ゴールデンレトリーバーのような大型犬は、成長するにしたがって体が大きく力が強くなります。
そのため、万が一他人にケガを負わせたり、事故を誘発してしまったりする可能性も否定できません。まだ制御がきく子犬のうちに、十分なしつけをしておくことは、愛犬のためにも大切なことです。
では、どのようなしつけを行っていけば良いのでしょうか?
目次
ゴールデンレトリーバーのしつけを始めるタイミング
ワンちゃんへのしつけは、早ければ早いほど良いとされています。
特にゴールデンレトリーバーのような大型犬の場合、成犬になると力が強くなり、しつけが不十分だと飼い主がコントロールできなくなってしまうこともあるでしょう。
子犬の学習能力は私たちの想像以上で、飼い主が驚くほどの速さで物事を吸収していきます。特に生後3~12週の、いわゆる「社会化期」は、ワンちゃんの一生でもっともしつけに適した時期と言われています。
そのため、ゴールデンレトリーバーを迎えてすぐしつけができるように、予め準備を整えておくことをおすすめします。
ゴールデンレトリーバーのしつけ①「人間社会に慣れさせる」
しつけの大きな目的の1つが、「人間社会に慣れさせる」ことです。人間社会で生活する以上、ワンちゃんも人間の暮らしに合わせる必要があります。
そのためにも、しつけは欠かせないのです。
社会化トレーニング
ワンちゃんを人間の社会に慣れさせるしつけが『社会科トレーニング』です。
人間社会の音や物、人といったさまざまな環境に触れさせ慣れさせることで、問題を抱えることなく日常生活を送れるようにします。
まだ右も左も分からない時期であれば、好奇心で触れることができても、一度恐怖心が生まれると警戒して近付かなくなります。こうなると、さまざまな場面で不都合が生じてしまうので、社会化を行うことが必要なのです。
例えば、日常の生活音や家族以外の人や動物、車や自転車など、少しずつ慣れさせていきましょう。
体に触られることに慣れさせる
社会化期には、人間社会に慣れさせるとともに、体に触れられることにも慣れさせておく必要があります。
慣れないまま成長すると、人間が手を差し出しただけで警戒してしまうことも。
そうなると、動物病院やトリミングサロンに連れて行っても怖がってしまい、触れることもさせてくれないでしょう。
つまり、愛犬の健康のためにもお手入れのためにも、体のどこに触れられても嫌がらないようになってもらう必要があるのです。
特にワンちゃんが嫌がる傾向にある顔付近を意識的に触れるようにすると、将来歯磨きなどのお手入れがしやすくなります。
ゴールデンレトリーバーのしつけ②「トイレトレーニング」
トイレトレーニングは、ワンちゃんを迎えてまず始めに行う必要があるしつけです。
トイレを利用しない日はないので、可能な限り早い段階で身につけてもらいましょう。
トイレの大きさや設置場所は?
ワンちゃんのトイレを用意する場合、体の大きさに合わせたサイズ選びと、家のどこに置くのか設置場所選びは大切です。
基本的にワンちゃんはきれい好きなので、不潔だったり狭かったりすると、トイレを嫌がり失敗する原因になってしまいます。
おしっこやうんちがトイレからはみ出すようであれば、狭いと思われるので、大きめの物を用意してください。また、大きく力が強いのでズレることも考えて、トイレトレーは、ゴールデンレトリーバーの体より一回りから二回りほど大きいものを用意しましょう。
トイレを設置する場所は、気が散らないでトイレに集中できるよう、静かで落ち着ける場所が適しています。ゴールデンレトリーバーは好奇心旺盛で周囲が騒がしいと失敗する確率が高くなるので、気を付けてあげてください。
排泄のタイミングやサインを把握する
自力でトイレができるようになるまでは、飼い主がトイレに連れていく必要があります。子犬の排泄頻度は高いので、愛犬の行動を観察することで排泄のタイミングを把握してください。そして、トイレに行きたそうな仕草を見せたらトイレに誘導してあげましょう。
ワンちゃんがトイレに行きたがるタイミングは、主に以下のようなものがあります。
- 寝起き
- 飲食後
- 運動後
- 床のニオイをかぐ
- その場で落ち着きなく動く
トイレトレーニングの方法は?
