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ワンちゃんを飼ううえで最大の心配事の1つに、病気の問題があります。
愛犬の健康を守り、少しでも長く生きてもらうためには、どんな病気になりやすいのか知っておく必要があるでしょう。
では、ラブラドールレトリーバーはどんな病気になりやすいのでしょうか。
目次
ラブラドールレトリーバーがかかりやすい病気は?
- 股関節形成不全
- 胃捻転(胃拡張胃捻転)
- 外耳炎
- 膿皮症
- 甲状腺機能低下症
- 白内障
- 糖尿病
- リンパ腫
ラブラドールレトリーバーの平均寿命
ラブラドールレトリーバーの平均寿命は10~12歳です。大型犬全体の平均寿命が11.1歳なので、およそ平均的といえるでしょう。ただし、被毛の色によって若干寿命が異なることが分かっており、チョコレートラブラドールだけ平均寿命が10.7歳とやや短くなっています。
ラブラドールレトリーバーの寿命や、長生きさせるためのポイントについては、下記リンク先のページで解説しています。本記事の内容と合わせてご覧ください。
ラブラドールレトリーバーの平均寿命は?長生きのためにできることも
ラブラドールレトリーバーに多い足の病気「股関節形成不全」
股関節形成不全は、股関節部分の骨が変形することで関節がかみ合わなくなる病気です。
大型犬や超大型犬に発症することが多く、主に左右両方の後ろ足の股関節に発症します。
股関節形成不全の原因と症状
主な原因は、遺伝的な問題のほか、成長期の栄養や運動といわれています。
症状は生後4~12ヶ月頃に確認されることがほとんどですが、2~3歳の成犬になってから症状が出ることもあります。
立っている、または歩いているときに以下の様子が確認できたら、この病気を疑ってください。
- 立ち上がるのが遅い
- 立っているとき、後ろ足の左右の接地点間隔がせまい
- 運動を嫌がる
- 座ると横座りになる
- 腰を振って歩く(モンローウォーク)
- 足をつっぱって歩く
- ウサギ跳びのような歩き方をする
股関節形成不全の治療
ワンちゃんの年齢や症状などで選ばれる治療法は異なり、大きく「内科的(保存的)治療」と「外科的治療」に分けられます。
内科的治療は、鎮痛剤やレーザーを使った痛みの軽減をしながら、運動や食事で体重を管理し改善を試みます。内科的治療では改善がみられない場合、「骨盤3点骨切り術」「股関節全置換術」「大腿骨頭切除術」といった外科治療を行います。
股関節形成不全の予防法
股関節形成不全の原因が遺伝の場合、予防方法はありません。
しかし、食事や運動が過剰な場合も原因になるので、予防のために飼い主がしっかりと管理してあげると良いでしょう。
また、家の床がフローリングのような滑りやすい素材の場合、股関節に負担がかかるので、絨毯やカーペットを敷いてあげてください。同様に、足裏の毛が伸びても滑りやすくなるので、定期的にカットしてあげましょう。
ラブラドールレトリーバーに多い胃の病気「胃捻転」
胃捻転は、文字通り胃が捻じれてしまう病気で、大型犬に多く見られます。場合によっては、胃の捻転により血管が圧迫され血流が滞ってしまうため、重度のッショック症状から最悪死亡することもあります。
胃捻転の原因と症状
はっきりとした原因は不明ですが、何らかの理由による胃拡張が胃捻転を引き起こすといわれています。胃拡張は、一度に大量の食べ物や水を摂ったり、食後に激しい運動をすることで発症することがあります。
胃が拡張すると、胸からお腹にかけて外から見ても分かるほど大きく膨らみます。嘔吐もできずぐったりとして多量のよだれを垂らしているようなら、すぐ動物病院に連れて行ってください。
症状が進行すると、呼吸困難や脈圧の低下といったショック症状を起こし、数時間で死亡に至ることもあります。
胃捻転の治療
捻転した胃を元の状態に戻すため、口からチューブを挿入する、太い注射針を胃に刺すなど、胃の空気を抜いて減圧処置をします。
ショック状態が起きている場合は、ステロイドの投薬や静脈への点滴、酸素吸入など、救急治療を行います。また、場合によっては胃を元に戻し再発を防ぐために、開腹手術を行うこともあります。
胃捻転の予防法
原因がハッキリしているので、食事管理や食後の行動に注意してあげましょう。
食事の回数を2回以上に分けるだけでも予防になります。
特に暑い時期は胃内でガスが発生しやすいため、注意が必要です。
