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ビションフリーゼといえば、真っ白でフワフワな毛並み。思わず抱きしめたくなるような可愛らしさで人気が高い小型犬です。
しかし、見た目がいくら可愛くても、何もしつけずに飼うことは難しいでしょう。
本記事では、ビションフリーゼのしつけの方法や注意点について解説します。
目次
ビションフリーゼはいつからしつければいい?
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ワンちゃんを飼ううえで、多くのペット初心者が不安に思うのは。やはりしつけではないでしょうか?ここでは、ビションフリーゼのしつけは、いつからどのように始めれば良いのか解説します。
しつけを始めるのはできるだけ早めが理想
一般的に、ワンちゃんへのしつけは早ければ早いほど良いとされています。そのため理想をいえば、ワンちゃんを家に迎えたその日からしつけを始めたいところです。
子犬の学習能力は非常に高く、特に生後3~12週齢の期間は「社会化期」と呼ばれる期間にどれだけ経験し学習できたかが、その後の一生に大きな影響を及ぼします。
家に迎えてからすぐにでもしつけが始められるよう、子犬が家に来る前から準備をしておくと良いでしょう。
飼いやすいけど甘やかしすぎはNG
ビションフリーゼは無駄吠えが少なくしつけやすため、ペット初心者でも比較的飼いやすい犬種といえるでしょう。手がかからず人懐っこく甘えてくれるので、飼い主からすれば、甘やかしたくなるかもしれません。
しかし、しつけをするわけでもなくただただ甘やかしてばかりいると、飼い主のいうことを聞かない子に育ってしまいます。
可愛い愛犬を問題のあるワンちゃんにしないためにも、子犬の時からしっかりとしつけることで、物事の良し悪しを教えてあげましょう。
どんなワンちゃんなのか、性格についてはこちらの記事にて解説しています。
非公開: ビションフリーゼの性格は?飼いやすい?
ビションフリーゼの叱り方で注意すべきポイント
人間の子どもをしつけるのと同様、子犬をしつけるのも大変です。ワンちゃんにも感情があるため、無闇に叱ってしつけるのは、ただ怯えさせるだけで教育にはなりません。
ここでは、ワンちゃんをしつける際に注意すべきポイントを紹介します。
叱るよりも褒めることが大事
ワンちゃんのしつけ全般に言えることですが、叱るよりも褒めることを重視してください。
ビションフリーゼは、叱るとすぐに怯えて萎縮してしまいます。こうなると、その後どれだけ優しく接してもしばらくはいうことを聞いてくれなくなります。
また、ワンちゃんは人間の言葉が分からないので、叱られたことを改めるのではなく、行動自体をやらないようになってしまいます。
例えば、トイレを失敗したことを叱った場合、叱られることを嫌がって、飼い主が見てないところで粗相してしまうのです。
つまり叱っても改善されない可能性があるので、成功したら褒めてあげた方が上手くいくことが期待できます。
ビションフリーゼをしつける際のコツ
しつけなどを含め、ワンちゃんと生活するうえで最も大切なのは愛犬を理解することです。
どんな性格でどんなおもちゃ・食べ物が好きなのか、ひとりとして同じワンちゃんは存在しません。
愛犬を理解したうえで、好きなおもちゃやおやつをご褒美として活用できれば、効率良くしつけを行うことができるでしょう。
ビションフリーゼのしつけ「トイレトレーニング」
トイレトレーニングは、ワンちゃんを迎えて最初に行うしつけです。しかし、最初のしつけであるにも関わらず決して簡単ではないため、初心者にとって大きな壁といえるかもしれません。
どんなトイレを用意すればいい?
