犬の散歩で気を付けたい7つの危険

1.散歩の時間帯


犬は気温に対して、とてもデリケートな生き物だというのはご存知でしたか。

私たち人間の皮膚の厚さが約1.5~4mm(表皮+真皮)なのに対し、犬はその3分の1~5分の1くらいの厚さしかありません。また体高も私たち人間よりも低いため、地面の温度を直に受けてしまいます。

特に夏場の日中は、地面の温度が60度近くになるため、肉球をヤケドしたり、熱中症になったりする恐れがあります。

そのため、夏場は地面が暑くなる前の早朝5時~6時台、または地面の温度が下がり切った「夜のはじめ頃」といわれる18時以降に散歩をしてあげましょう。

冬場に関しては、雪道を長く散歩させると低温やけどや凍傷になることも。雪が積もらない地域であっても、凍結防止用に撒かれている融雪剤で皮膚がめくれたり、皮膚炎になる恐れがあるので気を付けてあげてください。

日が暮れる夕方以降に散歩へ出掛ける場合は、交通事故のリスクを避けるために夜間でも目立つ首輪やライトを着用して散歩に出掛けましょう。

2.リードの扱い方


犬の散歩に必須アイテムとされる「リード」。犬の散歩にノーリードで出掛けてしまうと、法律違反になるのはご存知でしたか?

動物の愛護及び管理する法律(動物愛護管理法)では、以下の様に定められています。

 

(動物の所有者又は占有者の責務等) 第七条
動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。

引用元:動物の愛護及び管理する法律(動物愛護管理法)

つまりこの法律は「人や物を壊してはいけない」「周囲の人に危険が被ることや迷惑になるような行為はしない」という意味を示します。

また環境省にある「家庭動物等の飼育及び保管に関する基準」では、このように記載があります。

 

第4 犬の飼養及び保管に関する基準 5
犬の所有者等は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、次の事項を遵守する よう努めること。 (1) 犬を制御できる者が原則として引き運動により行うこと。 (2) 犬の突発的な行動に対応できるよう引綱の点検及び調節等に配慮すること。 (3) 運動場所、時間帯等に十分配慮すること。 (4) 特に、大きさ及び闘争本能にかんがみ人に危害を加えるおそれが高い犬(以 下「危険犬」という。)を運動させる場合には、人の多い場所及び時間帯を避 けるよう努めること。

引用元:家庭動物等の飼育及び保管に関する基準

こちらの内容を要約すると、

  • 必ずリードは付けましょう
  • リードの長さや持ち方の調整をしたり、定期的な点検を行いましょう
  • 散歩をさせる場所や時間帯を考えましょう
  • 力の強い犬や、気が強い犬の散歩は人混みを避けましょう

ということになります。

これらの約束をきちんと守らないと、自治体によっては拘留または科料が科せられることも。また万が一、犬が他人を傷付けたり、損害を被ったりすることがあった場合はあなたが逮捕される、または愛犬が処分される恐れがあります。

そうならないためにも犬と外を歩く時は必ずリードを装着し、急な飛び出しなどを制御できる安全な状況を作っておくようにしましょう。

イメージとしては、飼い主さんから半径1m以内に犬がいる状態が好ましいとされています。少し広い道などではリードは少し緩めることはできますが、それでも半径2m以内を目安にしてくださいね。

3.食べると危険な植物


愛犬と散歩に出かけると、色々な植物を目にすると思います。特に春は庭先や公園などでかわいらしい花がたくさん咲いていますよね。しかし、これらの植物の中には犬にとって大変危険な中毒症状を起こすものがあります。

例えば春の花として代表的な「チューリップ」。誤って犬が食べてしまうと、嘔吐や下痢、ヨダレがたくさん出ることも。また成分が皮膚につくと、炎症を引き起こす可能性があります。

特に球根部分は毒性が強く、命の危険もあるので注意が必要です。

チューリップ以外にも、犬にとって危険な植物は以下のようにたくさんあります。

  • アジサイ
  • アサガオ
  • カーネーション
  • サクラ
  • スイセン
  • スズラン
  • ゼラニウム
  • ユリ

これらの植物にはなるべく犬を近づけないようにしましょう。また場所によっては、除草剤や農薬がかかっていることもあります。もしも犬が口にすると大変危険ですので、気を付けましょう。