トイレトレーニングで重要なのは、寝床とトイレを明確に分けるという点です。
ワンちゃんはきれい好きなので、自分の寝床は極力きれいにしようとします。その習性を利用して、寝床と離れたところにトイレを設置しましょう。
そのうえで、以下の手順で進めていきます。
- 本来のトイレのサイズよりもかなり広めにペットシーツを敷き、周辺をケージなどで囲い、その上でトイレができたら大げさなくらいに褒めてあげてください。
- 成功したら少しずつ範囲を狭くしていき、最終的にトイレの大きさにしていく。
- ワンちゃんが自主的にトイレで排泄するようになったら完了。
トイレトレーニングのポイント
逆に、成功して褒めることができれば、「そこで排泄すると良いことがある」と理解してくれるでしょう。
肝心なのは最初の1回です。
ゴールデンレトリーバーは人間が大好きで、飼い主に褒められることに喜びを感じるため、成功する度に褒め続けてあげれば、トイレの習慣を身につけてくれます。
そうすると、以降飼い主の前で排泄することを嫌がり、見えないところで用を足すようになってしまうでしょう。
最悪排泄そのものを我慢するようになり、体調を悪くしてしまうこともあるので、叱らず長い目でしつけてあげてください。
ゴールデンレトリーバーのしつけ③「甘噛み・噛み癖・くわえる癖」
ワンちゃんは口で物をくわえたり噛んだりすることを日常的に行います。これは動物としての習性なので、良し悪しの問題ではありません。
しかし、子犬の甘噛みを放っておくと癖になってしまうので、問題にならないうちにしつけておく必要があります。
噛む行為のしつけ方
ワンちゃんは噛む動物なので、噛むことそのもを完全に止めさせることはできないと考えた方が良いでしょう。
噛み癖を叱ったとしても、見てないところで噛みつくことを繰り返してしまうため、噛んだら悪い物と良い物を理解させる方が確実です。
例えば、噛んでも良いワンちゃん用のおもちゃを与えることで、噛む欲求を満たしてあげれば、何にでも噛みつくようなことはしなくなるでしょう。
また、子犬の甘噛みは放置すると噛み癖になってしまうので、早いうちから対処することが望ましいです。噛みつかれて反応してしまうと面白がってしまうので、褒めることも叱ることもなく、淡々と無反応でいればそのうち止めてくれるでしょう。
くわえる行為のしつけ方
ゴールデンレトリーバーは、狩猟犬の本能で落ちている物を回収してくる習性があります。
そのため、何もしつけをしなければくわえることが癖になってしまうのは自然なことなのです。
噛み癖と同様、物をくわえるのを止めさせるために叱るっても、飼い主の目が届かないところでくわえてしまうので、根本的な解決にはなりません。
そのため、「かじっていいもの」「自分のものにしていいもの」を与え、「それ以外はダメ」と教えてあげるのが確実です。
ゴールデンレトリーバーは、飼い主に褒められるのが大好きなので、くわえて良い物をくわえたら思い切り褒めてあげましょう。そうすれば、他のものをくわえることがなくなります。
同時に、口からものを離すタイミングで「はなせ」と言い聞かせて、声かけだけでくわえたものを離すようにしつけると、より安全でしょう。
ゴールデンレトリーバーのしつけ④「飛びつきを防ぐ」
子犬や小型犬であれば問題ない飛びつき。体が大きく力が強いゴールデンレトリーバーがやるとケガをさせてしまう恐れがあります。
愛情表現の一環としてじゃれついてくるだけなので放置しがちですが、成犬になってからでは手遅れになってしまうので、子犬のうちにしつけておきましょう。
遊びながら行う飛びつきのしつけ
人間が大好きなゴールデンレトリーバーは、愛情表現のとして顔を舐めたくて飛びついてくることがあります。
これが子犬や小型犬なら問題ないものの、大型犬で力が強いゴールデンレトリーバーの成犬の場合、小さな子どもや高齢者の場合、事故に発展する可能性もあるでしょう。そのため、癖になる前に飛びつかない習慣をつけることが理想です。
ゴールデンレトリーバーの飛びつきを止めさせるには、「飛びつかずにいればご褒美がもらえる」と、覚えさせる必要があります。
