チワワはどんな病気になりやすい?症状や原因、予防法は?

特に子犬期に注意が必要な病気

獣医

チワワをはじめとした小型犬は、一度に食べられる量が少なく、特に子犬期は内臓の機能が未発達なので糖を貯蔵しておく能力が備わっていません。
そのため、栄養素の摂取不足と貯蔵不足により、低血糖になりやすいのです。

低血糖症

<症状>
名前の通り、血糖値が低くなる病気で、ふらつき、ぐったりする、元気・食欲消失、全身性の痙攣発作、昏睡などの症状が現れます。

<原因>
子犬の場合、生後3ヶ月まで発症することが多く、長時間食事をとれないことや、寒さのストレス、寄生虫やウイルス性の腸疾患、先天的な肝疾患などが原因になります。

子犬は体内に血糖をためておく機能が未発達なので、食事からの糖分吸収に頼っています。そのため、成犬に比べ血糖値の維持が難しく、低血糖症が発症します。

一方、成犬の低血糖症は、膵臓の腫瘍や副腎皮質機能低下症などの病気や、分娩前後のストレスや大量授乳によって発症します。
また、糖尿病の治療におけるインスリンの過剰投与により、低血糖症が起こることもあります。

<治療>
ブドウ糖の経口投与が基本ですが、口からの投与が難しい場合は、ブドウ糖を静脈内注射するほか、ステロイド剤の注射で血糖値を上げる場合もあります。

自力で食事が取れるようになったら、炭水化物の食事やブドウ糖を数回に分けて与えていきます。また、病気が原因の場合は、病気の治療を並行して行います。

ご自宅で軽い症状が確認できたら、砂糖水を舐めさせると回復することがあります。痙攣や昏睡を起こしたり、砂糖水を与えるのが困難だったりするようなら、すぐに動物病院で処置をしてもらいましよう。

<予防法>
子犬の場合、1度に与えるフードの量を減らして、1日の食事回数を増やします。
成犬の場合は病気が原因のことが多いため、定期的な健診で健康状態を把握するようにしましょう。

チワワの震え、水頭症の疑いがあります

完治しづらく命の危険もある水頭症は、チワワがなりやすい遺伝子疾患の1つで、他の犬種の約1.7倍という高い確率で発症します。
では、水頭症とはどんな病気で、何に気を付ければいいのでしょうか。

水頭症

<症状>
脳室を満たす脳脊髄液が過剰にたまり、脳が圧迫を受けて様々な症状が出る病気です。
障害を受けた部位や程度、期間により、以下のような症状が現れます。

・元気がなくなって疲れやすくなる
・痙攣発作
・嗜眠(睡眠を続け、強い刺激を与えなければ目覚めて反応しない状態)
・意識障害
・不全麻痺
・斜視
・神経障害
・運動障害
・視力障害

<原因>
原因は先天性のものと後天性のもの2通り。割合として多いのは先天性のもので、犬種(特に小型犬)による遺伝的なものが主になります。一方後天性のものは、脳の損傷や脳内出血、脳炎、脳腫瘍などにより発症します。

<治療>
●内科的治療
脳圧を下げるために利尿薬やステロイド薬を投与し、痙攣発作が起こるようなら発作を抑える薬を使用します。
症状が重篤で、内科的治療では症状の改善がみられない場合は、外科治療を行うことがあります。

●外科的治療
ワンちゃんの症状や状態などによって、時期や方法が異なります。
「針で直接脳脊髄液を抜く」「脳脊髄液を排出するために弁の付いた管を設置する」といった処置を施します。

<予防法>
先天的な原因の場合、予防方法はありません。早期発見・早期治療が重要なので、上述した症状が確認できたら早めに動物病院にご通院ください。

水頭症のより詳しい情報は、下記ページでも解説しているので、もしもの時のために一度ご確認ください。
犬の水頭症はどんな病気?特にチワワがかかりやすいって本当? 犬の水頭症はどんな病気?特にチワワがかかりやすいって本当?

シニア犬はリスクが高い心臓病

チワワなどの小型犬は、心臓など循環器系の病気になりやすい傾向にあります。その中でも、ワンちゃんが最も発症しやすい心臓病が【僧帽弁閉鎖不全症】です。
僧帽弁閉鎖不全症とは、どんな病気で、どんな予防・治療方法があるのでしょうか。

僧帽弁閉鎖不全症

<症状>
初期段階では、激しい運動をしたときに軽く咳が出る程度で、ほとんど症状はありません。
診察の際心臓の音にわずかに雑音が混じるので、それで判断ができます。
病気が進行すると、咳の回数が増え、疲れやすくなって散歩を嫌がります。
さらに重症になると、【肺水腫】や【呼吸困難【チアノーゼ】の症状が現れ、最悪命を落とすこともある危険な病気です。

<原因>
心臓にある僧帽弁という弁が、なんらかの原因で変性し、しっかり閉じなくなることで発症する病気です。
僧帽弁が変性する原因は分かっておらず、小型犬の場合は遺伝的な要因が疑われるほか、加齢により弁の噛み合わせが悪くなることでも発症します。

<治療>
症状や進行度合いによって治療法は異なりますが、基本的に心臓の負担を減らすための血管拡張薬や利尿剤による投薬治療と食事療法との併用で、心臓への負担を抑えます。

また、心臓の収縮力を高めるための強心薬や、咳の症状に対して気管支拡張薬の投与による治療、症状によっては抗生物質の投与や酸素吸入なども行ないます。
近年は、僧帽弁の修復を行う外科手術を行うケースも増えているようです。

