犬を飼い始めると、毎日のお世話やしつけが必要となり、それまでは自分中心だった生活から犬中心の生活に一変します。また、犬を飼うことで自分の気持ちや性格に変化があったり、それまでとは違った感情が芽生えたりするものです。
“犬を飼う”ということは、その命を預かるということ。大変なことも多々ありますが、それ以上に幸せを感じる瞬間がたくさんあるはず。そんな、さまざまな出来事を経て感じる、犬と生活することで表れる気持ちの変化やその魅力についてお話します。
目次
1.優しさが芽生え、人としても成長することができる
愛犬はいつも飼い主のそばで、無償の愛を感じさせてくれます。飼い主が嬉しい時は愛犬も楽しそうな表情で、飼い主が悲しい時は愛犬も少し寂しそうな表情を浮かべながら、そっと寄り添ってくれます。そんな愛犬に対し飼い主は「この子を幸せにしてあげたい」「この子の健やかな成長を見守りたい」と、“愛に溢れた優しい気持ち”でいっぱいになるはずです。
また、その“優しい気持ち”は飼い主の心を豊かにし、人間としても成長させてくれます。愛情深い生き物である犬からたくさんの愛を受け、こんなにも自分を愛してくれる生き物がいるということを知る。そしてその反対に、人は自分以外の生き物に対し、こんなにも愛情を注ぐことができるのだということを知るのです。それは、人として成長した証。そのような気づきや成長が、あなたの心を“優しさ”で満たしてくれるはず。
2.責任感が備わる
犬を飼ったら、その犬の命は、あなたの手に委ねられたと同じこと。その命に対して、責任を持たなければいけません。
愛犬に新鮮なエサやお水をあげる、排泄物の処理、お散歩等のお世話は、毎日欠かさず行わなければいけないことです。また、社会性を身につけ、人間と良好な関係を築き共存していく為に、しつけをする必要があります。外の気配に毎回反応して騒いだり、散歩中に他の犬や人に吠え続けたりしていては、他人にも迷惑がかかる上に自分自身もストレスになってしまいますし、思わぬ事故やトラブルに繋がってしまうことも。その為、時間や労力はかかりますが、犬にしつけをすることはとても重要なことです。
そして、犬も人間と同じようにケガや病気になります。そういった場合は、動物病院に連れて行き、治療してもらうことが必要になります。その他、各種ワクチンや狂犬病の予防接種、フィラリアやダニノミの予防薬、健康診断等、その時々に応じて動物病院に連れていくことは必須事項です。
それらは全て、“犬を飼う”ということに対して伴ってくる責任です。あなたが愛犬との充実した生活を望み、“命を預かる”ということを真摯に受け止め行動すれば、その為の責任感が自ずと備わってくるでしょう。
3.新しい出会いの可能性がある
犬を飼うと、“それまでには関わることのなかった人々と交流する機会”が増えるようになります。例えば毎日の散歩中に、同じように愛犬を散歩させている飼い主さんと出会うことがあります。飼い主さん同士、愛犬同士が挨拶を交わし、その後も散歩中に何度も顔を合わせているうちに、“犬友”として仲良くなることもあります。
また、休日に愛犬と共に訪れる“ドッグラン”や“ドッグカフェでは、たくさんの犬やその飼い主さんと出会い、交流を持つことができます。その他、しつけ教室や動物病院等でも、他の犬やその飼い主さんと顔を合わせる機会があります。
それらの出会いがきっかけとなり、今までになかった友人や仲間ができたり、コミュニティーの輪が広がったりすることも。犬を飼わなければ出会うこともなかったであろう人々との交流は、それまでの自分の価値観を深めてくれるだけでなく、同じ愛犬を持つ者として情報交換をしたり支え合ったりしていくことができるでしょう。
4.家族や友人とコミュニケーションをとる機会が増え、社交的になる
犬を飼うまではそんなに家族と会話する機会がなかった人でも、自然とコミュニケーションをとるようになります。「今日は愛犬がこんなことをした」、「こんなしぐさを見せてくれた」、「可愛い姿の写真を撮った」等、愛犬を中心に“話題が生まれる”ようになる為です。
また、家族に対してだけでなく知人や友人に対しても社交的になる傾向があります。特に、同じように犬やペットを飼っている人同士で会話が弾み、人間関係が深まっていきます。散歩途中に出会った人と何度か顔を合わせているうちに“犬友”となったり、恋人ができたりする人も……!?
