1.「しつけ」と「訓練」の違いを知ろう
ボーダーコリーは全犬種中トップクラスの知能を持ち、訓練性能が非常に高いといわれています。また、飼い主との作業も好きなので、訓練はボーダーコリーにとっても喜ばしいことです。
しかしながら、マテやオスワリといった指示を覚え従う訓練に対して、しつけはまた別物です。
訓練に加え、「来客に対して吠えない」「家具や人の手を噛まない」といった生活ルール(常識・マナー)をしつけることも大事です。
しつけと訓練を両立させることは、ボーダーコリーが人間社会で快適に暮らしていくために欠かせません。飼い主自身もこの2つに対する認識と知識を高めていきましょう。
しつけと訓練の必要性
家族として迎えたワンちゃんには、きちんと人間社会を理解してもらい、指示をせずとも自ら考え判断できるようになることが理想です。
これは私たち人間が都合良いようにも聞こえますが、ワンちゃんが快適に暮らしていくためにもすごく重要なこと。そのためにもしつけや訓練が必要となります。
〇なぜしつけをするの?
・他人に迷惑をかけないため
・飼い主に負担を減らすため
・人間社会に適応させるため
・家族とワンちゃんの幸せな生活のため
吠える、噛むといった問題行動を起こすたびに飼い主は愛犬に対していらだち、ワンちゃんは飼い主に対して怯えてしまうこともあります。そんな生活は幸せと呼べるものではありません。互いに幸せな生活を送るためにも、しつけは重要なのです。
〇なぜ訓練をするの?
・思わぬトラブルから愛犬の命を守るため
・互いの要求を理解し合うため
・コミュニケーションをとり信頼関係を築くため
吠え癖や噛み癖などをしないようにするしつけとは異なり、訓練はワンちゃんとのコミュニケーションの一環です。
ワンちゃんが吠えたり噛んだりして何かを要求してくるように、私たちも座ってほしい、待ってほしいといった、こうしてほしいと思う瞬間がありますよね。
しかしワンちゃんと人間では言葉を交わせない訳ですから、その代わりにサインが必要になります。これが「マテ」や「オスワリ」「オイデ」といった指示なのです。
これらは訓練をしないと習得できません。また、訓練はワンちゃんとのコミュニケーションツールであり、信頼関係を深める大事なもの。愛犬と意思疎通するために訓練は必要なのです。
また、愛犬が急に道路へ飛び出しそうになった時に「マテ」などの指示ができるようになっていれば、思わぬ事故などを防ぐことにもつながります。
2.しつけや訓練をする前に
子犬を飼ったらまずすべきこと
子犬を迎えたら、まず新しい環境に慣れるのを待ちましょう。しつけは好奇心に溢れ、学習能力に優れた生後2~3ヶ月頃に、訓練は集中力や体力がついてくる6ヶ月頃からはじめるのが良いといわれています。
ただし、ワンちゃんにも体調の優れない日や、集中力が続かない日などがあります。日頃からワンちゃんの様子をよく確認し、状態の良い日にしつけや訓練を行いましょう。
しつけや訓練を行いやすくするために、子犬を迎えてからできることがいくつかあります。
・スキンシップをとる(体の色々な部位を触ってみる)
・生活の様子を良く観察して性格を知る
・おもちゃで遊びながら集中力を養う
・成長に合った食事で健康的な体作りを行う
たくさん触れ合い遊んであげて、ボーダーコリーにとって魅力的な存在でありましょう。
ワンちゃんが環境に慣れてきたらやってみよう!
photo by Harold Meerveld
家庭に迎えたワンちゃんが環境に慣れてきたら、コミュニケーションの一環として、基本の訓練からはじめてみましょう。
ワンちゃんの集中力はとても短いです。犬種や個体によっても異なるため、愛犬の様子を見ながら無理せず行うのがおすすめ。長時間を1回よりも、毎日短時間の訓練をこまめに行いましょう。
〇名前を呼んで、来たらご褒美を!
