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ワンちゃんは、自分の急所であるお腹を見せることは基本的にありません。しかし、いわゆる「へそ天」のように仰向けでお腹を見せてひっくり返ることがあるのは、多くの飼い主さんが見たことのある姿でしょう。
では、なぜワンちゃんは自分にとって不利な体勢になることがあるのでしょうか?
今回は、ワンちゃんがお腹を見せて仰向けに寝っ転がる意味や理由について解説していきます。
目次
①仰向け、お腹を見せる:安心している
ワンちゃんは、基本的に眠る時でも仰向けになることはないので、普通に考えれば不自然な格好です。しかし、慣れた生活空間で危険がないことが分かっているのなら、仰向けになりリラックスすることがあります。
愛犬が尻尾を伸ばし脱力してお腹を見せているようなら、それは安心しきってくつろいでいる状態です。
これは、家という空間、家族という群れに対して安らぎを感じている証といえるので、仰向けで熟睡しているようなら、極力そっとしておいてあげてください。
②仰向け、お腹を見せる:甘えている
飼い主の目の前で仰向けになって見つめているようなら、それは飼い主を信用して甘えている状態です。この時のワンちゃんは飼い主とのスキンシップを求めて「甘えたい」「撫でてほしい」と思っているので、お腹を撫でてあげるととても喜んでくれます。
この時に愛情表現として軽く甘噛みしてくることもありますが、嫌がっているわけではないので心配はいりません。ただし、噛み癖になると困るので、度が過ぎると感じたら止めさせることも必要です。
注意点として、仰向け寝は脱力している状態なので、お腹を撫でると腹部が圧迫されておもらしすることもあります。多少であれば大目に見てあげてください。
③仰向け、お腹を見せる:服従のポーズ
仰向けに寝転がっていても、「視線を合わせない」「耳を後ろに倒す」「しっぽをお腹に巻き込む」といった状態であれば、それは服従や降参のポーズです。
四足歩行の動物にとってお腹は弱点なので、そこを無防備に晒すということは、目の前の相手に対して完全に白旗を上げていることになります。
例えば、自分の悪さが飼い主にバレた時、叱られてお腹を見せるようなら、反省や服従の意志を示している証です。ワンちゃんによっては、飼い主の表情などから察して、叱られる前にこのポーズを取ることもあります。
基本的にワンちゃんの「ごめんなさい」は、反省ではなく許してもらうことを期待した状態です。許してもらえるという期待が隠しきれていないこともあり、そんな時は尻尾を控えめに振っています。
④仰向け、お腹を見せる:暑い
ワンちゃんは人間と違い体表に汗腺が少ないため、暑い時はパンティング(舌を出してハァハァ)することで、体温を下げようとします。しかし、これだけで十分に体温調整ができない場合は、仰向けになることでお腹を冷やし体温を下げようとするのです。
つまり、ワンちゃんが仰向けになりお腹を見せる理由の1つは、「暑いから」ということになります。
特に暑さに弱い犬種の場合、夏場には熱中症になる危険があるので注意しましょう。
仰向けに寝転がり「ハアハア」と舌を出しながら呼吸していたら、室内の温度を下げたり涼しい場所に移動させるなどして、体を冷やしてあげてください。同時に、水分補給も忘れずに行いましょう。
⑤仰向け、お腹を見せる:背中が痒い
人間と同じように、ワンちゃんも背中が痒くなることがあります。しかし、ワンちゃんの骨格上、前足で背中をかくことはできません。そのため、仰向けに寝転がり床に背中をこすりつけてゴロゴロくねくねと体を動かすことで背中をかくのです。
⑥仰向け、お腹を見せる:匂いを消そうとしている
人間の1000倍もの嗅覚を持つといわれるワンちゃんにとって、匂いはとても重要です。そのため、体に嫌いな匂いが付いた場合、何とかしてその匂いを消そうとして背中を地面に擦りつけることがあります。
