ボストンテリアは元気で活発な犬種ですが、年を取ればいずれシニア犬となり、健康を損ねることもあるでしょう。
愛犬に長生きしてもらうためには、まだ元気な若い頃からしっかりと健康を管理して、安心して暮らせる生活環境を整えてあげる必要があります。
本記事では、ボストンテリアの平均寿命とともに、愛犬に健康で長生きしてもらうために日常生活で気を付けたいこと、心がけたいことを解説します。
目次
ボストンテリアの平均寿命は何年?最高齢は?
ボストンテリアが属する小型犬は、全体的に長生きな犬種です。それは、犬全体の平均寿命と小型犬の平均寿命を比べてみるとよくわかります。
では、ボストンテリアの寿命は平均どのくらいで、最高で何歳まで生きた子がいるのでしょうか。
ボストンテリアの平均寿命
ボストンテリアの平均寿命は11~15歳とされています。アニコム損保の調査によれば、ボストンテリアを含む小型犬の平均寿命は14.2歳なので、平均よりも長生きする可能性がある犬種といえるでしょう。
ただし、性別や生活環境など、さまざまな要因で寿命は長くも短くもなります。
では、ワンちゃんのサイズごとの平均寿命はどのようになっているのでしょうか。
サイズ | 体重 | 平均寿命 |
---|---|---|
超小型犬 | ~5kg | 13.8歳 |
小型犬 | 5~10kg | 14.2歳 |
中型犬 | 10~20kg | 13.6歳 |
大型犬 | 20~40kg | 12.5歳 |
超大型犬 | 40kg~ | 10.6歳 |
参照元:アニコム損保保険株式会社
ボストンテリアの最高齢は?
公式の記録ではありませんが、2021年4月現在、最も長生きしたボストンテリアは19~20歳という長寿を全うしたそうです。
食生活や動物医療の発展から、ワンちゃんの平均寿命は年々長くなっています。
それを加味しても、これは平均寿命を大きく上回る長寿です。個体差はもちろんあるでしょうが、生活環境次第では平均寿命を大きく超えて長生きしてもらえることが分かります。
ギネスに掲載された最高齢の犬
ギネスブックに掲載されている最も長生きしたワンちゃんは、オーストラリア・ビクトリア州に住んでいたオーストラリアン・キャトル・ドッグのブルーイ。その年齢は、何と29歳5ヶ月でした。
1910年に迎えられてから、1931年11月14日に安楽死を遂げその生涯に幕を下ろすまで、およそ20年もの間牧牛犬として家族とともに働き続けたそうです。
それから90年が経とうとする現在も、この記録は塗り替えられていません。
ボストンテリアの年齢を人の年齢に換算できる?
飼い主としては「この子は人間でいうと何歳なんだろう?」と疑問に感じたことが一度はあるのではないでしょうか?実は最新の研究結果で、人の年齢に換算する計算式が導かれました。
人間の年齢に換算する計算式
2019年11月4日、ワンちゃんの年齢に関する研究論文が発表されました。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームによれば、「犬の実年齢の自然対数を16倍して31を加えた数値が、ヒトの年齢に換算した犬の年齢である」という結果となったそうです。
以下に計算式と、そこから導き出した数値を、表にまとめてみました。
<人間に換算した年齢=16ln(犬の年齢)+31>
犬の年齢 | 人間の年齢 |
---|---|
1 | 31 |
2 | 42 |
3 | 49 |
4 | 53 |
5 | 57 |
6 | 60 |
7 | 62 |
8 | 64 |
9 | 66 |
10 | 68 |
11 | 69 |
12 | 71 |
13 | 72 |
14 | 73 |
15 | 74 |
16 | 75 |
表で比較してみると、犬と人間の加齢速度の違いが分かります。犬は成犬と呼ばれる1歳までに急激に成長して、以降ゆっくりと加齢しているのが分かるでしょう。
ただし、この研究は大型犬のラブラドールレトリーバーを対象としたもので、小型犬のボストンテリアにどれだけ当てはまるのかまでは分かっていません。
今回対象となったラブラドールレトリーバー以外の犬種を対象としたより正確な数値は、今後の研究で判明するでしょう。
ボストンテリアの寿命を縮めてしまう要因