犬は、彼らが持つ癒しのパワーで、その場の空気を和ませてくれます。その結果、普段は内向的でなかなか人とうまく話せない人も、犬を介して徐々に打ち解けられるようになることも。その為、初対面の人とも気兼ねなく話せるようになったり、新しい交友関係が広がったりと、コミュニケーションの機会が増えることに繋がるのです。
5.浪費癖が治る
犬を飼うまでは、自分のお金は自分の好きなように使うことができていましたが、犬を飼ってからはそうはいきません。エサやおやつ、ペットシーツやおもちゃ等、それらには日常的にお金がかかってきます。
また、病気になれば動物病院に連れていき、治療を受けさせてあげなければいけません。そういったことを考えると、今まで自分だけの為に使ってきたお金も少しずつ節約気味に。そのおかげで、それまでちょっぴり浪費癖があった人も、無駄な出費を抑えるようになります。
「毎晩のように飲み歩いていたが、犬を飼ってからは外では飲まず早々に帰宅するようになった」、「買い物をする際は欲しいと思ってもすぐに購入せず、本当に必要かどうかじっくり考えるようになった」等、多くの人がお金の使い方を考え直すようになります。また、「病気やケガ等、何かあった時の為に」と、万が一の時のことを考えて今まで以上に貯金をするようになる人も。人間にとっても愛犬にとってもお金は必要なものですので、よく考えた使い方をしたいものですね。
6.自炊するようになる
犬にエサを与える時、美味しそうに食べている姿を見るとなんとも嬉しい気持ちになるものです。そんな愛犬と「一緒に食事をとりたい」と考え、犬と食事の時間を合わせる人も多いようです。その為、外食をすると犬と一緒に食事ができないので、自然と自炊が増えるのです。また、外食するよりも自炊したほうがお金の節約にもなりますので、一石二鳥と言えるでしょう。
そして、愛犬の健康を考えて犬のご飯を手作りする人もいます。その際に、自分のご飯も一緒に作るという人が多いようです。犬によって、野菜が好きな子やお肉が好きな子等、その嗜好もさまざま。愛犬の大好きなご飯を手作りしてあげることで、自分の食事もその材料を使って調理することが増える為、食材を無駄にすることもありません。ただし、手作りのご飯は犬の栄養学について学ばなければ、栄養に偏りができ体調に変化が表れることもありますので、きちんと勉強してから始めてみてください。
7.掃除や整理整頓をこまめにするようになる
室内で犬を飼う場合、犬の抜け毛が散らばったり、トイレを失敗して床にうんちやおしっこがこぼれてしまったり、部屋に動物特有のニオイがついてしまったりする為、“こまめな掃除”が必要になります。清潔な環境での生活は人間にとってももちろん大切なことですが、犬にとっても非常に重要なこと。犬にとって床は、歩く・伏せる・遊ぶ・横になる等、もっとも身近な場所です。その為、掃除がしっかり行き届いていないと、ゴミやほこりを誤飲してしまう、ハウスダストに対して気管支や皮膚のアレルギーを引き起こすなど、犬の健康に害を及ぼすことがあるのです。
また、物の整理整頓をしっかりしておくことも大切です。散らかった室内では愛犬が思いっきり遊ぶこともできませんし、思わぬ誤飲に繋がってしまうこともあるからです。そして大切な品物をおもちゃにされ、壊されてしまう可能性もあります。そうなってしまっては、飼い主としてもとても悲しいですよね。ですので、掃除や整理整頓が必要不可欠なのです。
8.運動量が増え、アクティブになる
犬を飼えば、毎日散歩に連れていくことが必須になります。ですので、ほとんど運動や散歩の習慣がなかった人も、“自然と外に出る機会が増える”のです。犬種によってはかなりの時間の散歩が必要になるので、それだけ人間の運動量も増えます。
また、特に予定のない休日は家の中でダラダラしがちだった人も、“愛犬と一緒にお出かけ”する機会が増えます。一緒にドッグランやドッグカフェに行ったり、いつもとは違ったコースを散歩してみたり、愛犬と一緒に過ごす時間の楽しみ方は人それぞれ。飼い主と一緒に楽しい時間を過ごすことで、愛犬もとても喜んでくれるはずです。
9.規則正しい生活を送るようになる
犬と一緒に生活をしているうちに、人間も規則正しい生活リズムが自然と身についていきます。毎日エサを与えたり散歩をしたり、そういったお世話をすることで、自分自身のタイムマネジメントも行うようになるのです。
朝の出勤前はギリギリまで布団の中にいた人も、犬を飼ってからはそれまでよりも約30分早く起きて散歩に連れていくようになります。また、飲み会や夜更かしの多かった人も、愛犬の為に早めに帰宅し、夜の散歩に出かけ、朝の散歩の為に早々に就寝する生活を心がけます。
また、愛犬との時間を少しでも多く作る為に、“無駄なダラダラ時間が無くなった”という人も。時間があればスマホをいじったり、ネットサーフィンをしていたという人も、それらの時間を愛犬と向き合う時間へと変え、有意義な時間を過ごすように。犬を飼うことで、それまでとは違ったメリハリのある生活を送れるようになるのです。
10.ストレスが軽減される
“アニマルセラピー”という言葉があるように、大好きな愛犬やペットとの触れ合いは、人の心を癒してくれます。愛犬の愛くるしいしぐさや表情、フワフワな手ざわり、命のあたたかさや尊さ……。それら全てに癒されると共に、彼らは無償の愛を感じさせてくれます。愛情深い犬は、しっぽを振ったり、顔を舐めたり、体を寄せてきたりして、“精一杯に愛情表現をしてくれる”のです。そんな愛くるしい存在に人の心は満たされ、豊かになります。
また“幸せホルモン”とも呼ばれる“オキシトシン”や“セロトニン”が、犬との触れ合いにより多く分泌されるようになるという研究結果も出ています。これらのホルモンは、ストレスを和らげたり、安らぎをもたらしたり、他者と良好な関係を築くことに関与すると言われています。そして、犬と見つめ合ったり触れ合ったりすることで、これらのホルモンは人間だけでなく、犬にも分泌されます。その為、犬と愛情に満ちた生活を送ることは、人間にとっても犬にとっても、すごく幸せなことなのですね。
さいごに
いかがでしたか?犬を飼うことによって、自分の気持ちや生活に様々な変化が表れるということをお伝えしました。それは、優しさや思いやりの気持ち、責任感をはじめ、人としての生活を豊かにしてくれるものばかりです。それらを引き出してくれる犬は、本当に素晴らしいパートナーですね。
犬を飼えば、お世話やしつけ等大変なことが多いのも事実です。しかし、その上で犬との生活を楽しむことができれば、あなたの心を癒し、支えてくれる存在になるでしょう。そして、犬も“かけがえのない命”。そんな彼らを心から愛し、愛されることが、あなたに訪れる最大の幸せと喜びなのかもしれませんね。
著者/ブリーダーナビ編集部