<予防法>
僧帽弁閉鎖不全症は、予防や完治が難しい病気です。そのため、「これ」といえる予防法はありませんが、健康検診による早期発見ができれば、初期の段階で治療に入ることができるでしょう。

また、肥満や塩分の高い食事は心臓に負担をかけることになるので、毎日の食事には気を付けてください。年齢を重ねると発症しやすくなる病気なので、咳や運動をすると疲れやすいなどの症状がみられた場合は、早めに獣医さんに相談しましょう。

チワワを守るためにできること:自宅編

人間でもワンちゃんでも、自宅は手放しでリラックスできる場所です。ですが、飼い主の目線だけでは、必ずしもチワワに安全な環境とはいえません。愛犬にとって、安心できるだけでなく安全にすごせる環境を作るためにも、チワワの目線で自宅をチェックしてみましょう。

チェック1:階段やベッド、ソファーなどの段差はありませんか

飼い主にとっては普通の高さでも、超小型犬であるチワワには大きな段差になります。
チワワは骨が細く弱いので、誤って落下したら骨折などの大けがをしてしまうので、気を付けてください。
階段にはゲートを設置しておくほか、ベッドやソファーなどはあらかじめ上らないようにしつけておくと良いでしょう。

チェック2:見える場所に電気コードなどを置いていませんか

チワワの行動範囲内にコードやコンセントがあると、誤ってかじってしまい感電する恐れがあります。チワワの目線に入らないように配置したり、カバーを付けたりするなどの対策をしましょう。

チェック3:誤食するものを近くに置いていませんか

チワワにとって、口に入るものは全て興味の対象です。
体の小さなチワワにとっては、例え少量であっても誤飲・誤食は、命の危険性があります。
室内は整理整頓を常に心掛け、チワワの口に入りそうなものは全て届かない場所に収納しておきましょう。

チェック4:キッチンなどの火がある場所にチワワを入れていませんか

キッチンは、火や刃物をはじめ、熱湯を扱うこともあるチワワにとって危険な場所です。
キッチンやヒーターなどの熱いものがある場所は、誤って大やけどをする危険があるので、ゲートを設置するなどして立ち入れないようにしてください。
また、アイロンもやけどの原因に繋がりるので、チワワがいない部屋で使うなどの対処をしましょう。

チェック5:ドアを開けっ放しにしていませんか

ドアの開け閉めは、チワワが挟まれてしまう危険があるので、注意が必要です。
チワワがいることを知らずにドアを閉めてしまったり、風などでドアが閉まったりしないように、ドアストッパーなどで固定するか、チワワが入ってはいけない場所は必ず扉を閉める習慣を付けましょう。

チェック6:赤ちゃんや幼児との接触には注意しましょう

臆病なチワワは、何かの拍子でビックリして噛みついたり、やきもちをやいて攻撃的になったりする恐れがあります。
また幼い子どもがいるご家庭では、チワワとの接触にも気を付けるようにしましょう。チワワが赤ちゃんのお口まわりを舐めてしまい、雑菌から病気になってしまう恐れあります。
常にチワワと子ども、両方の様子を観察するようにしましょう。

チワワを守るためにできること:外出編

チワ
photo by Teerasuwat

ワンちゃんにとって、散歩は毎日かかせない日課です。しかし、散歩コースは近所であり日常の一部でありながら、意外なほど危険がたくさん潜んでいます。
チワワとのお散歩や外出を心の底から楽むためにも、チワワの目線で安全を考え、危険がないか今一度確認してみましょう。

チェック1:交通量の多い場所はありませんか

散歩中は、どれだけ気を付けていても何かの拍子で道路へ飛び出す恐れがあります。
そのため、愛犬を守るためにも、必ずリードはチワワをコントロールできる長さに調節してください。
リードをグイグイと引っ張って先頭を歩く場合は、飼い主に従うよう訓練しましょう。
車から降りる時も飛び出す可能性があるので、必ず抱きかかえて降りるようにしてください。

チェック2:他の犬との接触が多い場所に行っていませんか

チワワは臆病でとても警戒心が強い犬種なので、時に攻撃的になることがあります。そのため、他の犬と接触する場合は攻撃性が表に出ないよう慎重にしましょう。
特に、相手が体格差のある大型犬の場合、相手に害があるだけでなくチワワ自身も危険なので、愛犬の性格を考えて接するようにしてください。

チェック3:外に落ちているものに興味を示していませんか

チワワに限らず、ワンちゃんは何でも口に入れてしまいます。そのため特に散歩中は、外に落ちているゴミや金属片、タバコの吸い殻を誤って口に入れないよう注意が必要です。
散歩時のリードは必ず短めに持ち、チワワが興味を持ちそうなものを見つけた場合は、意識を向ける前に素早く通りすぎるようにしましょう。

まとめ

チワワは小柄なので弱々しく見えるかもしれませんが、他の犬種と比べてと体が弱いわけではありません。それでも、小型犬ならではのケガや病気など、いくつか注意が必要です。
今回の記事を参考に予防を心掛けてくださいね。
また、定期的な健康診断やペット保険への加入も検討して、万が一に備える準備もおすすめします。

注意したい病気以外の、チワワの性格や飼い方といった基本的な情報に関しては、下記ページで確認いただけます。今回解説してきた内容とともに、チワワという犬種へに理解を深めて大切に育ててあげてください。
【初心者向け】チワワの飼い方やしつけ方は? 【初心者向け】チワワの飼い方やしつけ方は?
チワワのケガや病気など、健康に関する疑問や悩みがある方は、迎える前に一度専門家であるブリーダーからお話を聞いてみてはいかがでしょうか。ブリーダーは、子犬だけでなくその両親も育てているので、遺伝的な内容にも答えてくれるでしょう。

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