例えばシャンプー後や洋服を着させた時、床をゴロゴロ転がり回るようなら、自分の体から匂いを消したいと思っている可能性が高いです。ワンちゃんにとっては、シャンプーや洗剤の匂いは好ましくないのでしょう。
また逆に、自分が好きな匂いを付けるために、仰向けでゴロゴロすることもあります。
上述したように、人間とワンちゃんとでは良いと思う匂いがまるで違うので、飼い主が臭いと思う匂いでも、ワンちゃん自身にとっては良い匂いなのかもしれません。
仰向け抱っこのしつけ方
飼い主の足の上で仰向けになり身を委ねた状態を「リラックスポジション」といいます。
リラックスポジションができるようになれば、例えば動物病院で診察してもらう時など、抵抗することなく大人しくしてくれるはずです。
では、ワンちゃんを仰向けにすることにはどのようなメリットがあり、どうやって教えていけばよいのでしょうか。
仰向けのメリット
ワンちゃんにとってお腹を見せることは、自分の弱点を晒すことになるので、基本的に仰向けになることはありません。それでもワンちゃんを飼ううえでお腹を上にしなければならない状況は度々訪れます。
例えば、動物病院での診察時、仰向けにしないと分からないお腹周りのチェックをするときなど、素直に仰向けになってくれればワンちゃんの負担も軽減できます。
必要な時に抵抗なく仰向けになってもらうためにも、本来ならリスクにしかならない仰向けの姿勢に子犬の頃から慣れさせるようしつけておくのはメリットといえます。
しつけ方①:まずは「ふせ」を覚える
愛犬を仰向けにするためのしつけは、段階を踏んで教えていく必要があります。
まずは、基本姿勢である「おすわり」を覚えさえ、それから「ふせ」ができるようにしつけてください。「ふせ」ができるようになれば、第一段階は終了です。
ただし、中にはふせの姿勢になることに抵抗を示す気の強いワンちゃんもいるので、習得するにはある程度の時間は必要かもしれません。
できないからといって、足を引っ張ったり上から抑えつけたりなど、無理に「ふせ」の姿勢にするのは絶対にやめてください。
「おすわり」「ふせ」のしつけ方に関しては下記ページで詳しく解説しています。
【初心者向け】子犬のしつけはいつから?順番としつけ方
しつけ方②:「ふせ」から「ごろん」で仰向けに
「ふせ」ができるようになったら、ふせの姿勢から仰向けに寝転がらせる「ごろん」のしつけをしていきます。しつけを始める前に、転がっても痛くないようにマットを敷いたり、柔らかい床の上に移動したりしましょう。
準備ができたら「ふせ」をさせ、おやつを手にしてワンちゃんの鼻先に持って行ってください。おやつに注目したら、そのまま手を犬の背中の方へ動かしてきましょう。上手くいけば、おやつを追って自然と寝転んだ状態になります。寝転んだら、すぐに「ごろん」と声にして、手に持ったおやつを与えて褒めてあげてください。そして、軽くお腹を触ります。
これで「ごろんはいいことがある」と思わせることができるので、繰り返せば「ごろん」覚えてくれるでしょう。覚える目安は1週間ですが、愛犬のペースに合わせて無理なく教えてください。
まとめ
眠る時も仰向けにならないワンちゃんにとって、お腹を見せた姿には何かしら意味があります。お腹を見せる理由を知れば、愛犬がどんな気持ちでいるのか、より理解することができるでしょう。
愛犬を仰向けにする必要がある場面もあるので、「ごろん」ができるようにしつけておくことをおすすめします。ただし、前提として「おすわり」や「ふせ」といったしつけを身に付ける必要がある点には注意が必要です。
しつけは愛犬に覚えてもらうまで大変ですが、難しいと思うのなら一度ブリーダーの話を聞いてみてはいかがでしょうか。ワンちゃんの繁殖・飼育のプロであるブリーダーなら、初心者にも分かりやすく説明してくれると思います。
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著者/ブリーダーナビ編集部