ボストンテリアの平均寿命は比較的長いとはいえ、平均はあくまで平均。個体によってそれ以上長くなることもあれば、逆に短くなることもあります。
飼い主としては長生きを祈りますが、同時に寿命を縮めてしまう懸念材料はできるだけ排除しておきたいもの。
では、ボストンテリアに長生きしてもらうには、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。
呼吸器トラブルと夏の暑さに注意
短頭種であるボストンテリアは、呼吸器系が弱く熱中症などになりやすい犬種です。
ワンちゃんは体温が上がると、舌を出してハアハアとする【パンティング】という行為で体にたまった熱を排出しようとします。
しかし、短頭種は呼吸器系が弱いため、このパンティングが苦手で熱を上手に排出できないのです。
少しでも負担を減らすために、ボストンテリアには首輪ではなくハーネスを使用したうえで、夏場は保冷剤などを利用して少しでも体温を下げるようにしましょう。
ボストンテリアは日本の高温多湿な夏が苦手なので、暑い日の散歩には呼吸器トラブルが起きないように最大限注意してください。
ボストンテリアが気を付けたい病気
健康のためには、病気の予防が欠かせません。そして、病気を予防するためには、どんな病気にかかりやすいのか、把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、ボストンテリアがかかりやすい、注意すべき病気を紹介します。
短頭種気道症候群
短頭種は気道が狭く短いためパンティングによる熱の排出が苦手で、激しい運動をしたり高温多湿の環境にいたりすると、体内に熱が溜まって熱中症になってしまいます。
こうした短頭種が抱える呼吸器トラブルの総称が【短頭種気道症候群】です。
重症化すると、呼吸困難に陥ったり酸欠状態になったりして、意識を失うことも珍しくありません。老化に伴い、呼吸器周辺の筋肉が衰えてくると症状が悪化する傾向にあります。
パテラ(膝蓋骨脱臼)
小型犬が発症しやすい、いわゆる膝のお皿がズレる関節疾患です。これは先天的な要因による疾患で、一度発症すると自然に治癒することはありません。
そのため、完治を目指すなら外科手術が必要になるのですが、高齢になると体力の低下により手術のリスクが高くあるので、早めの決断が必要です。
軽度の「グレード1」から重度の「グレード4」までに重症度は4段階に分かれており、重症のまま無処置でいると、加齢に伴い関節炎になる恐れもあります。
目の病気
ボストンテリアは、第三眼瞼(瞬膜)が外に飛び出してしまう、いわゆる【チェリーアイ】などの眼疾患にかかりやすい犬種です。
点眼薬を用いた内科治療のほか、症状を繰り返すようなら外科手術による対応が必要になるケースもあります。
そのほか、涙の分泌量が減ることで、結膜の充血・浮腫や角膜に炎症が怒る【乾性角結膜炎】や外傷性の【角膜潰瘍】にも注意が必要です。
長生きしてもらうためにできることは?
愛犬の健康を守り長生きしてもらうためには、日常生活で健康を意識しておく必要があります。
特別な日に特別なことをするのではなく、普段から心がけ意識して行動する日々の積み重ねが、愛犬に長生きしてもらう何よりの近道です。
日々の運動と刺激が大切
ボストンテリアはとても活発で運動大好き、小型犬らしからぬ体力と運動能力を持つ犬種なので、毎日の散歩に加えドッグランや広い公園で思い切り遊ばせることも重要です。
理想としては、1回30分の散歩に1日2回連れて行ってあげましょう。
ただし、体力や運動欲が旺盛とはいえ、関節や呼吸器系が弱いので、激しい運動は極力抑えて、愛犬の様子を見ながら調整してあげてください。
食事内容に気を付ける
ワンちゃんの健康を維持するには、運動と並んで食事の管理も重要です。愛犬に与える食事は、「添加物が含まれていない」「消化に良い」など、質が高いドッグフードを選びましょう。
また、人間の食べ物はワンちゃんにとって塩分が高すぎるので、健康を守るどころか病気の原因になってしまいます。
中には、人間が普通に食べられる物でもワンちゃんにとっては有害な毒物になる食材もあるので、飼い主の食べ物とは明確に分けてください。
