犬種にもよりますが、ワンちゃんの耳は比較的トラブルが起こりやすい部位です。
日頃からある程度のお手入れをしてあげることで清潔な状態を保ち、外耳炎などの耳の病気を予防する必要があります。
今回は、ワンちゃんの耳のお手入れについて、詳しく解説していきます。
耳垢や臭い原因って?
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ワンちゃんの耳は蒸れやすく耳垢が溜まりやすい構造になっています。
そのため、定期的にお手入れしないと病気などのトラブルが起こり、健康を害するかもしれません。
耳の構造上トラブルが起きやすい
犬の耳の構造は、人間と同じように外耳、中耳、内耳の3つに分けられます。しかし、外耳道という耳の穴から鼓膜までの形状が、人間とは大きく違っています。
人間の外耳道は真っ直ぐですが、犬の外耳道は途中から大きく折れ曲がったL字型をしており、奥が見えません。この折れ曲がった構造のため、一度水が入ってしまうとなかなか抜けにくく、蒸れて外耳炎など耳のトラブルになりやすいのです。
垂れ耳や耳毛が多い犬種は特に蒸れやすいので、耳のトラブルには注意しましょう。
耳掃除を怠ると外耳炎などの原因に
上述したようにワンちゃんの耳は構造上、トラブルが起こりやすくなっています。通常であれば、耳垢は弱酸性で殺菌作用や皮膚を保護する役割があるのですが、蒸れると細菌が繁殖しやすい環境になってしまうので、予防のために耳掃除は欠かせません。
耳になんらかの症状が出ている時は、耳垢の色や質感が病気特有のものに変化します。
耳をチェックする時は、耳垢の色や質感、臭い、外耳に赤く腫れたところはないかを確認して、異常があるようならすぐに動物病院に連れて行きましょう。
耳掃除の方法と頻度
「耳掃除の大切さは分かったけど、どうやればいいのか分からない」という飼い主さんも少なくないでしょう。
そんな方のために、耳掃除に必要なグッズや回数のほか、注意点やNGポイントを解説します。
耳掃除に必要なグッズ
・コットン
イヤークリーナーを染み込ませて使用します。ガーゼやウェットティッシュでも代用可能です。専用の耳掃除シートもあるので、そちらを利用するのも良いでしょう。
・イヤークリーナー
アルコールを含むものは、皮膚を傷める可能性があるのでNG。冷たい状態で使用するとワンちゃんを驚かせてしまうので、前もって温めておくと良いでしょう。
一般的なローションタイプの他に、パウダータイプも販売されています
耳掃除のやり方と注意点
ワンちゃんの耳掃除では、耳の内側はもちろん外側もきれいにしてあげましょう。
まずは洗浄液を含ませたコットンで、耳の外側の汚れを拭き取ります。この際、力を入れると皮膚を傷めてしまったり、ワンちゃんを痛がらせたりすることになるので、優しくマッサージするように心掛けてください。どうしても汚れが気になるようなら、洗浄液に浸したコットンを当てて、汚れを浮かせてから改めて拭き取りましょう。
耳の内側は耳の穴に洗浄液を適量入れて、耳の付け根を優しくマッサージしてください。上手にできていると、耳のなかから「クチュクチュ」という音がして汚れが浮いてきます。
この時点でワンちゃんを解放すると、頭を振って耳の中の洗浄液を出すので、これをコットンで拭き取ってあげましょう。頭を振らないようなら、耳に息を吹き付けると頭を振ってくれます。
ただし、無理に奥の方までやろうとすると、耳垢を押し込んでしまいトラブルになってしまう場合があるので、耳奥は動物病院で診てもらった方がよいでしょう。
<注意点>
人間の耳掃除と同様に、綿棒を使おうと考える方もいるでしょうが、これはワンちゃんの耳掃除にはNGです。綿棒を使うと、きれいするどころか逆に耳垢を押し込んでしまうことになりかねません。また、傷や炎症がある場合は悪化させてしまうことにもなります。
どのくらいの頻度で行えばいい?