ラブラドールレトリーバーに多い耳の病気「外耳炎」
人間も患うことがある外耳炎ですが、ワンちゃんは耳道の構造上なりやすいので、気を付ける必要があります。特にラブラドールレトリーバーのような垂れ耳の犬種は、湿気がこもりやすいので定期的なお手入れと確認が必要です。
外耳炎の原因と症状
湿気や寄生虫、汚れが原因で発症する、耳道の炎症です。
炎症による痛みと痒みで、しきりに首を振ったり傾けたり、後足で耳をかくようになります。
飼い主が確認できる症状として、耳の赤みや腫脹、悪臭、耳垢の増加などがあります。
症状が進行すると、中耳炎になることもあります。
外耳炎の治療
原因を特定した後、それを取り除く治療を行い炎症を抑えていきます。
汚れが原因なら耳道内の清浄を行い、寄生虫が原因の場合は駆虫薬を使用します。アレルギーなどの基礎疾患がある場合は、並行してそちらの治療も行いっていきます。
外耳炎の予防法
外耳炎は、犬全体が発症しやすい病気で、体質によっては慢性化したり再発を繰り返したりするので、徹底した予防を心がけましょう。
外耳炎を予防する基本は、耳を清潔に保つことです。ただし間違ったやり方では、逆に外耳炎を誘発させる恐れがあるため、正しいお手入れをしてあげてください。
また、日頃から耳垢の量や色、耳の臭いをチェックして、異変を感じたらすぐ動物病院で診てもらいましょう。
ラブラドールレトリーバーに多い皮膚の病気「膿皮症」
ワンちゃんに最も多く見られる皮膚疾患の1つで、皮膚が細菌に感染することで引き起こされる、再発が非常に多い病気です。皮膚に湿疹ができて、痒そうに体を掻いたり、湿疹やニキビのような膿疱ができたりします。
特に、湿気の多い夏場に発症することが多いです。
膿皮症の原因と症状
原因となる細菌には、「黄色ブドウ球菌」「レンサ球菌」などいくつか種類があり、何らかの理由で皮膚のバリア機能が低下すると発症してしまいます。原因となる細菌は常在菌で、健康な状態であれば害はありません。
特に脇や顔、内股、指間などで発症することが多く、湿疹、赤み、かゆみ、脱毛、フケなどの症状が現れ、患部をなめたり引っかくことで悪化する恐れも。
重症化すると、膿瘍や発熱、痛みを伴うこともあります。
膿皮症の治療
抗生物質の投与が主な治療方法となります。
症状の程度によっては、お薬とシャンプーを併用した治療が行われたり、シャンプーのみで症状を維持する場合もあります。
基礎疾患がある場合は、並行して原因となる疾患を治療していきます。
膿皮症の予防法
原因となる細菌の繁殖を防ぐために、清潔を心掛けましょう。高温多湿な環境は細菌の繁殖を促すので、特に夏場は注意が必要です。
また、日頃からの適切なシャンプーやブラッシングなどのケアを心がけ、皮膚に赤みやフケ、カサブタなどの異常がないか、こまめにチェックしましょう。
ラブラドールレトリーバーに多い内分泌系の病気「甲状腺機能低下症」
甲状腺の構造的、機能的な異常により、細胞の代謝や活動を活発にする、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。高齢の大型犬に多くみられます。
甲状腺機能低下症の原因と症状
抗体が自らの甲状腺を破壊してしまう免疫の異常が原因の場合と、他の病気が原因の場合があります。また、原因不明で突然甲状腺が萎縮してしまうこともあるようです。
甲状腺ホルモンは体の代謝に関係するホルモンなので、不足すると体の機能が鈍くなり、以下のようなさまざまな症状が現れます。
- 元気がない
- 徐脈
- 肥満
- 脱毛
- 嗜眠
- 低体温
- 皮膚への色素沈着
- 顔つきがぼんやりする
- 神経症状
甲状腺機能低下症の治療
不足しているホルモンを補充するため、甲状腺ホルモン薬を投与することで治療します。投薬量には個体差があり、少なすぎても効果はなく、多すぎると悪影響が出てしまいます。
同じ個体であっても加齢により変化するので、定期的な血液検査が必要です。
基本的には永続的な投与が必要ですが、ほかの病気が原因の場合、その病気が完治すれば回復することがあります。
甲状腺機能低下症の治療
不足しているホルモンを補充するため、甲状腺ホルモン薬を投与することで治療します。投薬量には個体差があり、少なすぎても効果はなく、多すぎると悪影響が出てしまいます。
同じ個体であっても加齢により変化するので、定期的な血液検査が必要です。
基本的には永続的な投与が必要ですが、ほかの病気が原因の場合、その病気が完治すれば回復することがあります。