ビションフリーゼにトイレを用意する場合、大きすぎず小さすぎない、適度な大きさのものを用意してあげましょう。目安は体の2~3倍程度で、これ以上大きいと落ち着かなくなり、小さすぎるとはみ出して失敗しやすくなってしまいます。
幸いワンちゃん用トイレはメーカーによる大きな違いはないので、お店で選ぶ際そこまで苦労することはないでしょう。
また、後ろ脚を上げておしっこできるL字型のトイレがあるので、オス向けにはこちらがおすすめです。
トイレトレーニングの進め方
一度使用したペットシーツは、例えるなら人間のトイレで流さないことと一緒です。ペットシーツをそのままにしておくと失敗の原因になるので、毎回必ず取り替えましょう。
これを繰り返せば、「トイレが上手にできると良いことが起こる」と覚えるので、自発的にトイレに行くようになってくれます。
トイレを覚えさせる際の注意点
しつけ全般にいえることですが、失敗しても決して叱らないであげてください。
特にトイレトレーニングの場合、一度叱ってしまうと、それ以降飼い主が見ているところで排泄することを嫌がり、隠れてトイレ以外の場所で粗相するようになる可能性があります。
失敗しても叱らずに、無言で後片付けをして、においが残らないようにしっかりと消臭までしましょう。
また、トイレの場所を突然変えると失敗の原因になるので、トイレの場所は少しずつ移動させてください。
下記リンク先のページでも、子犬のトイレトレーニングについて解説しています。しつけが上手くいかなくてお悩みの方は、こちらも参考にしてみてくださいね。
ビションフリーゼのしつけ「社会化トレーニング」
ワンちゃんが人間社会で暮らすためには、人間の社会に慣れるためのトレーニングが必要です。これを社会化といい、社会化できないワンちゃんは、多くの場面で問題に直面することになるでしょう。
人間社会に慣れさせる
ワンちゃんの社会化トレーニングとは、人間社会での生活に慣れてもらうためのしつけです。
人間社会にある当たり前のこと、例えば洗濯機や掃除機の音、家の外でいえば自動車や家族以外の人間や動物などに慣れてもらう必要があります。
社会化ができていないと、ただ散歩するだけのことが難しかったり、来客に吠えて威嚇しようとしたりと、日常生活に支障を来す恐れがあるのです。
つまり、「犬の社会化」とは、ワンちゃんが人間社会で暮らすために、さまざまな刺激に慣れさせるしつけになります。
体を触られることに慣れさせる
社会化トレーニングの一環として、体に触れられることにも慣れさせておきましょう。
体に触られることに慣れていないワンちゃんは、動物病院での診察やトリミングサロンでのケアに抵抗を示します。それどころか、歯磨きや耳掃除といった自宅でのお手入れも嫌がるでしょう。足先やしっぽ、耳、口周り、口の中などは、特に触れることが多いので子犬の頃から慣れさせてください。
ワンちゃんの社会化は、子犬の頃のしつけで完了するわけではありません。一旦社会化トレーニングを終えても、そこから継続的に行っていく必要があります。
ビションフリーゼのしつけ「無駄吠え・噛み癖」
ビションフリーゼは賢くしつけやすい犬種ですが、何もしつけができていないと、やはり問題行動を起こすようになってしまいます。愛犬がどんな子に育つのかは、全て飼い主次第といっても過言ではありません。
ここでは。無駄吠えや噛み癖といった、基本的な問題行動をさせないためのしつけについて解説します。
無駄吠え・吠え癖のしつけ方
ワンちゃんの無駄吠えを止めさせるには、「なぜ吠えるのか」その原因を知ることが必要です。
吠える理由は、大きく分けて「警戒吠え」と「要求吠え」の2通り。
吠えさせないためのしつけで大切なのは、「吠えても何もならない」と覚えさせることです。「吠えれば思い通りになる」と勘違いさせないようにしましょう。
そのため、吠えても「無視」「近くで大きな音を立てる」「吠える原因を取り除く」といったやり方が有効です。
噛み癖のしつけ方
ワンちゃんは噛む動物なので、物を咥えたり何かに噛みついたりすることを完全に止めさせることはできません。そのため、噛み癖のしつけでは、噛んで良い物と悪い物を教えることになります。
子犬の甘噛みは、興味のあるものを見つけた時や歯が痒い時などに見られます。
ビションフリーゼのような小型犬で特に子犬の場合、噛む力が弱いので飼い主としてはつい見過ごしがちですが、放っておくと噛み癖になってしまい、問題行動に発展しかねません。
噛み癖のしつけに関しては、下記ページで詳しく解説しています。噛み癖は、ワンちゃんの代表的な問題行動の1つなので、大きな問題になる前にしっかりとしつけてあげましょう。
ビションフリーゼのしつけ「留守番」
どんなご家庭であっても、ワンちゃんをひとりにさせてしまう時間はあるもの。そこで重要になってくるのが、留守番のしつけです。
ビションフリーゼは人懐っこい反面寂しがり屋なので、何のトレーニングもせずひとりにしてしまうと、大きなストレスを与えてしまうことになります。
留守番のしつけ方
ワンちゃんを飼うにあたり、避けては通れない問題がお留守番。
人懐っこく寂しがり屋な性格のビションフリーゼは留守番が苦手な犬種です。
まずはケージやサークルに慣れさせ、愛犬が落ち着ける環境を整えてあげてください。そのうえで、ひとりですごすことに慣れさせましょう。
最初は一瞬だけ愛犬の視界から消えるだけでも十分です。そこから部屋からいなくなるなど、愛犬の様子を見ながら少しずつひとりにさせる時間を延ばしていきます。
ワンちゃんをひとりにする際は、できるだけさり気なくその場を去り、「いってきます」など特別なことはしないようにしましょう。外出の準備など、出かける前触れを覚えさせると、逆に不安をあおることになってしまいます。
クレートトレーニングも必要
クレートとは、ワンちゃんを入れて持ち運べる、壁と屋根に囲まれた犬小屋のようなものです。その中で、愛犬が安心して過ごせるように教えるしつけが、クレートトレーニングになります。
クレートをハウスと見立ててハウストレーニングと呼ばれることもあり、クレートを専用の部屋もしくは家に見立て、愛犬が安心して過ごせる場所を作るためのトレーニングです。
子犬のうちからクレートに慣らしておくことで、ワンちゃんと出かける際の安全な移動や災害時に避難する際のストレス軽減も期待できます。
クレートの大きさはどれくらいが理想?