週に1回は耳の状態を確認して、汚れが気になるようなら耳掃除をするようにしましょう。
10日に1回程度が目安で、これ以上少ないと耳の汚れが酷くなってしまい、多すぎてもワンちゃんの弱い皮膚を傷付けかねません。
耳掃除をしてもすぐに汚れてしまう場合や耳が臭う、耳道が腫れている場合は、外耳炎の可能性があるので動物病院で診察してもらいましょう。
嫌がる、かみつく場合はどうすれば?
いざ耳掃除をしようとしても、ワンちゃんは大人しく掃除をさせてくれないかもしれません。
基本的に、ワンちゃんは耳掃除を嫌がるもの。では、耳掃除を嫌がるワンちゃんにはどうやって対処すればよいのでしょう。
耳掃除を嫌がる時の対処方法
嫌がるワンちゃんを押さえつけて、無理に耳掃除をしようとするのは、より抵抗が強くなるので逆効果です。
他のお手入れやしつけと同様に、まずは耳掃除に良いイメージを持ってもらうことからはじめましょう。
具体的には、マッサージをしたり優しく声をかけたり、リラックスした状態をつくってください。過度に嫌がる子には、おやつなどのご褒美を用意して「耳掃除をすると良いことがある」という条件付けをするのも有効です。
このほか、細かいことですが、イヤークリーナーなどの洗浄液は使用する前に人肌程度に温めておくとよいでしょう。顔の周りはただでさえ敏感なので、冷たいままだとワンちゃんが驚いて、逃げ出してしまうかもしれません。
恐怖心や嫌悪感など、可能な限り愛犬への負担を減らし、リラックスした状態を作ってあげれば、苦手な耳掃除も素直に受け入れてくれるようになるでしょう。
特にケアしたい犬種
耳の形状などの理由で、中には耳のケアが特に大切な犬種も存在します。
では、どのような特徴を持つ犬種が、耳のトラブルを起こしやすいのでしょうか。
耳のトラブルが起きやすい犬種とその理由
・耳道が狭い犬種
パグやブルドッグなどの短頭種は、他の犬種よりも耳道が狭く通気性が悪いので、蒸れやすい傾向があります。そのため、耳の状態確認と耳掃除はマメに行ってください。
・耳垢が多い犬種
シーズー、ウエストハイランドホワイトテリア、アメリカンコッカースパニエルといった犬種は、耳垢が多いので、他の犬種よりも耳掃除を丁寧に行うようにしてください。特に梅雨や夏場は蒸れやすくなるので、気付いた時に確認だけでもしておきましょう。
・耳毛が多い犬種
シュナウザーやプードルは耳毛が多いので、耳道の通気性が悪くなりがちです。少しでも通気性を良くするために、耳周辺の毛のお手入れは小まめに行ってください
・垂れ耳の犬種
レトリバーやキャバリアなどの垂れ耳の犬種は、自分の耳が耳道を塞ぐため、立ち耳と比べて耳の中が蒸れやすくなっています。そのため外耳炎になるリスクが高く、他の犬種以上に耳のお手入れを丁寧にしてあげましょう。
まとめ
耳はワンちゃんの体の中でも汚れやすい部分で、犬種によっては蒸れやすくトラブルのリスクが高くなります。そのため、健康を守るためにも、定期的なケアで清潔に保つことが重要です。
今回の記事を参考に、無理のない範囲でお手入れしてあげてください。
お手入れに関して疑問やお悩みがあるようなら、一度プロのブリーダーからお話を聞いてみるのもいいでしょう。垂れ耳や耳毛が長い犬種など、特に耳のケアが大事な犬種は、迎える前にやり方や注意すべきポイントを確認しておくことをおすすめします。
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著者/ブリーダーナビ編集部