甲状腺機能低下症の予防法
甲状腺機能低下症を予防する明確な方法は残念ながらありません。病状の進行は比較的ゆっくりなので、早期発見・早期治療により病状の進行を遅らせることが重要です。
ご自宅では、ワンちゃんの行動や皮膚の状態をこまめにチェックしましょう。
ラブラドールレトリーバーに多い目の病気「白内障」
眼球にある水晶体というレンズが白く濁ることで、目が見えなくなってしまう病気です。
人間も患う病気ですが、人間とワンちゃんとでは、病気になる理由が少し違うようです。
白内障の原因と症状
白内障は、水晶体のタンパク質が変性して白く濁ってしまう病気ですが、なぜそうなるのかは分かっていません。
人間も患うことがある白内障ですが、ワンちゃんの場合は遺伝が原因となる場合が多く、それ以外ではほかの目の病気から続発する、糖尿病が原因で発症する場合などが挙げられます。
水晶体の白濁は徐々に進行していくため、初期は視力が低下する程度ですが、最終的には視力を完全に失うことになります。
「歩行がぎこちなくなった」「よくぶつかるようになった」など、歩く際に何らかの異常があるようなら、白内障を疑ってください。
白内障の治療
白内障は内科的治療では完全に治すことができません。
そのため、症状が初期の段階であれば、点眼薬により病状の進行を遅らせる治療が行われます。病状が進行し失明した状態になると、外科手術により白濁した水晶体を取り除き新たな眼内レンズを入れることで、視力を取り戻すことができます。
ただし、ワンちゃんの白内障の手術は高い専門性が必要なので、白内障を患ったら一度かかりつけの動物病院で相談してみましょう。
白内障の予防法
水晶体のタンパク質が変性する理由が不明なので、白内障の予防方法はありません。そのため、早期発見による病状の進行を遅らせる治療が、最善の手段といえるでしょう。
ご自宅で目の色や行動をつぶさにチェックするとともに、定期的な健康診断を受けることが大切です。
黒目が白く濁ったり歩行異常があるようなら、早めに動物病院で診察してもらいましょう。
ラブラドールレトリーバーに多い遺伝性の病気「糖尿病」
血糖値を調節するインスリンの働きが不十分で、高血糖状態が続きさまざまな症状が現れる
病気です。高齢になると発症しやすくなります。
糖尿病の原因と症状
糖尿病の原因は大きく分けて2つ。膵臓のインスリン分泌量が不足する場合(I型糖尿病)と、インスリンに対する身体の反応が鈍くなっている場合(II型糖尿病)に分かれます。
ワンちゃんの糖尿病はほとんどがI型糖尿病といわれており、発症した場合は生活のためにインスリン注射が欠かせません。
初期症状として、「多飲多尿」「異常な食欲」「体重の減少」が挙げられます。症状が進行すると、「食欲の低下」「元気がなくなる」「嘔吐・下痢」などの症状を引き起こし、重症になると「神経障害」「昏睡」といった状態になり、最悪死に至ります。
また、白内障や腎疾患、肝疾患、細菌感染による皮膚の疾患など、さまざまな合併症を伴うことが少なくありません。
糖尿病の治療
多くの場合、血糖値のコントロールのためにインスリンの投与が行われ、そのうえで症状に合わせた治療が行われます。
軽度であれば食事療法や運動療法でコントロールが可能です。
糖尿病の予防法
予防には、定期的な血液検査や尿検査が有効です。合わせて、愛犬の飲水量や尿量、体重のチェックを自宅で行うことをおすすめします。また、日常生活での食事や運動の管理をしっかりと行い肥満を予防するのも有効です。
メスの場合は避妊手術をすることで発症率を低下させられますが、術後は肥満になりやすくなるので注意しましょう。
ラブラドールレトリーバーに多い腫瘍「リンパ腫」
白血球の1つであるリンパ球が癌化する血液癌の一種で、6歳以上の高齢のワンちゃんに発症が多いとされています。ワンちゃんの場合、リンパ節に腫れがみられる「多中心型リンパ腫」になることがほとんどです。
リンパ腫の原因と症状
原因ははっきしていません。
「多中心型リンパ腫」を患うと、顎、脇の下、内股、膝の裏側など、体表リンパ節が腫れてしまいます。そのほかの部位に発症した場合、下痢や嘔吐、咳や呼吸困難、湿疹や脱毛などの症状がみられます。
また重篤化すると、免疫不全や食欲不振、削痩などさまざまな症状を引き起こします。
リンパ腫の治療
リンパ腫は血液の癌なので、治療には抗がん剤が用いられます。
