目次
1.フレンチブルドッグがなりやすい病気って?
photo by ivanovgood
どっしりとした体格に、つぶれた鼻が特徴のフレンチブルドッグ。怖そうな見た目とは裏腹に甘えん坊な性格をしており、そのギャップで世界中の人々を虜にしています。熱狂的な愛好家も多く、人気の高い犬種です。
そんなフレンチブルドッグは、一体どんな病気にかかりやすいのでしょうか?ここでは、フレンチブルドッグが注意したい病気をいくつかご紹介いたします。どんな病気や症状があるのかを知ることで素早い処置ができ、愛犬の辛さを軽減させてあげられます。
フレンチブルドッグがかかりやすい目の病気
さくらんぼのような赤いデキモノに注意!チェリーアイ
チェリーアイとは、ワンちゃんだけにある第3のまぶた「瞬膜」が赤く腫れ上がる病気です。腫れた瞬膜は目を刺激するため、ワンちゃんは目をこすったり、涙が多くなったりします。また、結膜炎や角膜炎を併発する恐れもあります。
発症の原因は遺伝的なもの、もしくは目の炎症や外傷などで引き起こされます。遺伝によって引き起こされる場合は予防のしようがないため、こまめなチェックを行って早期発見に努めましょう。
チェリーアイにかかった場合は、点眼薬や内服薬を使用して治療します。再発を繰り返す子や完治が難しい場合には外科手術を行いますが、瞬膜を切除すると乾性角膜炎のリスクが高まるため、手術はあまり推奨されていないようです。
フレンチブルドッグがかかりやすい皮膚の病気
強い痒みが起こるアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、アレルギーの元になる「アレルゲン」を体内に取り込むことで発症する皮膚病です。主な症状は皮膚の痒み。特に耳やワキ、足先などに痒みが起こりやすく、これらの場所をしきりに噛んだり、舐めたりする様子がよく見られます。
アトピー性皮膚炎は生後半年~3歳の間に発症することが多く、その原因のほとんどが遺伝的なものだといわれています。体質が大きく関与してくる病気ですので、予防は難しいです。そのため、日頃から体全体の皮膚をチェックし、素早く異変に気付いてあげましょう。
発症した場合は、抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン剤、サプリメントなどの投与、シャンプー療法などを行い、痒みをコントロールします。
フレンチブルドッグがかかりやすい呼吸器官の病気
呼吸困難の危険性も!軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)
軟口蓋過長症とは、フレンチブルドッグのような鼻が短い犬種によく見られる病気です。発症すると大きなイビキや吐き気、呼吸困難、失神などの症状が現れます。
この病気は、口の中にある「軟口蓋」と呼ばれる部分が通常よりも長いことによって引き起こされます。軟口蓋過長症は先天性疾患ですので、予防は困難です。しかし、病気に素早く気付き、適切な処置を行うことで症状は緩和されます。
治療は、軟口蓋を切除する外科手術が推奨されています。軟口蓋過長症により呼吸困難を引き起こしてしまった場合は、酸素吸入や消炎剤の投与なども行います。
フレンチブルドッグがかかりやすい脳の病気
脳が圧迫されてしまう水頭症
水頭症とは、脳が圧迫されて様々な神経症状が引き起こされる病気です。症状は、痙攣発作・意識障害・眼球振とう(意思とは関係なく勝手に眼球が動いてしまうこと)・筋硬直・麻痺などが挙げられます。
水頭症の原因には、先天性と後天性のものがあります。
先天性の場合は、脳の周りでクッションの役割を担っている「脳脊髄液」の流れが悪くなることで引き起こされます。脳脊髄液は徐々に脳室へと溜まっていき、最終的には脳を圧迫してしまいます。一方、後天性の場合は脳の損傷や脳炎などが原因となります。
水頭症は早期発見・早期治療が重要です。そのため、日頃から愛犬の行動をチェックし、上記で紹介した症状が現れていないか確認しましょう。
水頭症を発症した場合は、内科的治療もしくは外科的治療を行います。基本的には脳圧を下げる利尿薬やステロイド薬などの投与にて治療を進めます。しかし、症状が重い場合は手術を行います。
腫瘍には要注意!命の危機に直結する恐ろしい病気
死因の上位に食い込む腫瘍(ガン)
腫瘍とは、何かしらの要因により細胞が異常増殖し、過剰な細胞分裂を行うことで引き起こされます。腫瘍は体の至る場所に発生しますが、フレンチブルドッグの場合は脳にできやすいようです。
脳腫瘍を発症すると、旋回行動(一定の方向へ向かってクルクル回る)や運動失調(体のバランスを保てない)、捻転斜頸(首がねじれたままの状態になる)などの症状が見られます。
発症の原因は解明されていませんが、高齢になると発症しやすいようです。このように原因が分かっていない病気のため、予防は難しいです。だからこそ、毎日愛犬の様子をチェックし、早期発見・早期治療に努めましょう。脳腫瘍を発症した場合は、腫瘍を除去する外科的手術や薬の投与が行われます。
フレンチブルドッグの健康チェックをしよう!
