小型犬の中でも特に小さく、超小型犬と呼ばれるチワワは、見た目に反してそれほど弱い犬種ではありません。それでも、遺伝的にリスクが高い病気や、小型犬ならではの好発性の病気には注意が必要です。
ここでは、チワワと生活するうえで、どんな病気に気をつければいいのか解説していきます。
目次
チワワの特徴的な目を守るために!気を付けたい病気
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チワワの特徴の1つである目は大きく飛び出しているため、外からの影響を受けやすい部位です。そのため、チワワの体の中でも特にケガや病気に注意が必要。特に散歩から帰ってきたら、目に異常がないかチェックしましょう。
角膜炎
<症状>
何らかの刺激を受けることで、眼球の最も外側にある角膜という組織が炎症を起こす病気です。
痛みで目をパチパチさせたり、目の周辺が涙や目ヤニで汚れたりします。重度になり症状が長期に及ぶと、角膜が白く濁り、本来角膜には存在しない血管が生じることもあります
<原因>
異物や事故による傷、目を強くこするなど、角膜が強い刺激を受けることで発症します。
外部からの刺激以外のも、アレルギーや細菌・ウィルスによる感染症が原因の場合もあり、結膜炎や緑内障といった、他の眼病の合併症としても症状が現れます。
<治療>
まず眼をきれいに洗浄し、抗生剤や消炎剤などの目薬で角膜の炎症を抑えていきます。
内服薬や注射など併用して、原因を取り除きます。
角膜に付いた傷が深く重症だった場合は、眼球を守る保護用コンタクトの装着や外科的手術が必要になることもあります。
<予防法>
チワワは目が大きく異物が入ったりしやすい犬種なので、散歩時は草や小枝があるような場所は避ける、シャンプー剤などが目に入らないように注意しましょう。
鼻周りの毛やさかさまつげが目を刺激している場合は、原因となる毛を除去するなどの対処が必要です。
小柄で骨が弱いチワワが気を付けたい関節の病気
小型犬の中でも特に小さいチワワは、骨が細く弱い犬種です。そのため他の犬種以上に関節に負担がかかっています。特に膝関節への負担は大きく、先天的にも後天的にもケガや病気になりやすい、注意が必要な部分です。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
<症状>
いわゆる膝のお皿が正しい位置からずれた状態(脱臼)で、症状の重さによってグレード1~4まであり、それぞれ以下のような症状が現れます。
・グレード1
基本的に正常な位置に膝蓋骨があり、押すと外れ手を離せば正しい位置へ戻る状態。普段は症状がなく、稀に症状が出ます。
・グレード2
軽く押しただけで膝蓋骨が外れる状態で、放っておくとそのままで、自然に元に戻ることはありません。放置すると症状が悪化してしまい、膝の靭帯が伸びたり骨が変形を起こしてしまうこともあります。
・グレード3
基本的に脱臼している状態で、一旦元の位置に戻しても、膝蓋骨が正常な位置に留まることはありません。足を引きずったり腰をかがめたり、歩き方に症状が見られ骨の変形も顕著になります。
・グレード4
骨の変形が柔道になり、膝蓋骨が元の位置に戻ることはありません。膝を曲げることができなくなり、足を曲げてうずくまるような姿勢で歩くようになります。
<原因>
先天的に膝関節周辺の形成不全で、膝関節のハマりが浅かったり、膝まわりの筋肉や靭帯に異常があると発症します。先天的に問題があっても、子犬の頃は異常がなく、成長するにつれ発症することもあります。
この他、後天的な要因として骨の栄養障害や、外傷により外れてしまう場合があります。
<治療>
グレード1、2と症状が軽い場合は、内服薬やサプリメント、筋肉注射などで、経過をみることになります。
グレード3、4と重度になると、重度であれば外科手術で対応する場合もあります。
脱臼すると、骨が変形して靭帯が損傷する可能性もあるので、手術するにしても早い段階で行った方が良いでしょう。
<予防法>
日頃できる予防法としては、とにかく膝への負担を減らすことです。
肥満になると膝への負担が増えるので、食事や運動により体重を管理しましょう。また、膝の周辺の筋肉を鍛えれば、脱臼のリスクを抑えることができます。
家の床が滑りやすい場合も膝に負担がかかるので、コルク板やカーペットなどを敷いて、滑りにくくすることもおすすめです。
足裏や爪のお手入れも定期的にしてあげてください。
小型犬に多い?呼吸器系の病気【気管虚脱】
気管虚脱とは、特に小型犬に多くみられる呼吸器系の病気です。原因は判明しておらず、体の小ささが影響しているとも遺伝的な問題ともいわれています。
ここでは、最悪の場合呼吸困難により命に関わることもある、ワンちゃんの気管虚脱について解説します。
気管虚脱(きかんきょだつ)
<症状>
通常であれば筒状の形をしている気管が潰れることで、呼吸障害が起きる病気で、体温調節にも不調が生じるため、熱中症などを引き起こすこともあります。
重度になると、呼吸困難やチアノーゼ(舌の色が紫色になる)、失神などの症状が現れることもあります。
<原因>
チワワなどの小型犬に多く見られる病気で、遺伝や肥満・老化などが関係していると考えられていますが、原因は明確になっていません。
過呼吸を引き起こす、高温や過度な興奮、ストレスなどの状況も、発症の要因として疑われています。
<治療>
内服薬による治療を基本に、呼吸困難やチアノーゼといった重い症状が確認できる場合は、酸素吸入や外科手術などで対応します。
症状によって適した治療法は異なるため、獣医さんに相談しましょう。
<予防法>
原因が分からないため、具体的な予防法はありません。
気管への負担を抑えるために、「肥満、」「激しい運動」「無駄吠え」をさせないようにして、生活環境の温度と湿度を適正な範囲に保つようにしましょう。
また、首が細いチワワの場合、気管への負担が大きい首輪の使用は避け、ハーネスを使うようにしてください。
著者/ブリーダーナビ編集部