犬の性格って?どう決まっていく?
「犬」とひとことで言っても、耳の形や顔つき、体型、大きさ、被毛の量や質など、外見の特徴は犬種によって大きく異なりますよね。実は見た目だけではなく性格もさまざまです。
例えばドッグランで愛犬と同じ犬種の子を見つけ「あの子は走り回って遊んでいるのにうちの子は全然走らない…」というような経験をした飼い主さんもいらっしゃると思います。
犬の性格は、どのように決まっていくのでしょうか?
犬種によって決まる
個体差はありますが、性格傾向は犬種によってある程度決まっています。
牧羊犬や猟犬として活躍してきた・番犬として人々を守ってきた・愛玩目的で作出されたなど、それぞれに異なるルーツがあるためです。
例えば牧羊犬であれば忠実で俊敏、番犬であれば警戒心が強いなどの性格傾向がありますし、初心者には愛玩目的で作出された犬種が飼いやすいでしょう。
お迎えしたいワンちゃんが見つかったら、その犬種の歴史やルーツも調べてみるのをおすすめします。
性別によって決まる
一般的には、オスは活発でやんちゃなワンちゃんが多いとされています。
飼い主を守ろうと勇敢に立ち向かっていくような力強さがある一方で、家の中ではゴロゴロ甘えるということも少なくないようです。
縄張り意識もメスより強いといわれています。
メスは比較的人懐っこく、他のワンちゃんに対しても優しい傾向があります。特に避妊手術前の子であれば、「女性ホルモン」により母性的な行動が見られることも。
明るくて陽気な性格に育つことが多いようです。
しかしこれはあくまで一般論であり、性別によって性格が決まるとは一概には言えません。
他のワンちゃんに対して優しい男の子もいますし、おてんばでいたずら好きな女の子もいますよね。ワンちゃんもみんな個性があるのです。
年齢によって決まる
犬の性格は、生後1年の間に形成されるといわれています。
生後4ヶ月前後までは「社会化期」と呼ばれ、好奇心旺盛な時期です。この時期にどんな経験を積めたかがその後の性格に大きく関わります。
その後は警戒心や恐怖心を少しずつ覚え臆病な面が出るようになり、1才を越えると落ち着きが出てくることが多いです。
さらに6〜7才になると代謝が落ち始め、それまで遊び好きで活発だったワンちゃんがあまり遊ばなくなるということも。
このように年齢を重ねるごとに多くのことを経験したり体に変化が出てきたりするため、年齢によって性格の傾向に変化が表れます。
遺伝によって決まる
見た目の特徴だけでなく、性格も遺伝することがあります。
例えば雷や花火の音を異常に怖がるワンちゃんがいたら、もしかしたら親犬も恐怖心が強いのかもしれません。
ブリーダーから子犬をお迎えする場合は、親犬の性格も聞いておくのがおすすめです。
環境によって決まる
飼育環境や飼い主との関係性によっても性格が決まってきます。
留守番が多く一人の時間が長いワンちゃんと、常に誰か家族と一緒にいるワンちゃんであれば、当然性格や得意なこと・苦手なことが異なりますよね。
この他にも外の環境に触れる機会が多いか少ないか、人とのスキンシップが多いか少ないかなどによって、後天的に性格が形成されていくことがあります。
犬種による性格の特徴について
人気の犬種を性格傾向ごとに分類してみました。
ワンちゃんによってもちろん個体差はありますので、参考程度にご覧くださいね。
人懐っこい犬 | トイプードル、ポメラニアン、パグ、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリー |
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おとなしい犬 | トイプードル、シーズー、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー |
優しい犬 | トイプードル、シーズー、キャバリア、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー |
穏やかな犬 | ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、トイプードル、パピヨン、パグ |
気性の荒い犬 | ミニチュアシュナウザー、ミニチュアダックスフンド、チワワ、ジャックラッセルテリア |
忠実で忠誠心が強い犬 | 柴犬、秋田犬、ボーダーコリー、ジャーマンシェパード、ラフ・コリー、プードル |
独立心の強い犬 | 柴犬、秋田犬、チャウチャウ、ボルゾイ、ヨークシャーテリア |
これはあくまでざっくりとした傾向。実際は先に述べた要因などによって性格が決まっていくことが多いです。
性格が変わることはあるの?
以前より諦めが早くなったり、甘えん坊になったり。「最近愛犬の性格が変わってきた…」と感じたことはありませんか?
心配しすぎる必要はないと分かっていても、何かあったんじゃないかと飼い主なら気になりますよね。
実際は変わっていなくても、さまざまな要因によって「性格が変わったように見える」ということもあります。
では、どんな要因が考えられるのでしょうか?
原因その1:加齢
年を重ねるにつれて、学習能力や肉体が衰えるようになります。そのような体の変化によって、心も変化していくのです。
加齢によっておとなしくなる子もいれば、それとは逆に気性が荒くなる子もいます。
おとなしくなる場合は、「体力が落ちて長く遊んでいられなくなった」「感覚機能が衰え怖がりになった」などが考えられます。外の何気ない音などにも、過剰に反応するようになるワンちゃんもいるようです。
気性が荒くなる場合は、思うように体が動かずワンちゃんも苛立ちを感じるのでしょう。飼い主から見れば、怒りっぽくなったように感じるかもしれません。
原因その2:コミュニケーション不足
元々甘えるのが好きだったワンちゃんが、コミュニケーション不足によって臆病になったケースがあります。
またコミュニケーションの時間は長くても、叱る時間が多ければ愛犬は怖がりになったり臆病になったりするはずです。
逆に「えらいね」「いい子だね」と優しい言葉をかけ穏やかなコミュニケーションを続けていたら、ワンちゃんの社交性が上がったという結果も。
飼い主との関係性が、ワンちゃんの内面に大きく影響するのです。
原因その3:ホルモンバランスの変化
ワンちゃんは、ヒート(発情期)中や、去勢・避妊手術の後で性格が変わるという話が多くあります。これは、ホルモンバランスの変化によるものだといわれています。
犬の発情期は誕生月にもよりますが一般的に春と秋に起こりやすいので、その時期は特に注意して観察しましょう。他のワンちゃんに対して攻撃的になったり、メスであればオスに追いかけられたりなどする可能性があります。お出かけの際には十分注意するようにしてくださいね。
ワンちゃんも情緒不安定になりやすい時期です。精神状態を気遣ってあげるようにしましょう。
まとめ
ここまでワンちゃんの性格がどのように決まるのか、途中で変わるのはなぜなのかを解説しました。
犬種や遺伝によってある程度の傾向はありますが、その後どう育つかが性格形成に大きく関わります。
特に子犬から成犬に成長する間の社会化期は、とても大事な期間。この時期にたくさん褒めて、良いところを伸ばしてあげるようにしたいものです。
「犬は飼い主に似る」とよく耳にしますが、内面も飼い主の接し方や習慣によって変わります。
しつけが上手くいかなくても叱らず、優しく穏やかなコミュニケーションを心がけてみてくださいね。
著者/ブリーダーナビ編集部