クレートの中は、四方と天井を壁で囲まれた閉鎖空間です。そのため、狭すぎても広すぎても都合が良くありません。
中で無理なく方向転換できて、横になって寝ることができる大きさ必要です。地面から頭のてっぺんぐらいまでの高さで、奥行きは鼻先からお尻ぐらいまで。余裕を見るなら、各+5㎝ぐらいあると良いでしょう。
ただし、ワンちゃんの成長に伴い手狭になっていくので、大きさに合わせて買い換える必要があります。
ビションブリッツとは?対処法を解説
ビションフリーゼ特有の習性である「ビションブリッツ」をご存じでしょうか。
ビションブリッツとは、ビションフリーゼが突然走り回る行為のことで、明確な原因は分かっていません。家の中であっても外であっても、場所や状況は関係なく突然何かのスイッチが入ったかのように走り出し唐突に収まります。逆にいえば、この状態になったら自然に止まってくれるのを待つしかありません。
体の不調とは直接の関係はないものの、突然火が点いたように走り回るため、壁にぶつかったり、道路に飛び出したりすることもあるので、注意しましょう。
おすわり・まて・ふせの必要性としつけ方
「おすわり」「まて」「ふせ」といったしつけは、ワンちゃんの芸の一種と考えている方もいるかもしれません。しかし、これができるとできないとでは、いざというときの行動に大きな違いが出てしまいます。
何よりも愛犬の安全を守るためにも、できるようにしつけておきましょう。
『おすわり』のしつけ方
- 手のひらご褒美を乗せ、愛犬にご褒美を意識させます。
- 「おすわり」と言いながら、ご褒美をビションフリーゼの頭上へ移動します。
- 視線に合わせて自然と顔が上を向き、それに伴い腰が落ちておすわりの姿勢になります。
- お尻が地面について、完全に「おすわり」ができたら、ご褒美をあげましょう。
『まて』のしつけ方
- おすわりを覚えたところからスタートです。
- 愛犬の正面でおやつを見せて、おすわりを指示。できたら褒めてあげましょう。
- おすわりの姿勢をしばらく維持できたら、おやつをあげてください。
- 成功の度、おすわりからおやつをあげるまでの間隔を長くしていきます。
- おやつを見せておすわりをさせている間に、「まて」の指示を出します。
- まてをできなかった場合、1からやり直しましょう。
『ふせ』のしつけ方
- 顔の前におやつを差し出し、「ふせ」と言いながらゆっくりと下に移動させます。
- おやつに釣られて頭が下がり、自然とふせの体勢を取ります。
- 最初は短時間でも良いので、ふせが維持できたら褒めながらおやつをあげましょう。
- 体育座りをして、膝下に空間を作ります。
- ビションフリーゼを少しかがませて、膝下を通過させます。
- 愛犬がいる逆側の膝下からおやつを見せて、「ふせ」と指示してください。
- そのまま膝下をくぐらせるように、ビションフリーゼを誘導します。
- 膝下をくぐって「ふせ」の体勢になったら、褒めておやつをあげましょう。
ビションフリーゼの成犬をしつけるのは難しい?
人間の子どもと同様、ワンちゃんに物を教える場合でも、幼い頃から取り掛かった方が覚えは早いものです。しかし、だからといって成犬にしつけができないわけではありません。
子犬に比べて時間や労力はかかるものの、成犬をしつけることはできます。
子犬期よりも時間や労力が必要
子犬であれ成犬であれ、基本的しつけに違いはありません。それでも、やはり子犬に比べて成犬の方がしつけに時間はかかってしまいます。
その理由として、子犬は何もない状態からしつけを覚えることができますが、成犬の場合それまでの経験が新しくしつけを覚える邪魔をしてしまいます。
例えば、真っ新なメモ帳に文字を書くのと、既に文字が書かれているメモ帳に消しゴムをかけてから文字を書くのでは、手間が違うでしょう。
間違ったしつけをすると、状態を悪化させてしまうことになりかねないので、場合によってはしつけの専門家にお願いすることをおすすめします
まとめ
ビションフリーゼは、他の犬種と比べてもしつけがしやすい部類に入ります。とはいえ、あくまでも比較的手間がかからないというだけで、しつけが簡単というわけではありません。
今回紹介してきた内容を参考に、決して感情的になることなく、根気強くしつけを続けてあげましょう。
ビションフリーゼの飼い方については下記ページでも解説しています。こちらも参考にしてみてくださいね。
著者/ブリーダーナビ編集部