そのほか、ボストンテリアは体質的に肥満になりやすい犬種なのでので、成犬になったら運動とのバランスに気を付けて、摂取カロリーや量を調整しましょう。
無理なく過ごせるよう生活環境を整える
ボストンテリアのような短頭種は、呼吸効率が悪いので体温調節が苦手です。そのため、室温の管理には他の犬種以上に気を配る必要があります。
エアコンを点けっぱなしにしたうえで、設定温度は23~25℃を保つようにして、特に夏場は直接日光が当たらないように、なるべく快適に過ごせるよう室内環境を整えてあげましょう。
ワンちゃんと人間とでは体感温度が違うため、飼い主が過ごしやすくても愛犬は暑がる場合もあるので、冷感マットなどを与えるのもおすすめです。
長時間の留守番はNG
ボストンテリアはとても明るく社交的な性格をしており、小さい子やご高齢の老人がいるご家庭でも安心して飼える犬種で、多頭飼いにも向いています。
しかし、裏を返せばひとりでいるのが苦手な寂しがり屋な性格ともいえるので、長時間の留守番はあまりさせないようにしてください。
ある程度の時間なら問題ありませんが、長時間の留守番を毎日させるのは、大きなストレスになってしまいます。もし、どうしてもお留守番の時間が長くなるようなら、ペットシッターやペットホテルの利用も考えましょう
皮膚のチェックと定期的な健康診断を
小型犬で短頭種のボストンテリアは、特有のなりやすい病気があるので、定期的な健康診断と日常的なスキンシップで、ケガや病気の早期発見を心がけてください。
健康診断を受けるペースは、5~6歳のシニア期までは年1回、それ以降は年2回を目安に考えましょう。
ボストンテリアが老犬になったときの注意点は?
ボストンテリアは活発で元気な犬種ですが、老犬になれば体力や運動能力はどうしても衰えてしまいます。そうなれば、それまでと全く同じ生活は難しくなるでしょう。
では、愛犬が老犬と呼ばれる年齢になったら、どのような点に注意して生活を送れば良いのでしょうか。
食事は愛犬が食べやすいように工夫してあげる
ワンちゃんは高齢になっても、人間ほど見た目に変化が表れないため、飼い主からすればそれまでと同じように接してしまいがちです。
しかし外見からは分かりにくいものの、内臓機能が低下しているため、それまで普通に食べられていたフードが食べられなくなり、消化不良や下痢、嘔吐することも多くなります。
そのため、一般的に老犬と呼ばれる6歳頃になったら、食事や便の状態を見ながら、少しずつ食生活を切り替えていくと良いでしょう。
色の好みや食べやすさには個体差があるため、ネットの情報などを鵜呑みにせず、色々試しながら愛犬に合うフードを見つけてあげましょう。
・着色料や合成保存料などが配合されていないか
・良質な動物性タンパク質が主原料としているか
老犬期の散歩はどうすればいい?
ボストンテリアは活発な性格なので、他の犬種と比べて老犬になっても元気に遊ぶ子も少なくありません。しかし、見た目はそれ程変わらなくても、体力や筋力、運動能力は若い頃に比べて衰えているでしょう。
・1回の時間を短くし回数を増やす
・外出時、室内と外気温の差に気を付ける
愛犬の異変に気づけるように
高齢になれば、若い頃に比べて体調が悪くなることも増えていきます。愛犬に長生きしてもらうためには、体調の変化にいち早く気付き、ケガや病気の早期治療につなげることが必要不可欠です。
そのために、意識して愛犬とのスキンシップの回数を増やし、行動の変化や便の状態などを記録しておくと良いでしょう。
また、以下のような変化に気付いたら、すぐ動物病院に連れて行きましょう。
・元気がなくあまり動かない
・嘔吐を繰り返す
・頻繁に咳をする
・鼻水が止まらない
・皮膚に湿疹や変色がある
・部分的な酷い脱毛
まとめ
ボストンテリアは活発な犬種なので、いつまでも元気でいてくれるように思えます。それでも加齢とともに体力や運動能力は衰えてしまい、「気付いたら寝たきりになっていた…」ということもあるでしょう。
愛犬にいつまでも元気にいてもらうために、今回の記事の内容を参考に健康を管理してあげてくださいね。
ボストンテリアの飼い方については下記ページでも解説しています。こちらも参考になれば幸いです。
ボストンテリアの性格や特徴は?初心者向け飼い方について
著者/ブリーダーナビ編集部