マイクロチップって何?
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飼い犬の迷子防止のため、首輪に名札をつけている人は多いのではないでしょうか?
しかし、災害時などふとした拍子に取れてしまい、連絡がつかなくなることも少なくありません。
そこで、おすすめしたいのが「マイクロチップ」の埋め込みです。
マイクロチップとは、ワンちゃんの体に埋め込む犬の身分証明書のようなもの。
「埋め込む」という言葉に一抹の不安を感じる方もいるかもしれませんが、世界的に見てもオーストラリアや欧米などで広く浸透しています。日本でも少しずつ普及率が上がってはいるものの、まだまだ決して高いとはいえない状況です。
マイクロチップの利用方法
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マイクロチップは、直径2mm長さ12mmの円筒形の生体適合ガラスで覆われた、「IC」「コンデンサ」「電極コイル」で構成されている「電子標識器具(電子タグ)」です。
チップには、識別のための15桁の数字が記録されており、専用の読み取り器(リーダー)を使うことで、「犬の情報」「飼い主の名前」「住所」「電話番号」といった情報を読み取ることができます。
本体寿命は25〜30年といわれており、電池交換の必要がなく外部からの衝撃で壊れる心配もないため、一度埋め込んでしまえば永久的に使用することが可能です。
日本国内では4社がマイクロチップを販売していますが、どのメーカーのものであってもISO規格(国際標準化機構)のリーダーであれば読み取ることが可能です。
現在は、以前に比べて読み取り体制が強化されており、動物愛護センターや保健所など、関係行政機関でのマイロチップ読み取り機器設置の導入が進められています。
・年齢や費用
ワンちゃんの場合、個体差はあるものの生後2週間頃であればマイクロチップの埋め込みが可能です。
手術費用は動物病院によって異なり、一般的には数千円~1万円程度。これとは別に、情報登録料として別途1,000円かかります。また、施術時に痛がるようなら麻酔を使うこともあり、その場合は麻酔費用が追加されます。
自治体によっては、マイクロチップ推進事業として費用の一部助成を行っているところもあるのでお問い合わせください。
ワンちゃんの体に埋め込むの?
マイクロチップは、一般的な注射針より太い専用のインジェクター(チップ注入器)を使い、肩甲骨周辺や首の後ろの皮下部分に注射して埋め込まれます。
施術はほんの数秒で若干の痛みがあるものの、基本的に麻酔は使いません。ただし、暴れたり痛がったりして大人しくしてくれない場合は、麻酔してから施術することも可能です。
稀に、埋め込まれたチップが皮下組織で多少動くこともありますが、大きく迷走することはなく、施術後の障害や副作用もないので安心してください。
・どこで対応してもらえる?
マイクロチップの埋め込みは医療行為なので、獣医師免許が必要になります。まずは、最寄りの動物病院や獣医師にマイクロチップの件を相談するといいでしょう。
個人的に依頼する以外にも、毎年秋の動物愛護週間に開催されている、無料でマイクロチップを装着してくれるイベントへの参加もおすすめです。イベント情報は、地域誌やインターネットに掲載されているので、興味があれば確認してみてください。
埋め込むだけではダメ!登録も忘れずに
マイクロチップを埋め込んだら、チップに記録された飼い主の住所・氏名・連絡先・愛犬の名前を、「動物ID普及推進会議(AIPO)」のデータベースに登録する必要があります。
ただし、登録は病院ではできません。
マイクロチップのデータ登録は、情報を記入したデータ登録用紙を日本獣医師会事務局(AIPO : 動物ID普及推進会議)に郵送する必要があります。その後、登録が完了した旨を報告する「登録完了通知ハガキ」がお手元に届くので忘れずに確認してください。
登録が完了したら、リーダーで読み込むことで、データバンクの動物愛護ID普及推進会議(AIPO)で登録情報を照会できるようになります。これで、万が一愛犬が迷い犬になっても、情報を辿って飼い主と連絡が取れるようになり、無事帰ることができるようになるでしょう。
引っ越しなどの理由でマイクロチップの登録情報が変更になった場合は、情報変更を届け出なくてはならないので、気を付けてください。
愛犬との海外旅行にはマイクロチップが必要?
日本でのマイクロチップの普及はまだまだこれからですが、世界的に見ると、ペットのマイクロチップの登録は常識になりつつあります。そうした流れもあり、海外ではマイクロチップがなければワンちゃんの入国を許可しない国も増えてきました。
一方、日本へ入国するペットには、マイクロチップなどで確実に個体識別をしておくことが義務づけられています。
著者/ブリーダーナビ編集部