4.草むらに潜むノミやダニなどの寄生虫


愛犬の散歩では、ストレスなく自由に楽しくさせてあげたいものですよね。しかし犬が好む場所には、ノミやマダニ、蚊などがたくさん潜んでいます。

ノミ

散歩中の草むらや、他の犬と接触すると体についてくることがあります。

気付かず放っておくと噛まれてかゆみが出たり、ノミの唾液によってアレルギー性皮膚炎を発症したりすることも。さらにはサナダムシ(犬条虫)などの寄生虫を伝染させる危険性があるので注意が必要です。

マダニ

草の茂っている場所に潜んでいる害虫マダニは、4㎜程度の小さな虫ですが血を吸うと小豆ほどの大きさに成長します。

犬がマダニに血を吸われた場合、全身にかゆみが発症するだけではなく、バベシア症と呼ばれる病気などに感染する恐れがあるので注意が必要です。

寄生虫であるフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊を媒介して犬の体内に入り、心臓の機能障害を引き起こす「犬フィラリア症」を発症する危険性があります。

散歩コースに川沿いなど蚊の多い環境があれば、それだけ感染リスクが高くなるので注意が必要です。

これらの害虫から愛犬を守るためにもワクチンや予防薬はもちろんのこと、散歩から帰宅したら体をブラッシングしたり、タオルや布で手足をよく拭きとってあげたりしましょう。また、定期的なトリミングや洋服を着させるのも害虫対策に繋がりますよ。

5.自転車やバイクに乗りながらの散歩


時々、自転車やバイクに乗りながら犬を散歩する方を見たことはありませんか。実はこの行為、道路交通法違反になります。

 

道路交通法第四章 第七十条(安全運転の義務)
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

引用元:e-Gov法令検索

この法律は軽車両である自転車も含まれるため、自転車に乗りながら犬の散歩をするのも、もちろん違反に該当します。

自転車やバイクを運転する上で安定を失う恐れがあることや、どのような動きをするかわららない犬を連れて運転することはリスクでしかないからです。

もしも、犬が突然車道側に飛び出してしまえば車に轢かれてしまう恐れがあります。また犬が自転車の前方に飛び出し、飼い主自身が犬を轢いてしまう危険性も…

これらのことから犬と散歩をする時は、必ず歩いて出掛けましょう。

6.スマホを見ながらのながら散歩


犬の散歩をしながらスマホを操作してしまうことはありませんか。もしこの行為をしていたら、直ぐに止めてください。

なぜなら、愛犬のストレスになるからです。

飼い主さんがスマホなどの画面に夢中になってしまい、犬の視線やしぐさに気付いてあげないと犬は寂しさを感じます。さらに一緒にいても構ってもらえないことから問題行動に走り、ストレスを感じやすくなってしまうからです。

愛犬と散歩をする時は、声を掛けてコミュニケーションを取りながら、ふれあいの時間を多く取るよう心掛けましょう。

7.散歩中にすれ違う人や他犬との接し方


犬を飼われている方は、犬が大好きな方が多いでしょう。しかし全ての人が犬好きとは限りません。中には犬を苦手とする人も多く存在しますので、散歩中に人とすれ違う時は必ずリードを短く持ち直しましょう。

その際は愛犬の名前を優しく呼ぶと、飼い主さんの方を向きますのでスムーズにリードを持ち直すことができますよ。

また犬との散歩をしていると、他の知らない犬とすれ違うことがあるかと思います。お互いにトラブルを起こさないためにもリードを短く持ち、大好きなおやつを使うなどして意識を逸らしながらゆっくり相手の犬から離れるように移動させましょう。

まとめ


愛犬との散歩の時間は楽しく過ごしたいですよね。

散歩コースにはさまざまな危険が潜んでいることがありますが、何が犬にとって危険なのかきちんと飼い主さんが理解することで、リスクヘッジをすることができます。

お互いが気持ちよく散歩をするためにも、これら7つの危険をしっかり覚えておきましょうね。