ワンちゃんにとって大切なお手入れはいくつかありますが、耳掃除はそのうちの1つです。
しかし、耳掃除を苦手とするワンちゃんは多く、上手にやってあげることができないと悩んでいる飼い主さんも少なくないでしょう。
ここでは、ご家庭で柴犬の耳掃除を行うための方法や、おとなしくさせてくれない場合の対処法をご紹介します。
耳掃除は必要なお手入れ?
柴犬を始めとした立ち耳の犬種は、通気性が高いので耳の清潔さは比較的保たれているものの、土ぼこりや花粉で耳の中が汚れやすくなっています。
そのため垂れ耳、立ち耳に関わらず、ワンちゃんの耳掃除は欠かせないお手入れといえるでしょう。
ワンちゃんの耳の構造を知っておこう
ワンちゃんの耳と人間の耳では、構造に違いがあります。
どちらの耳にも、いわゆる耳の穴から鼓膜へと通じる『外耳道』という器官があるのですが、人間が直線的であるのに対し、ワンちゃんの耳は特殊なL字形をしています。
そのため、人間と比べて外耳道に汚れがたまりやすくなっているのです。そして、耳掃除をせずに汚れを放置していると、細菌が繁殖して炎症や感染症を引き起こす原因となってしまいます。
こうした状況を避けるためにも、他のお手入れと同様に定期的なケアが必要なのです。
正常な耳垢と問題がある耳垢の見分け方
耳垢の色 | 症状 |
---|---|
こげ茶色 | マラセチアの疑いがあります。また、酵母の影響による場合も。健康な状態でも常在する酵母ですが、量が過剰に増えてしまうと外耳炎の原因になります。べたつきき、独特な酸っぱい臭いがします。 |
黄色 | 化膿してしまった色です。原因として細菌の感染が考えられ、外耳炎を発症して膿んでしまっている疑いがあります。耳から悪臭がするだけでなく、状態によっては、固まっていたりドロドロと流れ出てくることもあるでしょう。 |
黒 | 耳ダニ(耳疥癬)の疑いがあります。ダニが耳の中で繁殖したことで、耳垢が黒っぽくなった状態です。良く観察すれば、耳道で動いている耳ダニを確認することができるでしょう。 |
耳掃除の頻度、やり方は?
ブラッシングなどのお手入れと同様、耳掃除も定期的に行う必要があります。
では、耳掃除はどのような頻度、どのようなやり方で行えばよいのでしょうか。
愛犬の耳の状態により頻度は違う
耳に汚れが溜まる頻度には個体差があるので、一括りに「週何回」と断言することはできません。
そのため、まずは愛犬の耳の状態を定期的に確認して、どの程度の頻度で汚れが気になるようになるのか、耳掃除が必要になるのか把握するといいでしょう。
まったく耳掃除をしないのも問題ですが、過度に掃除を繰り返すと炎症を起こしたりするので、耳掃除は適切な頻度で行うようにしてください。
用意が必要な道具
・洗浄液(イヤークリーナー)
洗浄液(イヤークリーナー)は、そのまま使用すると冷たいので、温めての使用をおすすめします。ワンちゃんの耳は敏感なので、冷たいまま使用するとはびっくりさせてしまうので、おとなしく耳掃除をさせてくれなくなるかもしれません。
洗浄液(イヤークリーナー)は、事前に人肌程度に温めておくことをおすすめします。
・コットン
耳掃除というと綿棒を連想する方もいると思いますが、ワンちゃんに使用するのはおすすめしません。上で解説したように、耳道の構造もありワンちゃんに綿棒を使用すると、耳をキレイにするどころか奥に耳垢を押し込んでしまうだけになってしまいます。
そのため、ワンちゃんの耳掃除にはコットンを使用すると良いでしょう。
耳掃除の手順
1.洗浄液(イヤークリーナー)を耳道に垂らす
耳の穴に洗浄液を流し込んでください。量はタップリと、耳の穴から溢れるくらい注いでください。
2.馴染ませるためにマッサージする
洗浄液(イヤークリーナー)を馴染ませるために、マッサージしていきます。耳の根元のコリコリとした部分を親指と人差し指で挟んで、優しく揉み解してあげてください。
上手にできると、「クチュックチュッ」という水音が聞こえてきます。
3.耳の中のイヤークリーナーを外に出させる
マッサージを終えたら、洗浄液を耳から出すため首を振らせてください。
しっかり頭を振らせれば耳の穴から洗浄液が出て行きますが、頭を振ってくれないようなら耳の中に軽く息を吹きかけましょう。それで、反射的に首を振ってくれます。
4.コットンで汚れを優しくふき取る
耳から洗浄液(イヤークリーナー)を排出したら、浮き出た汚れをコットンで拭き取ってください。外側が汚れている場合は、洗浄液を含ませたコットンを押し当てて、優しく拭き取るといいでしょう。
耳掃除を嫌がる!そんな時の対処法
耳はワンちゃんの敏感な部分なので、耳掃除を嫌がる子は珍しくありません。
では、おとなしく耳掃除をさせてくれない場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
その対処法をご紹介します。
まずはリラックスしてもらいましょう
敏感な部分を触られることに緊張して、必要以上に硬くなってしまう子もいます。
そのため、耳掃除を始める前に、まずは愛犬をリラックスさせることから始めましょう。
耳掃除の前に、マッサージをしたり優しく声をかけたりして犬が落ち着いたのを確認してから始めてください。
ご褒美で耳掃除を好きになってもらう
耳掃除が苦手な子には、おやつなどのご褒美を利用して、「耳掃除をすると良いことがある」と認識させるのも有効です。グッズを見ただけで逃げ出すような子でも、意識をご褒美で上書きしてあげれば、おとなしく耳掃除させてくれるようになるでしょう。
耳掃除は焦らない
耳掃除を嫌がるワンちゃんは珍しくありません。だからといって、押さえつけたりして無理矢理すませようとするのは逆効果です。余計に耳掃除を嫌うようになりかねません。
耳掃除はさせてくれないのが当然と考え、焦らず気長に、できる範囲で慣れさせていくといいでしょう。
どうしても嫌がるときは獣医さんに診てもらいましょう
抵抗を示すワンちゃんを、無理なく耳掃除するのは、余程慣れている飼い主さんでも難しいでしょう。何とか耳掃除ができたとしても、飼い主と愛犬との信頼関係に傷がついてしまうかもしれません。
そうならないためにも、無理と判断したら、動物病院に連れて行き、プロである獣医さんにお願いする選択肢も用意しておくことをおすすめします。
まとめ
ワンちゃんの耳はとてもデリケートな部分です。
耳掃除をしているつもりでも、不慣れだと傷付けてしまう可能性もあり、キレイにするどころか外耳炎などの原因を作ってしまうかもしれません。
そのため、場合によってはトリマーさんや獣医師さんに見てもらうという選択肢も用意しておくと良いでしょう。
今回の記事を参考に、無理のない範囲で、焦らず耳掃除に慣れてください。
その他柴犬に必要な被毛のケアなどについてこちらでご紹介しています。ぜひご覧ください。
初心者向け柴犬の飼い方
著者/ブリーダーナビ編集部