2.愛犬が近くで座って顔を見上げてきたら、目を合わせて褒めながらおやつをあげます。
3.飛びついてきたら、目を合わせずに遠ざかり、2ができるまで繰り返します。
4.決して声をかけず、自発的に座って目を見てくるまで待ちます。
『オスワリ』『マテ』も有効
ワンちゃんの代表的なしつけである『オスワリ』や『マテ』も、飛びつき防止には有効です。飛びつき防止とごはん時にオスワリやマテをさせるのは、我慢させるという意味では同じようなものといえるでしょう。
ポイントは、一度指示を出したら「ヨシ」の声がかかるまで待たせて、解除の合図は極力抑えること。
大きく声をかけると興奮させてしまうので、低くゆっくりと声をかけてください。「ヨシ」の指示を出しても、落ち着いてゆっくり歩み寄るようになれば大丈夫でしょう。
ゴールデンレトリーバーのしつけ⑤「散歩のしつけ」
ワンちゃんの日課の1つである散歩を、安全に行うためにもしつけは必要です。
特に、人間好きなゴールデンレトリーバーの場合、知らない人に対しても積極的に近付いていくので、しつけができていないと周囲に迷惑をかけることになってしまうでしょう。
立ったまま待つことができるように
ご飯を食べるときなど、さまざまな場面で使われる「マテ」ですが、これは散歩時に愛犬の安全を守るためにも覚えさせたいしつけです。
まずは、安全な家のなかで飼い主の横で立ったまま待つことを教えさせます。
最初はリードを持った状態で、それができるようになったら、リードがない状態でも立ってマテができように練習しましょう。左右どちら側でもできるようになるのが理想です。
家の中でできるようになったら、散歩中に実践してみてください。ただし、外では決してノーリードにはしないように注意しましょう。
飼い主について歩く
散歩中、愛犬が勝手に歩き回らないように、飼い主についてくるようにトレーニングすることも大切です。
まずは家の中でリードをつけた状態で練習します。
飼い主の横についたまましっかり歩けるようになったら、散歩に出かけて実践しましょう。
まずは、集中できるように刺激が少ない場所を選んでください。
普通に歩けるようになったら、少しずつバリエーションを増やしていきます。急に方向転換したり止まったり、あらゆる状況に対応できるようになるのが理想です。
しつけが難しいならしつけ教室の利用も
ワンちゃんを飼う以上しつけ必要不可欠です。しかし、初心者にとっては難しいもの。中には「どうしてもしつけができない」という方もいるのではないでしょうか。
そんな方は、プロが愛犬をしつけてくれる、しつけ教室の利用をおすすめします。
しつけ教室の種類
おすすめは「飼い主も参加できるしつけ教室」
しつけ教室では、プロが専門的な知識と技術で、個々の性質にあったしつけをしてくれます。
しかし、いくら愛犬がプロの力でしっかりした子になってくれたとしても、飼い主がそれについていけなくては、満足な関係性を築くことは難しいでしょう。
飼い主であるあなた自身も、しつけ教室で成長した愛犬に見合う飼い主にならなければならないのです。
成長した愛犬をより良い方向に成長させるのも、しつけを台無しにしてしまうのも、全てはその後の飼い主次第。もしも愛犬が問題行動をするような子になってしまったら、全て飼い主の責任です。
愛犬のためを思うのであれば、ワンちゃんと一緒に飼い主さんも参加できるタイプのしつけ教室を選び、一緒に成長していくことをおすすめします。
まとめ
ワンちゃんを飼う以上、しつけは絶対に必要です。それは、賢く人懐っこいゴールデンレトリーバーでも変わりません。
周囲へ迷惑をかけないためはもちろん、愛犬の安全を守るためにも、十分なしつけを行ってください。
しつけの成功のためには性格の把握がポイントになります。ゴールデンレトリーバーの性格について詳しく解説している下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
ゴールデンレトリーバーの性格は?
またこちらのページではゴールデンレトリーバーの飼い方について様々な観点から解説しています。これからお迎えをご検討されている方は参考にしてみてくださいね。
著者/ブリーダーナビ編集部