ただし、抗がん剤には嘔吐や下痢、食欲不振、血球の減少などの副作用が伴うため、慎重に判断する必要があるでしょう。
病状の進行度合いによって、期待できる効果や治療費が変わってくるので、かかりつけの獣医師に相談のうえ治療にのぞむことが重要です。
リンパ腫の予防法
明確な原因が分かっていないため発症を予防するのではなく、病気の早期発見・早期治療が重要になります。
日頃から愛犬とスキンシップを重ね、顎の下や脇の下、内股や膝の裏側などにしこりや腫れがないか確認してください。また、定期健診も忘れずに受けるようにしましょう。
早期治療により、数年の延命が期待できます。
病気予防のための健康チェック
愛犬の病気を予防するためには、日々のチェックが大事です。
ここでは、病気の予防や前兆をしるために、体の部位ごとに確認すべきチェックポイントをご紹介します。
健康チェックポイント①「耳・目・口」
定期的なお手入れをするとともに、臭いや汚れがないか確認しましょう。
また、物にぶつかることがおおくなるなど、歩き方がぎこちないようなら視力にかかわる病気の可能性があります。
舌や歯茎、唇といった粘膜の色が全体的に変化している場合は、何らかの病気かもしれないので、速やかに動物病院へ連れていきましょう。
健康チェックポイント②「鼻と呼吸」
「くしゃみや咳を繰り返す」「鼻水が止まらない」という場合は、病気の可能性が高いです。また、心臓病を患っていても咳をすることがあります。
水分補給をしてしばらく経っても呼吸が落ち着かない場合は、熱中症や脱水症状の恐れがあります。また、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった聞きなれない呼吸音の場合、何らかの病気が疑われます。
健康チェックポイント③「体」
最も分かりやすいのが体型です。過度な肥満や痩せ過ぎは良くありません。急激な体型の変化があるようなら、なんらかの病気のサインと考えられます。
おなかが膨らんだままいつまで経っても戻らないようなら、臓器が肥大しているかお腹に水が溜まっているもしれません。
また、軽く触れただけで過剰な反応を見せるようなら、その箇所にケガや病気があるかもしれないので、速やかに動物病院で診察を受けましょう。
健康チェックポイント④「皮膚と被毛」
しつように同じ場所をかゆがるようなら、その場所に炎症を起こしているなどの皮膚疾患の可能性が高いです。
原因としては寄生虫や菌の感染、アレルギー症状が考えられます。酷くなると、毛が抜けることもあります。
皮膚の色が青紫色や赤紫色になっていたら、打撲などの原因で皮下出血が考えられます。あまり痛がるようなら骨に異常があるかもしれないので、動物病院で診てもらってください。
健康チェックポイント⑤「飲食と排泄」
そのほか、水を飲む量があまりにも多い場合は、腎臓やホルモンに異常がある可能性があります。
しっかり食事をしているのに、うんちの量が少ない、またはまったく出ない場合は消化器系の病気などが考えられます。
おしっこが丸1日出ない場合は、急いで動物病院へ連れていきましょう。3日間排尿がないと尿毒症により生命に関わります。逆に、おしっこが多い場合も病気かもしれません。
また、おしっこやうんちの色や状態でも体調の良し悪しを判断できるので、愛犬がトイレに行ったら毎回チェックすることをおすすめします。
健康チェックポイント⑥「行動」
立ち方や歩き方など、普段の行動からも健康状態を知ることができます。
寝たままや座ったままで立ち上がれない場合は、脳や心臓に関わる重篤な病気を患っているかもしれません。
普段のように行動しているようでも、歩き方がぎこちないようなら、骨や関節に異常があるかもしれません。物にぶつかる頻度が高い場合、視力に問題がある可能性もあります。
また、真っ直ぐ立てないようなら運動能力に問題が生じたか、脳に生涯がある可能性も。
高齢になり奇行が目立つようなら、認知症かもしれません。まだ若いのに無駄吠えが多い場合は、分離不安などメンタルに問題を抱えている可能性があります。
まとめ
大型犬のラブラドールレトリーバーは平均寿命が10年ほどですが、健康管理次第ではそれよりもずっと長く生き続けてくれるでしょう。
本記事の内容を参考に、食事や運動に気を遣い生活環境を整えてあげることで、愛犬の健康を守ってあげてください。
ラブラドールレトリーバーの飼い方については下記ページで解説していますので、こちらも併せて参考にしてみてくださいね。
著者/ブリーダーナビ編集部