ワンちゃんも動物なので、病気を患うことがあるでしょう。愛犬にいつまでも健康で長生きしてもらうには、病気への対策が欠かせません。
ここではゴールデンレトリーバーがかかりやすい病気の原因と症状、治療方法から予防方法まで解説します。
目次
ゴールデンレトリーバーのかかりやすい病気
- 股関節形成不全
- 胃捻転
- 外耳炎
- アトピー性皮膚炎
- 甲状腺機能低下症
- 悪性腫瘍(ガン)
ゴールデンレトリーバーの平均寿命は?
ゴールデンレトリーバーの平均寿命は11歳。大型犬全体の平均寿命は11.1歳なので、平均よりも僅かに寿命が短い犬種です。
下記リンク先のページでは、ゴールデンレトリーバーの寿命やギネス記録の長寿犬について詳しく解説しています。
ゴールデンレトリーバーの寿命は?ギネス記録や長生きの秘訣
足の病気「股関節形成不全」
股関節形成不全とは、成長過程で股関節が形態的な異常を起こし、歩行を難しくしてしまう病気です。一般的に両側の股関節に発症することが多く、大型犬や超大型犬の発症リスクが高いといわれています。
股関節形成不全の原因と症状
遺伝的な問題や成長期の偏った栄養、過度な運動が原因と考えられています。
大腿骨の先端が変形していたり、それがはまる骨盤のくぼみが浅かったりすることで、関節のかみ合わせが悪くなり、後ろ足をあまり使わなくなります。
以下のような行動をするようなら、股関節形成不全を疑ってください。
- 横座りをする
- 立ち上がるのに時間がかかる
- 腰を振って歩く(モンローウォーク)
- 足をつっぱるように歩く
- 段差の移動や運動を嫌がる
- 後ろ足の左右の間隔がせまい
- ウサギ跳びをするように走る
股関節形成不全の治療法
大きく分けて、内科的治療と外科的治療に分かれます。
症状の改善がみられない場合などは、外科治療を行います。
股関節形成不全の予防
生後4~12ヶ月頃に症状が確認されることが多いものの、 2~3歳になってから症状が現れる場合もあります。
肥満になると症状が進行するため、予防のためには体重管理が大切です。
また、床がフローリングだったり足の裏の毛が伸びたりしていると、滑らないように足を踏ん張るため、股関節に負荷がかかります。床にカーペットを敷く、足裏の毛を定期的にカットするなどの対処をしましょう。
消化器の病気「胃捻転」
胃が拡張することで捻じれてしまい、胃や周囲の血流が遮断される病気です。急激なショック状態に陥る緊急性の高い病気で、発生後数時間で死に至ることもあります。
再発することもあり、特に大型や超大型の胸が深い犬種に多く発生する病気です。
胃捻転の原因と症状
胃内に液体やガスの増加、食後の過度の運動により、胃が拡張して胃捻転が起こります。
胸から腹部が大きく膨らみ、ぐったりとして多量のよだれを流すようなら、この病気を疑いましょう。
呼吸困難、粘膜が白く退色する、脈圧が低下する、などのショック症状を起こした後、数時間で死亡する可能性もあります。
胃捻転の治療法
胃にチューブを挿入したり太めの注射針を胃内に刺したりすることで、内部のガスを抜き減圧処置を行います。同時に、ステロイド薬の投与や点滴、酸素吸入などのショック状態を緩和する救急治療も行っていきます。
落ち着いたら、胃を元の位置に戻し腹壁(お腹側の膜)に縫合糸で固定する開腹手術を行うこともあります。
胃捻転の予防
良くあるのが、多量のドライフードを食べた後に水を飲むことによる胃拡張です。
予防のために、1回の食事量を多くせず、食後すぐの運動は控えましょう。食事の量を変えず、回数を増やすことも予防につながります。
暑い時期は胃内の発酵が早いため、ガスの発生が起きやすいということも覚えておきましょう。
耳の病気「外耳炎」
耳道の構造から犬種問わず多く見られ、外耳の皮膚に炎症が起こる病気です。特に通気性が悪い垂れ耳の犬種は注意が必要で、治療が遅れると慢性化する場合があります。
外耳炎の原因と症状
外耳炎の原因として考えられるのは、湿気や異物、細菌、真菌、耳ダニなどの寄生虫、アレルギーです。
特に、ゴールデンレトリーバーのような垂れ耳の犬種は、耳道の通気性が悪く、湿気がこもりやすい傾向にあります。
首を振ったり傾けたり、後ろ足で耳を引っかく仕草を頻繁に見かけるようなら、この病気の疑ってください。耳の赤みや腫脹、悪臭、耳垢の増加などの症状も見られます。
外耳炎の治療法
汚れがひどい場合、一般的に耳道内を清浄後、点耳薬などで治療を行います。
耳ダニが原因の場合は、駆虫薬を使用して虫を取り除き、アレルギーなどの基礎疾患がある場合はアレルギー物質を遠ざけるなどで対処します。
外耳炎の予防
外耳炎を予防する基本は、耳を清潔に保つことです。
しかし、間違ったやり方をすると予防するどころか原因を作ってしまう恐れがあるので、正しく小まめなお手入れを実践しましょう。