早期発見が大切
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フレンチブルドッグを病気から守るため、健康チェックを毎日行いましょう。健康チェックによって小さな異変にも気付くことができ、病気の早期発見・早期治療に繋がります。また、健康チェックは病気の早期発見に役立つだけでなく、愛犬とのコミュ二ケーションの時間にもなりますよ。
しかし、健康チェックではワンちゃんが嫌がる部分も触る必要があります。特に足先やしっぽ、口などは敏感ですので、いきなり触ると健康チェックに悪い印象がついてしまいます。そのため、まずは体のどこを触られても大丈夫なようにトレーニングしてあげましょう。
どんな所をチェックするの?
健康チェックは、顔から足先まで全身くまなくチェックします。ワンちゃんに慣れてもらうためにも毎日同じ手順で行いましょう。あまりにも長くやり過ぎるとストレスになるため、手早くスムーズに行うことが重要です。また、病気になっている場合は体の異常だけでなく、排泄物や行動にも変化が起こります。その点も一緒に観察してあげましょう。
・目
目やに・充血・腫れ・ゴミ・濁りなどがないか確認する。
また、左右の目を見比べ、大きさや色を見る。
・鼻
鼻水が出ていないか、咳・くしゃみをしていないか、鼻が変形していないかを確認する。
・耳
耳をめくり、傷や汚れ、ニオイがないか確認する。
また、耳を痒がっていないかも同時にチェック。
・口
口をあけ、歯石やニオイがないか確認する。
また、歯茎の色が赤すぎないか、よだれが出ていないかもチェック。
・体
体全体を触り、腫れやイボ、しこり、ホクロなどがないか確認する。
触られるのを嫌がる場合は何かしらの異変が起こっている可能性があるため、入念にチェック。
・皮膚、被毛
ブラッシングしながら被毛のもつれ、ニオイ、フケがないかを確認する。
また、被毛をかき分け、皮膚にノミ・ダニがついていないか、傷はないか、色はおかしくないかもチェック。
・排泄物
排泄物の色、ニオイ、回数、量を確認する。
下痢や便秘、尿が出にくいなどの症状があれば動物病院へ連れて行きましょう。
・愛犬の行動
いつもより元気がない、足をひきずっている、散歩途中で座り込む、頭が傾いているなど普段とは違う行動をしていないか確認する。
油断しないで!散歩中に潜んでいる病魔とは
ノミ・ダニに要注意
散歩中に草むらへ入ったり、他のワンちゃんと触れ合ったりすると愛犬の体にノミやダニがひっつく恐れがあります。
ノミやダニは生きている動物に寄生し、特にワンちゃんの血を好むのが「ヒセンダニ」「マダニ」「ニキビダニ」「ノミ」です。これらに寄生されると強い痒みや脱毛などの症状が起こります。また、ヒセンダニやマダニは人にも感染する恐れがありますので、注意しましょう。
ノミやダニに寄生されないためには、予防が最も大切。有効な予防法としては、動物病院でノミ・ダニ予防薬を処方してもらうことです。予防薬は、皮膚に滴下させるタイプもしくは錠剤が主流です。
最近はおやつタイプの予防薬も出てきており、年々バリエーションが増えています。投薬時期はノミやダニの活動が活発な4~11月頃を推奨されていますが、年中行うと安心です。
著者/ブリーダーナビ編集部