訓練はゲーム感覚で楽しませてあげることが大切です。まずは名前を呼んで来たらご褒美をあげる、これを訓練のはじめに毎回行うといいでしょう。
名前を呼ばれた→飼い主の元へ→ご褒美→楽しいゲームのはじまりというルーティンをつけることで、訓練に対するマイナスのイメージを持ちにくくなります。
〇アイコンタクトの練習
手におやつを持ちワンちゃんの視線を集め、少しの時間待たせましょう。上手に静止できていたら「ヨシ」や「イイコ」などと褒めながらおやつを与えます。
これを繰り返し行うことで、ボーダーコリーは人の手や目に自然と注目し、アイコンタクトをとることで許可を得ようとするようになります。
〇「オスワリ」の訓練
アイコンタクトの練習で行ったように、手におやつを持ちます。愛犬の鼻先までおやつを持っていき、ワンちゃんの頭上まで少しずつ手を移動させます。
自然と座らなければいけない体制になるため、座った瞬間「オスワリ」という指示と共におやつを与えます。
〇訓練のポイント
・指示には短い単語を用いる
・訓練は短時間にして数回に分ける
・体罰を与えない
・ワンちゃんの心情に寄り添う
訓練に無理強いや体罰は禁物です。ワンちゃんにもその日のコンディションがあるため、心情に寄り添い、根気強く行っていきましょう。
3.訓練を成功させるためのポイント
ご褒美でワンちゃんのモチベーションアップ
ただ褒めるよりも、何か目に見えるご褒美があった方がワンちゃんも嬉しいですし、何でご褒美をもらえたのかも理解しやすく、訓練の効率が高まります。
ご褒美はワンちゃんのモチベーションや集中力アップにも使える便利アイテムなのです。
ただし、ご褒美欲しさに従うようになってはいけませんよ。
× ご褒美が欲しくて飼い主の指示に従う
〇 飼い主の指示に従った結果、ご褒美をもらえた、ラッキー
上記の認識になるように、上手に活用しましょう。はじめは意識を引くため、訓練に入りやすくするために用いますが、そのうちご褒美なしでも従えるように、徐々に与えることを少なくしていきます。
訓練時間について
ワンちゃんの集中力は持って5分ほどと言われています。コリーやシェパード種は使役犬として働いていたことから集中力が続きやすいともいわれていますが、あまりにも長い訓練はワンちゃんにとって苦痛です。
さらに、暑い季節や騒音が激しい場所などでは集中力が持ちにくいため、訓練のタイミングや環境も考慮してみてください。
固体によっても集中力は異なるため、実際に訓練をしてみて、ボーダーコリーが飽きるタイミングはどれくらいか観察してみるといいでしょう。飽きたら一旦遊びを取り入れるなどして、ストレスにならないように訓練を繰り返します。
また、一つの訓練内容に固執しないよう、オスワリ、マテ、フセ、ツケを順番に行いながら訓練を重ねるといいでしょう。同じことの繰り返しよりも、色々なことに挑戦することで、ボーダーコリーは訓練を楽しく感じるようになります。
ボーダーコリーがもっと訓練をしたい!という期待を持ったままの状態で訓練を終了させることもポイントです。そうすることで、次の訓練に対する意欲が高まります。
ボーダーコリーに色々な訓練をはじめてみよう!
ボーダーコリーは、古くから牧場で家畜の誘導や護衛などをしながら、人と共に働いてきた犬種です。非常に賢く、作業能力の高さでは前に出るものはいないというほど、優秀なワンちゃんです。家庭犬となった今では、飼い主から指示を受けてそれに従う、この訓練こそが作業に匹敵します。
オスワリ、マテ、ツケ、フセとった基本の訓練をマスターすれば、あらゆる訓練に応用が利きますよ。ぜひ訓練を通してボーダーコリーが本来持つ能力を存分に生かし、活き活きとした生活を送れるよう、飼い主がサポートしてあげてください。
以下の記事では、ボーダーコリーの訓練について詳しくご紹介していますので、こちらも合わせてご覧くださいね。
ボーダーコリーに「まて」や「おすわり」などを覚えてもらおう!
まとめ
似ているようで目的が異なるしつけと訓練。この違いや必要性を理解し、ワンちゃんのために実践していくことが飼い主の務めです。高い能力や才能を秘めたボーダーコリーですから、根気よく本気で向き合うことで、飼い主の想いに応えてくれますよ。しつけと訓練を通して、最良のパートナーとなりましょう。
しつけ以外の飼い方について知りたい方は下記ページも参考にしてみてくださいね。
また、以下のリンクからはボーダーコリーの子犬とそのブリーダーを紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
著者/ブリーダーナビ編集部