしたことも踏まえて、その子の現状や過去をリサーチすることからはじめましょう。
リサーチしていく中で、本当にいろいろなラブラドールレトリーバーが保護されていることにも気が付くことができます。
ワンちゃんを迎えるために必要なグッズや、生活環境の準備を進めよう
ラブラドールレトリーバーの里親になるためには、大型犬が飼育できる広い環境があることが大前提です。広さにもよりますが、マンションやアパートでは難しい場合もありますので、住環境を考えましょう。必要なものはこちらです。
・ケージ
・ハーネス、リード
・トイレシート
・フード、ボウル
・給水器
・ブラシなどのお手入れグッズ
ワンちゃんが生活するために必要な、基本的なものは用意しておきましょう。
なお、ケージにずっと閉じ込められ虐待されていたというラブラドールレトリーバーもまれにいるため、その場合は無理にケージに入れたりしないようにします。
ワンちゃんが怖がること、嫌がること、苦手なことなども事前のリサーチで知れるといいですね。
先住犬がいる場合は配慮が必要
また、里親としてワンちゃんを迎える場合、すでに先住犬がいるご家庭は特に注意が必要です。見知らぬワンちゃん同士をいきなり引き合わせるにはリスクがあります。
縄張り意識の強い動物ですから、先住犬も突然ワンちゃんが増えたことに戸惑いを覚えるでしょう。いきなり「仲良くしてね」と言われても難しい話です。
はじめは生活空間を分けるなどしてラブラドールレトリーバーと先住犬との相性を見ながら、徐々に慣らしていきましょう。
仲介役となる団体によっては、譲渡前にお試し期間を設けるケースもあります。この家庭環境でやっていけるか、先住犬との相性はどうかなど、心配なことがあればサポートしてくれる方に事前に相談してみるのもおすすめです。
里親になるためには?飼い主の心構え
保護されたラブラドールレトリーバーは、心や体に何かしらの傷を負っている子が少なくありません。もちろん、保護団体やボランディア、ブリーダーのサポートもあって、明るさや元気を取り戻している子もたくさんいます。
しかし飼い主から捨てられてしまった子は、心の奥底に人間への不信感を拭い去れずにいるでしょう。新しい家族のことを信頼するまでに時間がかかったり、家族のちょっとした行動にびっくりしたり、怖い記憶がよみがえったりすることもあります。
思いがけず、攻撃的になることもあるかもしれません。
そのほかにも…
・ワンちゃんを養っていくための金銭的な余裕はあるか
・病気になっても献身的なサポートが行えるか
・家族や近隣住民の理解を得られているか
・十分な運動や食事をさせ、一緒にいられる時間を多く確保できるか
「かわいい」「飼いたい」だけではラブラドールレトリーバーの命は預かれません。
ほかのワンちゃんよりも繊細で、より多くの気遣い、愛情、根気が必要であることを十分に理解しておきましょう。また、飼育放棄を二度と経験させない、生涯を添い遂げることが絶対条件です。里親には命を預かることへの責任感が求められます。
3.里親になる方法は?
全国から里親募集の呼びかけがある!
photo by ^ Missi ^
平成29年度の殺処分数は引取り数38,511頭中8,362頭です。その内1,665頭はまだまだ幼い幼齢期のワンちゃんでした。毎年失われていく多くの命を救うために、保護団体や施設、里親募集サイトは数多く開設されています。
そのいくつかをご紹介しましょう。
HappyLabs(ハッピーラブズ)
https://happylabs.info/
ラブラドールやゴールデンなどのレトリーバー種の保護活動を行っている非営利の団体です。レトリーバー種のしつけや性格、病気についてなど、その犬種に精通している方々が運営しているため、ラブラドールレトリーバーの飼い方やしつけの相談なども行いやすいところが魅力です。また、保護されたラブラドールレトリーバーの状態も詳しく教えてくれるでしょう。
ペットの命
https://satooya.wancat.info/
新しい家庭を探しているワンちゃんや猫ちゃんの里親を募集しているサイトです。幼齢犬から成犬まで、幅広い年齢、犬種のワンちゃんが紹介されています。
性格、推定年齢、名前、しつけ情報、ワクチンや病気の情報など、詳しくデータを公開しているため、事前のリサーチも行いやすいです。全国各地から新たな家族を探すワンちゃんが登録されていますよ。
ペットのおうち
https://www.pet-home.jp/dogs/osaka/pn255672/
ペットのおうちでは、全国各地でSOSサインを出しているペットの里親を探しています。ワンちゃんや猫ちゃんだけでなく、鳥や小動物、爬虫類や魚など、幅広い命を大切にしているサイトです。
ラブラドールレトリーバーに絞って検索も可能なため、気になる子を見つけられるかもしれません。そのワンちゃんの保護に至るまでの経緯なども分かる範囲で記載されていますよ。
ブリーダーからの購入も検討してみよう!
命を救いたいという気持ちはワンちゃんにとっても保護している方にとっても嬉しいことです。しかし、里親になるには相当な覚悟や環境の準備、知識や経験が必要だったりします。そのため、初めて犬を飼うという方は、保護されたワンちゃんを前にして戸惑うことも多いかもしれません。
ワンちゃんの抱える傷を背負いきれなかったら、もしも再び手放すようなことになってしまったら…そんな不安も懸念されます。
はじめはブリーダーから子犬を購入し、子犬と共に飼い主としての知識や経験を磨いていく。そんなスタートもありではないでしょうか。
いずれは保護されたワンちゃんの命を救いたい!その気持ちを持つこと、そして実現するために強い気持ちを育むこともとても大切です。
少しでも迷いのある方は、まずはブリーダーからワンちゃんを迎えるということも検討してみてくださいね。
まとめ
本来、里親とはその子がたとえどんな問題を抱えていようと、無償で愛情をかけて育てられる人のことを言います。「好きな犬種が無料で手に入るサービス」ではありません。
ワンちゃん達は、どんな境遇であっても受け止め、愛情を捧げてくれる人を求めています。
ラブラドールレトリーバーの”子犬を迎えたい”といったように、犬種や年齢を指定するのであれば、はじめからブリーダーのもとで購入する方が飼い主にとっても、ワンちゃんにとっても望ましいでしょう。
下部のボタンからはラブラドールレトリーバーの子犬とそのブリーダーをご紹介していますので、こちらもぜひご覧くださいね。
また、下記ページではラブラドールレトリーバーの飼い方について解説しています。こちらも参考になれば幸いです。
ラブラドールレトリーバーの飼い方は?準備・しつけ・子犬の育て方
著者/ブリーダーナビ編集部