耳垢や耳の臭いをチェックして、いつもと違うようなら早めにかかりつけの動物病院に連れて行ってください。
皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」
アレルゲンの影響で免疫機構が過剰に反応し、皮膚に炎症が起こるアレルギー性皮膚炎の一種です。
アトピー性皮膚炎の原因と症状
ハウスダストや花粉、カビといったアレルゲンに触れることで発症する皮膚炎です。アレルギーの有無は遺伝的な要因が絡み、生後6ヶ月~3歳くらいでの発症が多く見られます。
耳、脇、股、足先、口や目の周りなどに痒みが出て、患部を舐めたり噛んだりと、しきりに気にするようになります。
症状が進行すると皮膚に赤みが出るほか、脱毛や小さな発疹が表れることも珍しくありません。放置すると傷口から細菌に感染し、症状が悪化することもあります。
アトピー性皮膚炎の治療法
治療は、痒みを抑えることが基本になります。
検査で原因となるアレルゲンを把握したうえで極力遠ざけ、塗り薬の塗布、薬やサプリメントの投与、シャンプー療法を単独、または併用して行います。
このほか、減感作療法というアレルゲンに慣れさせる治療方法もありますが、費用が高く治療期間も長いので、獣医師と相談して決めましょう。
アトピー性皮膚炎の予防
生まれついての体質に関係するので、予防するのが難しい病気です。
一度発症すると、生涯付き合っていくことになるので、万が一に備えてかかりつけの動物病院をあらかじめ見付けておきましょう。
内分泌の病気「甲状腺機能低下症」
人間でいう喉ぼとけ下にある甲状腺の機能が低下して、ホルモンが十分に分泌されなくなる病気です。高齢になるとリスクが高くなります。
甲状腺機能低下症の原因と症状
原因は、免疫介在性または遺伝性による甲状腺の機能不全のほか、他の病気の影響が考えられます。甲状腺ホルモンは体の代謝に関係するホルモンで、不足すると体の機能が鈍くなり、以下のような症状が表れます。
- 肥満
- 脱毛
- 低体温
- 皮膚の色素沈着
- 徐脈
- 神経症状
- 元気ない
- 動きが鈍い
- 嗜眠
- ぼんやりする
甲状腺機能低下症の治療法
甲状腺ホルモン薬の投与により、不足しているホルモンを補充することが主な治療となりますが、基本的に生涯投与し続ける必要があります。
ほかの病気の影響で甲状腺ホルモン濃度が低下していることもあるので、その場合は、原因となっている病気を治すことで回復が見込めます。
甲状腺機能低下症の予防
残念ながら今のところ、この病気を予防する方法は確立されていません。
甲状腺機能低下症は、初期症状で判別することが難しいため、気が付かないうちに病状が進行していることがあるので、定期的な検査などで早期発見早期治療を行うことが何よりも大切です。
血液の腫瘍(ガン)「悪性リンパ腫」
白血球の1つであるリンパ球が癌化する、血液の病気です。体のリンパ節が腫れる「多中心型リンパ腫」が、全体の 80 %以上を占めるといわれています。
高齢のワンちゃんに発症が多い病気です。
悪性リンパ腫の原因と症状
明確な原因は分かっていません。特定の犬種に多く見られることから、遺伝的な要因が考えられています。
症状として、顎や脇の下、内股、膝の裏側など、体表リンパ節の腫れが一般的です。
その他、下痢や嘔吐など消化器症状、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、湿疹や脱毛などの症状がみられることも。
また、重度になると免疫不全や食欲不振、削痩(さくそう)などの症状を引き起こします。
悪性リンパ腫の治療法
抗がん剤の投与が一般的で、確実な延命が期待できます。
しかし、抗がん剤にはさまざまな副作用があり、治療費は高額になる場合もあるので、抗がん剤の治療を行うかどうか、行う場合どの抗がん剤を選ぶのかは、獣医師と相談したうえで慎重に判断してください。
悪性リンパ腫の予防
原因が分かっていないため決定的な予防方法はありません。極力ストレスを与えないようにすることが効果的といえるでしょう。
日頃から症状が表れやすい箇所をチェックしたり定期的な検査を受けることで、早期発見を心がけ、病状が進行する前に治療を受けることが重要になってきます。
まとめ
動物が生きていくうえで、病気のリスクは無視できません。どれだけ念入りに予防したとしても病気をゼロにすることは難しいので、上手に付き合って行く必要があります。
この記事を参考に、ゴールデンレトリーバーがどんな病気になりやすいのか、どんなことを心がければよいのか理解して、愛犬の健康を守ってあげてくださいね。
下記のページではゴールデンレトリーバーの飼い方について解説しています。こちらも参考になれば幸いです。
著者/ブリーダーナビ編集部