キャバリアは心臓の病気にかかりやすい?症状や予防法から平均寿命まで

1.キャバリアと心臓病

6割のキャバリアが心臓疾患を患う⁉

キャバリアは心臓の病気にかかりやすい?症状や予防法から平均寿命まで
photo by SylwiaAptacy

カールした垂れ耳が優雅なキャバリアは、他の犬種に比べて短命だといわれることがあります。それはほかの小型犬の平均寿命と比べると分かりやすく、チワワやミニチュアダックスフンドの平均寿命は14~15歳、トイプードルの平均寿命は13~14歳といわれる中で、キャバリアの平均寿命は9~14歳程度だといわれています。

このようにキャバリアが短命だといわれる理由として、キャバリアが心臓病を患いやすいことが挙げられます。驚くことに、キャバリアの6割は何かしらの心臓病を患う可能性があるといわれるほど、キャバリアと心臓病は切っても切り離せない関係にあるのです。

ここからはキャバリアがかかりやすい心臓病について、症状や対処法を解説します。

2.キャバリアがもっともかかりやすい「僧帽弁閉鎖不全症」

僧帽弁閉鎖不全症って何?

キャバリアがもっともかかりやすいといわれているのが「僧帽弁閉鎖不全症」です。僧帽弁閉鎖不全症とは、左心房と左心室の間に位置する僧帽弁とよばれる弁が閉じなくなり、血流が逆流してしまう病気です。

僧帽弁閉鎖不全症の症状

僧帽弁閉鎖不全症は弁に異常をきたし、血液が逆流してしまう病気だと説明しましたが、発症初期ではほとんど自覚症状がみられません。しかし、聴診器で心音を聞くと心雑音が聞こえるため、定期健診で早期発見できるケースも多くあります。

初期段階では症状がみられない僧帽弁閉鎖不全症は、進行すると肺にまで悪影響を及ぼし「肺水腫」とよばれる状態になります。肺水腫は肺の中の組織が水浸しになった状態なので、呼吸がうまくできなくなります。この症状が胸に出ると「胸水」、お腹に出ると「腹水」という診断になります。

さらに進行し、心臓が体に必要な血液量を送り出せなくなった状態が「心不全」です。僧帽弁閉鎖不全症がここまで進行すると、食欲低下や咳といった症状がみられます。やがて呼吸困難および、チアノーゼ(舌の色が青紫色になること)を起こすようになり、最悪の場合は死にいたります。

以上のことから僧帽弁閉鎖不全症の怖いところは、下記の3点にまとめられます。

●初期症状がみられないこと
●心臓だけでなく、肺・胸・お腹にまで悪影響が出ること
●肺水腫や心不全を繰り返すうちに体力が限界を迎えてしまうこと

僧帽弁閉鎖不全症の予防法

僧帽弁閉鎖不全症は、後天性の病気です。つまり、生まれ持った病気ではないので、日常生活で気をつければ発症の可能性を低くできます。進行すると命にかかわることもある僧帽弁閉鎖不全症を予防するには、一体どうしたらいいのでしょうか?

●食事管理
僧帽弁閉鎖不全症の天敵は「肥満」です。肥満は万病の元となり、心臓にも大きな負担をかけます。栄養バランスの良い食事を与え、適正体重を維持しましょう。

●適度な運動
肥満を防ぐために、適度な運動を心掛けましょう。とくに散歩は気分転換にもなるので、欠かさず続けましょう。

●定期健診を受ける
初期症状がみられない僧帽弁閉鎖不全症ですが、だからといって早期発見できないというわけではありません。心臓病になると雑音が聞こえるので、聴診やエコー検査で早期発見できます。実際に、定期健診の際に偶然発見できたというケースも多いので、定期的に病院で検査を受けましょう。

僧帽弁閉鎖不全症の治療法

キャバリア
photo by Linda Dannhoff

僧帽弁閉鎖不全症の治療には、基本的には薬による内科的治療が行われます。腹水や胸水が溜まるようなら利尿剤を飲んだり、血管を拡張する薬や強心剤を飲んだりします。症状が進行して1種類の薬では抑えきれなくなった場合は、さらに別の薬を服用する必要があります。心臓病の薬は症状を治すものではなく改善するものなので、生涯飲み続けなければなりません。

このように一般的には内科的治療が行われる僧帽弁閉鎖不全症ですが、外科手術を行える獣医さんもいます。しかし、技術的な難しさや設備の問題から、僧帽弁閉鎖不全症の手術を行っている動物病院はごくわずかです。さらに高額な手術費用がかかることから、まだまだ一般的な治療法とはいえません。進行具合にもよりますが、僧帽弁閉鎖不全症はすぐに亡くなる病気ではないので、薬を飲み続けることで症状を緩和しながら暮らしているキャバリアが多いようです。

また、薬だけではなく食事による治療も行われます。心臓病のワンちゃんにとって過剰な塩分(ナトリウム)は禁物なので、フードを低ナトリウム食に変えることが望ましいです。病気の進行具合によっては、獣医さんから低ナトリウム食の処方があるケースもあります。

そのほか、運動制限することで心臓への負担を減らす必要があります。散歩などの適度な運動は可能ですが、ドッグランなどで走り回るといった激しい運動は控えなければなりません。

3.キャバリアで注意すべき「先天性心血管奇形」

先天性心血管奇形って何?

心疾患

キャバリアがほかに注意しなければならない心臓病に「先天性心血管奇形」が挙げられます。先天性心血管奇形とは、生まれた時すでに異常を持っている心臓のことです。

心血管奇形にはいくつか種類がありますが、キャバリアに多いといわれるのが左心室・右心室を隔てている心室中隔の一部が欠損して穴が残り、この欠損した穴を通して循環器系に異常をきたす「心室中核欠損症(VSD)」です。また、生まれる前に重要な役割を果たしている動脈管が生後も閉鎖せずに残り、多くの異常が発生する「動脈管開存症(PDA)」も代表的です。

先天性心血管奇形の症状

先天性心血管奇形は、種類や程度によって症状が異なります。まったく症状を示さないものから危篤症状を示すものまでさまざまですが、先天性心疾患の一般的な症状としては咳が出たり、呼吸困難を起こしたり、目や口の粘膜が白っぽくなる症状が出ることもあります。

先天性心血管奇形が進行すると「心不全」を起こす可能性があります。気付いた時には重度の心不全になっているケースもあるので、定期的な健診を怠ってはいけません。万が一心不全になった場合は、できるだけ早く動物病院へ搬送しましょう。

先天性心血管奇形の治療法

先天性心血管奇形は、種類や程度によって治療法が異なります。治療が必要ないケースもありますが、一般的には投薬による内科的療法や外科手術が行われます。

いずれにしても早期発見・早期治療できるように、日々の食事管理や適度な運動はもちろんのこと、定期健診の受診をお忘れなく!

まとめ

キャバリアがかかりやすいといわれる心臓病について解説しました。

一般的に短命だといわれているキャバリアですが、すべてのキャバリアが短命なわけではありません。日々の食事管理や適度な運動で、キャバリアが長生きできるように努めたいですね。また、早期発見・早期治療できるように定期健診も忘れてはいけません。

下記ページでもキャバリアの飼い方について解説しているので、こちらも参考にしてみてくださいね。
初心者向けキャバリアの飼い方 初心者向けキャバリアの飼い方
また、キャバリアをブリーダーからお迎えしたいと考えている方は、下記のリンクからもぜひ検討してみてください。

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